〔17〕オオイタサンショウウオを守りたくて
2015年10月号 Vol.503
オオイタサンショウウオを守りたくて
大分自治体一般労組 中内 信孝さん
▲中央でピースしているのが中内さん
大分県自治体一般の中内信孝さんは、民間企業でIT関連の仕事をしています。自治体一般との出会いは2011年に知人から紹介され、パソコンの力を貸して欲しいと言われてからです。「最初は何も分からない状態でした。会議などに出席し徐々にいろいろな事が分かりだし、労働問題で困っている人の力になりたいと思い活動をしています」と話します。
日頃パソコンと格闘している中内さんも休日には「森の先生」として、地域の子どもたちに自然観察会などを開き、自然と触れ合ってもらい、その大切さや良さを伝える活動を楽しくやっています。
2009年に生物を教えていた元高校教員の方から、長年研究をしていたオオイタサンショウウオ(以下、サンショウウオ)の卵を預かったことからはじまり、その時預かったイクラほどの大きさの卵が、1カ月で幼生となり、「ぼーちゃん」と名付けました。徐々に前足が生え、後ろ足が生え、エラが無くなり、3カ月ほどで陸に上がって幼体に。最初は幼体になったら自然へ還す約束でしたが、色素が薄いため断念し、大切に育て、観察を続けて今では立派な成体になりました。
サンショウウオの減少を少しでも食い止めたくて、勉強や調査も行いました。しかし「1人では限界もあり、多くの人に生態や自然保護の意義を知ってもらう事が必要だと気付きました」と話します。
活動を通して知り合った方に勧められ、2011年に「公益財団法人日本自然保護協会」主催の講習会を受講して「自然観察指導員」を取得、翌年には「大分県」事業の「森の先生」に登録しました。その他にも、「大分生物談話会」に入会し「サンショウウオの発生」について研究発表しています。
「初めは、ただサンショウウオが好きと言う理由で始めた活動でしたが、沢山の方と出会って刺激を受け、今では『森の先生』として地域の子どもたちや仲間と一緒に自然保護にとりくんでいます」と笑顔で話してくれました。
▲ぼーちゃん(6歳)
オオイタサンショウウオとは、大分県、熊本県、宮崎県、高知県に生息する小型のサンショウウオで、唯一大分の地名が名前に付いており、地域によっては天然記念物に指定されている絶滅危惧Ⅱ類(環境省レッドリスト)の貴重な生物です。