「人事評価制度問題学習交流集会」東日本:西日本会場で開催
職場の声を集め、職場からの運動で、
「人事評価制度」の導入・強化をやめさせよう
自治労連は、10月18日に東京(東日本)、25日に大阪(西日本)で、「人事評価制度」問題学習交流集会を開催し、全国から参加者が集いました。
この集会は、来年4月の「人事評価制度」義務化を前に、当局側の対応・動向、労働組合側の運動の到達点を交流しあい、取り組みで強化すべき点を確認すること、また、政府・財界がすすめる「公務発の働き方改革」反対、戦争体制強化に直結する「物言わぬ公務員づくり」を許さないなど、取り組みの意義を明確にすることを目的に開催されました。
開会あいさつのなかで、福島副委員長は、法によって義務化されたが、人事評価制度に労働組合が関与せずに、首長の意向だけが反映するような制度化を許してはならないとし、各地の到達点の交流をはかるため、積極的な討論を呼びかけました。
本部からの問題提起を熊谷賃金権利局長が行い、対策会議や学習会を設定し、取り組みを強化している地方組織の特徴的な対応やリアルな職場状況を紹介し、職場の声をあつめ、継続して対応すること、青年層との丁寧な対話、組合員の目線から検証を継続し、制度の廃止まで粘り強く取り組みを進めようと呼びかけました。
東日本では、講師に晴山一穂教授(専修大学)を招き、「日本国憲法から人事評価をどう見るか」を学びました。晴山氏は、「憲法が描く公務員像を抜きに人事評価を考えることはできない」と切り出し、任用方法、職務内容の歴史を追いながら、時の政権への奉仕者から「国民全体の奉仕者」へと変化した公務員の役割、公務員が自らの職務に誇りと気概をもってその役割を発揮できるようにすることは政治部門の義務とし、「評価」のあり方は、当局と労働組合との対等・真摯な協議で決めるべき事柄である、と結びました。
特別発言では、埼玉県本部の西口書記長が、県下のとりくみを紹介しながら、県本部として、人事評価制度の目的は何か、を当局と一致させることを強調し、また、避けるべきこととして、意見を述べることで不当な扱いを受けないこと等を提起したことを報告しました。神奈川県職労連からは、管理運営事項としてきた当局に対し、職員組合との協議事項(実質的交渉)とし、目標管理ではなく、人材育成を目的とした制度にさせたことなどを話し、引き続き、組合の監視による実効性の確保が求められる、としました。
そのほか、組合内にベテランと若手半々の検討委員会をつくり議論を重ねている伊東市労連の発言や、千葉県本部からは、提案がないなかで待ちの姿勢はダメ、中立ふくむ全自治体キャラバンを行い、単組での学習会の開催に取り組んでいるとの報告。また、すでに制度が導入されている単組からは、当局も人が入れ替わり、約束事項が反故にされる事例が起きている、常に組合が監視することが重要、青年層のなかには、人事評価制度に賛成する職員・組合員がいる。全体学習をすすめていく、といった発言もありました。
まとめとして、中川書記長が「人事評価制度、これを自信持って提案できる当局はいない、共同を広げよう。身近な仕事を通じて立憲主義を取り戻す、全国の知恵を職場に活かそう」とよびかけ、集会は終了しました。
西日本では、黒田兼一教授(明治大学)が「人事評価制度導入をめぐる諸問題と私たちの課題―人事評価とのつきあい方」と題して講演。そもそも完璧な査定などない、労使の協議事項にさせ、制度とその運用をオープンにさせる、賃金リンクの範囲(項目)を狭く規制すること、組合は不当な評価をさせないよう監視・また是正させる運動を継続して行うことで「制度」そのものを廃止においこむことが重要と訴えました。
特別発言では、最初に、新居浜市職労から「市長がかわり、賃金リンクが強行されたが、組合としてアンケートをとり、結果をニュースで丁寧に周知、学習会の開催などに取り組んできた。今後は、引き続き情報を流しながら『人事評価制度は人材育成のため』、『公平な評価は困難=賃金リンクは無理』の庁内世論をつくり、骨抜きにし、制度廃止まで持っていく」と発言しました。
京都府職労は、本格実施までの6年にわたる闘いを紹介しながら、大事にしてきたものに「憲法にもとづく全体の奉仕者としての立場」を挙げ、人事評価制度の本質を労組として、しっかりつかむこと、そのために、常に、いろんな角度から制度を検証し、「反対」を貫くこと、賃金リンクは交渉で妥結事項とすること、当局責任の追及、評価の都度、組合に報告させることなどが大事だと訴えました。
討論では、大阪府職労から、相対評価の矛盾を明らかにし、職場からのたたかいをすすめている経験を報告。住民のための仕事が、いつのまにか評価のための仕事に変質する怖さを感じる一方で、評価されることに慣れてしまって、意見が出ない、導入後に採用された職員にとっては、それが当たり前になっている現状が述べられ、労使交渉だけでは乗り越えられない、人間らしく働くルールの確立、住民との共同を広げるとし、なんとしても維新政治を終わらせる、との発言がありました。
また、高知自治労連からは「人事評価制度を憲法からみて、どうなのか」の視点を大事に学習してきたこと、今の到達として「反対」だけじゃダメ、どう取り組みを強化するか、執行部の意思統一・団結がないと押し切られてしまう、国言いなりの当局に対し、話し合いの場を設けさせ、労使間での共有をはかることをめざす、との発言がありました。また、「人事評価制度」の強行提案を受けた滋賀県職からは、時の知事が言ったことに住民の声で断念させてきた経験を背景に粘り強く闘うと決意表明がありました。
最後に、福島副委員長が、政府が戦争する国づくりに突き進もうとするなか、今、「全体の奉仕者の立場に立って仕事をすること」「労働組合の役割発揮」が求められている、とまとめました。