メニュー

機関紙『自治体の仲間』2017年 4月号 Vol.521 仲間をつくって いっしょに いい仕事をしよう

仲間をつくって いっしょに いい仕事をしよう

新しい出会いにむけて 横浜市従

▲横浜市従青年部のみなさん。笑顔も満開です

今号では、4月に採用される新規採用者を職場に迎えるにあたって、歓迎準備をすすめている神奈川・横浜市従業員労働組合の青年たちを取材しました。自身の仕事のやりがいを話し、組合について「みんなに大切さをしっかりと伝え、知ってもらい、仲間づくりをしていきたい」と元気に語ってくれました。

この仕事に誇りとやりがいをもって 髙井一聴(もとあき)さん

あるケースワーカーとの出会い

横浜市のケースワーカーとして働く髙井さんは、ケースワーカーになる前に、1年間ほど名古屋市にある社会福祉法人の障害者福祉施設で職員として働いていました。

髙井さんは「元同僚や施設長に会うと、自分が市の職員として、利用者の生活背景を捉え、丁寧な援助ができているかと思い返します。私にとって職員時代の経験はとても貴重なものでした」と話します。

髙井さんは、施設の職員か市の職員のどちらの道に歩むかを悩んだといいます。ケースワーカーになるきっかけとなったある名古屋市のケースワーカーとの出会いを話してくれました。

「ずいぶん年配の方でした。利用者から『良くしてくれるワーカーなんだ』と話を聞き、実際に彼と話すなかで、利用者の生活背景を捉え、援助していこうとする強い姿勢が見えました」

公務労働者としていのちを支える

髙井さんは利用者Kさんの話をしてくれました。「すすんで役所に来ないKさんが『道に迷っちまった』と役所に来てくれたことがありました。理由を聞くと照れくさそうに『髙井がいつも家に来る(家庭訪問)から、俺もたまには役所に顔を出そうと思った』と言ってくれて、本当にうれしかった」

笑顔で話してくれた髙井さんですが、自身の仕事について「ケースワーカーは人の生き死に直面する仕事です。利用者への援助が不十分だったのではないかと思い返すことがあります」「公務労働者として、いのちを支えるという視点を持ち『全体の奉仕者』としての仕事ができているのか、常にふりかえります」と力が入ります。

一人ひとりの役割を発揮して

最後に組合の意義について聞くと「住民に信頼され、住民のために働く。行政のプロ集団として、その役割を発揮するためには労働組合が大切な役割を果たしています」

「労働組合に入ることで、個人が特別に得をするということはありません。しかし、職員一人ひとりの役割が発揮でき、住民のために汗を流す。そのために職場改善を要求し、実現することが、住民のための仕事につながっていきます」とこたえてくれました。


全国の仲間が要求実現に向けて奮闘 2017 国民春闘

自治労連の17国民春闘

▲公務と民間が結集した日比谷野外音楽堂での決起集会

今年の春闘は、安倍政権が「働き方改革」を掲げ、労働のあり方を大きく変質させようとしているなかでとりくまれています。公務職場では、非正規職員への置き換えや民間委託による人員削減がすすみ、住民の安全・安心を守る公務サービスの安定性が揺らいでいます。さらには、公務員の存在意義を根本から覆す「戦争法」が成立したもとで、全国各地の仲間が自治労連に結集し、憲法の精神を仕事にいかそうと奮闘しています。

3・8中央行動 戦争法の廃止 勝ちとろう大幅賃上げ

現業・非正規要求実現 超勤の規制を

総務省前要求行動

3月8日の中央総決起集会に先立ち、自治労連は現業・非正規要求の実現と超勤規制などを求め、総務省前独自要求行動にとりくみました。

各職場からの発言では、厳しい定数削減を強いられている現業職場を代表して、自治労連現業評議会・岸本弘幸副議長が発言し、職員定数が重要な労働条件であるとともに、住民サービスと一体のものだと強調したうえで、「民間委託の阻止と採用を勝ち取るために、全国の仲間とともに力を合わせたたかおう」と力を込めて訴えました。

続いて、雇用不安を抱えながら劣悪な待遇を強いられる一方、本格的かつ恒常的な業務を担っている非正規の現場から、自治労連非正規公共評議会の小川裕子幹事が発言し、地公法・地方自治法改正案に触れ、「法案は勤務時間によって、諸手当が支給されるかどうかが変わってくる。非正規を分断するもの。本気で怒っている」と総務省に怒りをぶつけました。

当日は、この間とりくんできた現業署名の提出行動も行いました。

▲「定数削減は許さない」と声を上げた総務省前

最賃底上げ、人員増 賃金・退職手当の引き上げ

人事院前要求行動

全労連公務部会・公務労組連絡会主催による人事院前要求行動がとりくまれました。

行動では、全国一律最賃底上げや地域間格差是正と退職手当引き下げ阻止、非常勤職員の処遇改善をめざしてたたかうことが強調されました。

各団体からの決意表明では、自治労連を代表して、滋賀県職・山本龍二副委員長が「県庁では依然として人件費が削られ、人材がないがしろにされている。すぐにでも人員を増やし長時間労働解消が必要だ。今回、滋賀県人事委員会として超勤調査を行い、半数以上が『人手不足』と答えた。組合としても人員増の要求を上げている。引き続き、健康でやりがいの持てる職場をめざす」と力強く訴えました。

この日は、各地で2月からとりくみ始めた「退職手当見直しにかかる職場決議」837職場分を人事院に提出しました。

廃案しかない 戦前回帰の危険な「共謀罪」

安倍政権は3月21日、犯罪を計画・準備した段階で処罰可能にする共謀罪(テロ等準備罪)を新設する組織犯罪処罰法改正案を閣議決定しました。この法案は過去に3度廃案となった共謀罪の焼き直しにほかなりません。

安倍首相は東京五輪を成功させるためとしていますが、対象となる犯罪は現行法の範囲内で十分対応できるものです。

この法案に関して、日本弁護士会や多くの憲法学者が「日本国憲法に違反している」として反対声明を出しています。

自治労連は、この共謀罪(テロ等準備罪)法案に断固として反対し、4度目の廃案を実現するため全力をあげます。

3・16 全国統一行動 民間の仲間と力をあわせて

自治労連鹿児島県事務所

自治労連の組合ほか民間労働組合が集まり、全国統一宣伝行動と学習会を共同で実施し、「春闘をめぐる情勢の特徴と課題」と政治学者の五十嵐仁さんが講演し「労働者の結束が政治を変える」と力説しました。

働きがいのもてる職場づくりをすすめよう [千葉]

職場改善と人員増で安心して働ける職場を

千葉県職労

千葉県では、職員の超勤問題対策や児童相談員の拡充、東京五輪などを視野に、5年間で人員定数を計210人増やすことを決定しました。千葉県職労がとりくんできた超勤調査結果をもとにした職場改善と人員増要求が実を結びました。

また、看護休暇(介護休暇)及び育児休業を取得した場合の賃金の取り扱いなどについて、①昇給については、「昇給号給数は減じない(勤務実績が全くない場合は昇給しない)」、②復職時調整については、現行2分の1以下から3分の3以下に改正、③勤勉手当についても、「除算期間」に関して、休暇取得日数は「除算する。ただし、勤務しなかった時間を日に換算し、30日を超える場合に限る」となるなど、仕事と家庭の両立支援制度の具体化もすすんでいます。

▲千葉県職労(左)は団体交渉で人員増による長時間勤務の一掃を求めてきました

地域に足を踏み出し賃上げで不況打開を訴える

千葉県本部

自治労連千葉県本部は、3月26日開票の千葉県知事選挙と17春闘での要求実現を結合し、労働者の生活と権利を守り、働きがいがもてる職場づくりをすすめようと地域宣伝にとりくみました。

千葉県職労をはじめ、匝瑳(そうさ)市職労、野田市職労、八千代市職労、船橋市職労、君津市職労が各市庁舎前や街頭で「17国民春闘での賃上げで不況打開を」「労働者本位の働き方改善を」「働きよい千葉を千葉県政から」と全国の仲間とともに訴えました。

千葉県の全国4位の財政力をいかし、いのちとくらし、教育、福祉の充実を優先させ、県内市町村の声を県政に反映させることを求め引き続きたたかっていきます。

▲JR千葉駅前で地域住民によびかけ

ねばり強いたたかいでゼロから一時金1・4カ月勝ち取る
[青森・八戸市営バス労組]

八戸市営バスの運行全体のうち8割が、嘱託のバス運転手で運行されています。正規職員とまったく同じ乗務を行っていながら一時金や退職金など手当もありません。

そんな劣悪な職場に追い打ちをかけるように、乗客の転倒を過失のない運転手の責任とした不当な扱いに対するたたかいがおこり、それを支援するなかで「嘱託職員を一人にしない、嘱託職員の要求に嘱託職員自身がとりくむ労働組合を」との思いで、2015年6月10日に八戸市営バス労働組合が結成されました。

この間、団体交渉では、嘱託職員の責務が「正職員と同等」であることを当局に認めさせ、賃金・手当・労働条件のさまざまな不合理な差別を改めることを要求。離職防止・人員確保のためにも「一時金を支給し、最低でも今の年収200万円から300万円以上とすること」を主張してきました。

全国の仲間とも交流し励まし合い、国交省や厚労省とも直接話し、私たちの主張が間違いではないことに確信を持って交渉を続け、今年2月に、最重点要求である「嘱託職員への一時金支給制度」を新設させ、ゼロから年間1・4カ月と大きな前進を勝ち取りました。

▲ねばり強く団体交渉をつづけてきた八戸市営バス労組(手前)


予算人員闘争をすすめる交流集会

とき:2017年4月22~23日 ところ:静岡県・伊東市伊東ホテル聚楽

自治労連の「憲法をいかし、住民生活を守り、こんな地域と職場をつくりたい」運動、長時間労働の一掃と本格的な予算人員闘争をすすめるための学習と意思統一を図り、全国の地域、職場での実践や経験を交流します。


主張 「こんな地域と職場をつくりたい」

長時間労働の一掃と予算人員闘争の前進を

2017年国民春闘は大幅賃上げとともに「働くルール」が大きな焦点となっています。

自治体の職場ではいま、人員不足による異常な長時間労働、職員の健康破壊が深刻な問題になっています。

総務省の調査でも全国の地方公務員数は、小泉「構造改革」前の1999年には323万人だったのが、2015年には273万人へと約50万人も削減されています。また、精神および行動の障害による長期病気休業者は同期間で約4倍に増えています。

労働者の思いに逆行する安倍「働き方改革」

しかし、安倍政権のすすめる「働き方改革」は、「時間外労働規制」は過労死ラインを超えた残業を容認するなど、あくまで財界の要望に応える内容となっています。

そして、「同一労働同一賃金」は雇用形態の差を是認する限定的なものです。その中で、総務省は新たに「会計年度任用職員」という一般職非常勤職員をつくり、自治体の本格的業務を担う職員として正規職員との置き換えをさらに促進するための地方公務員法と地方自治法の「改正」をねらっています。

今「健康で、安心して働き続けたい」「住民のために、いい仕事がしたい」という願いを実現するために、業務に必要な予算と人員を確保するとりくみは「待ったなし」の課題です。自治労連は、長時間労働の一掃と予算人員闘争の前進をめざす「こんな地域と職場をつくりたい運動」を全国闘争としてさらに強化します。

初年度はすべての単組で役員が、職場に入って声を集め、要求書を提出し、交渉を行っていきます。そのスタートの全国統一行動として、5~6月には「なくそう長時間残業、自治労連いっせい職場訪問」にとりくみます。その際、1月に厚労省が出した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を活用しましょう。

住民とともに、憲法をいかす自治体づくり

また、すでに職場で要求書を出している単組は、さらに、地域に出て住民の声を聞き、住民とともに、憲法をいかす自治体づくりにいかしましょう。

4月には「予算人員闘争をすすめる交流集会」を開催し、多くの単組の経験を交流します。


組合があって良かった

青年・女性ステップセミナー2017を開催

学んだことを伝えたい

▲3月4日~5日にかけておこなわれたステップセミナーには、久しぶりの青年部と女性部の合同開催で、幅広い年代・職種・雇用形態の58人が参加しました

「健康で家庭と両立して働き続けるために」と題した講義を、自治労連女性部・田頭愛美書記長が行いました。今治市の保健師として各地の学校で性教育等の講演を行ってきた実績をいかし、女性の身体の特徴から出産にいたる基本的な性教育から、ストレスと長時間労働と睡眠不足が健康や仕事に及ぼす影響を淀みなく話を展開しました。

「十分に作業を行うことが可能なのは起床後12~13時間が限界」と科学的根拠示し、「職場と労働者の実態を一番把握できているのは労働組合」と組合の大切さに結びつけると、参加者は大きく頷きます。

講義を受けた高知・安芸市職労の中山京子さんも「理解や気づきが多い講義でした。単組の学習会で呼びたい」と、同じ保健師としても勉強になったそうです。

話し合うこと学ぶことが大事

佐賀・唐津市社協助成会労組の前田麻奈美さんは保育士です。「勉強したいと思い参加しました。情報交換できたことが一番良かった。打ち解けて自分の意見が言えてよかった」と喜びます。またステップセミナーでの要請書づくり研修に「単組で要求書をつくって、要求を通したことがある。組合がなかったら勝ち取れなかった」と自身の経験に引きつけます。

青森・五所川原市職労の村元貴紀さんも「同じ土木の方と話しができて、他市の施策を知れて良かった。遠い地域の人たちが集まって話し合いや情報交換ができて素晴らしい。男性で育休を取っている人が全然いないので、職場に情報発信していきたい」と学びの実践に意欲を示します。

一方で、国民年金課で働く山口・防府市職労の中岡亮さんは「人事部もセミナーや研修を実施していますが、人が集まらず困っています。残業があり、なかなか参加できません」と研修を受ける困難さを指摘します。

前述の中山さんは「みんなで学んで勉強して自分たちの資質をあげていくことが大事。つながりあっていきたい」と、またメンバーと再会できることを期待します。


核兵器廃絶が世界の流れ

静岡自治労連

▲3・1ビキニデー集会に全国から1700人が参加して核兵器廃絶と「ヒバクシャ国際署名」を訴えました

ニューヨークの国連本部で3月27日、「核兵器禁止条約の国連会議」が開催されました。

被爆者代表として日本原水爆被害者団体協議会事務局次長の藤森俊希さんが「同じ地獄をどの国のだれにも絶対に再現してはなりません」と力を込め、「ヒバクシャ国際署名」のとりくみを強調し、「法的拘束力のある条約の成立を」と力強く話しました。

唯一の戦争被爆国の日本が核兵器禁止条約の交渉会議の招請を求める国連総会決議に反対したことについて、「心が裂ける思いだった」と述べました。

「禁止条約をつくる」という点で、国連加盟国の多数の結束が強まるなかで、日本国内でも署名を推進するとりくみが広がってきています。

3・1ビキニデー

3・1ビキニデー集会が2月27日~3月1日で静岡市と焼津市で開催され、静岡自治労連の仲間も集会成功に向けて多数参加しました。

集会では、「ヒバクシャ国際署名」を旺盛にとりくみ、世論と運動を大きく結集しよう」と呼びかけられました。全国で「ノーモア核兵器」の声を広げていきましょう。


すすむ非正規公共評(28)

介護員・支援員の雇用の安定へ

鳥取県本部 鳥取県厚生事業団職員労働組合

▲団体交渉には多くの仲間が参加します

鳥取県厚生事業団職員労働組合は、1年契約の介護員や支援員の雇用の安定化と賃金引き上げを要求して、毎年団体交渉で取り上げてきました。特に毎年試験と面接を繰り返していることが、「不安であり苦痛である」という声があり、特別問題のない限り更新することを要求してきました。

この10年ほどの間で一時金は1・0カ月を1・8カ月へ、夜勤手当は1回1200円を4620円に改善しました。給料月額も介護員・支援員は、2005年の日給制月14万4400円程度から15万4100円まで引き上げられました。

そして、今年の職場要求交渉では、改正労働契約法の1年前倒しで「(一年以上勤続の)補助職員の無期雇用化は、2017年4月1日から実施するが、無期雇用となる補助職員の昇給制度や特別休暇等の労働条件について、今年度中に労使双方で十分誠意をもって協議を行い、2018年度から実施する」という確認書を交わしました。

無期雇用化について、組合員からは「補助職員の無期雇用が実現しうれしいです。安心して働けます」という声が寄せられました。

正職員と同様のローテーション勤務に携わるこれらの職員の格差是正のため、引き続き組合加入率の引き上げとともに、格差改善のために力を注ぎます。

特に介護施設や障害者福祉事業所では欠員を抱える職場も多く、労働強化と労働条件の悪化の原因にもなっています。国に対する処遇改善交付金制度の再度の制度化を求めるとともに、事業団に対して改善のとりくみを要求して引き続き奮闘します。


総務省「臨時・非常勤職員の在り方研報告」とは その2

問われる公務員の役割 行政の質的確保と持続性を

安倍労働法制の本質を暴く [第4弾]

今月号も、安倍政権が公務職場をどうしようとしているのか明らかにします。地方自治法と地方公務員法の改正案が閣議決定されるなか、法「改正」に対する各自治体当局の姿勢を質し、職場での要求実現の運動をすすめていく必要があります。

憲法の規定にもとづいて、住民の人権の実現のために奉仕する組織が自治体です。公務員には社会福祉、教育、労働者保護、まちづくりなどの住民生活に関連する業務について、全体の奉仕者として、社会的弱者についても社会権保障が実現するように努める責任があります。

さらに非正規化がすすむおそれ

地方公務員法に新たに規定される「会計年度任用職員」には、その業務に関する要件の規定がありません。たとえば、地方任期付職員採用法では、不十分ながらも「①一定の期間内に終了することが見込まれる業務、②一定の期間内に限り業務量の増加が見込まれる業務」と要件が規定されていますが、それすらありません。これでは、「本格的業務」の定義しだいで現在の正規職員の職務を「会計年度任用職員」が担うことになりかねません。

行政の「能率(効率)的」な運営とは、地域住民の権利・利益の実現や福祉の増進を無視して、非正規化や民間・民営化による人件費削減などの一時的コスト削減を追求するものではありません。単純な行政スリム化でなく、質的確保・持続性を担保することが自治体に求められています。

格差助長を合法にさせない

法案化にあたって、「会計年度任用職員」の勤務時間の差による格差を容認しました。現状でも、正規職員と業務内容に違いがないにもかかわらず、勤務時間を15分程度短くして、手当支給や地共済や地公災を適用させないなどの実態があるなかで、これを推奨することになりかねません。

また、手当支給などが法律に規定されたとしても、支給される給料・手当の水準等については、各自治体での労使交渉の結果による条例・規則の整備が必要になります。また、任用根拠の見直しで制約される権利について、法的救済や権利保護の仕組みをつくることが必要です。

今回の法「改正」に対する自治体当局の姿勢を表明させ、①現状の劣悪な待遇をただちに改善させる、②これまでの到達点を最低基準にして今後の対処を図っていくことが法案成立の可否にかかわらず必要です。


復興へ力あわせて

住民を結びつけるかけ橋になりたい

3・11から6年 岩手陸前高田市職労

▲高台に建てられた災害公営住宅から沿岸部を見わたすと防潮堤と整備された中心地が見えます

東日本大震災から6年。甚大な津波被害を受けた岩手県陸前高田市では、市街地中心のかさ上げ工事が大詰めです。3月26日に行われた「東日本大震災津波6年のつどい」を前に訪ねた陸前高田市には、復興のあり方をめぐり、住民とともに悩みながら、日々はたらく自治体職員と労働組合の姿があります。

あの日のこと今も忘れず

震災発生時、市役所にいた陸前高田市職労の千葉達委員長(当時副委員長)は、すぐに避難所の見回りに向かいました。30分後、「津波が堤防を越えた」「みんな、逃げろ」の声を最後に防災無線が途絶えます。避難所に到着するなり迫りくる津波を目のあたりにし、無我夢中で住民を誘導しました。「夜になると真っ暗で何も見えない。海の方からガレキの音が聞こえ、助けを求める声も聞こえていたかもしれません」と…忘れられない記憶です。

▲左から菅原正弘さん(震災当時の委員長)、副委員長の髙橋拓也さん、委員長の千葉達(たつし)さん。大月書店『3・11岩手 自治体職員の証言と記録』(写真右下)には、菅原さんと千葉さんの手記が掲載されています

▲仮設の陸前高田市役所。新しい市役所の建設地選定も大きな課題です

全国からの仲間の支援

この震災で非常勤職員を含めて113人の職員が亡くなりました。当時、災害対策本部となった給食センターの壁に、生存を確認できた職員の名前を書き足したりしながら、復興への仕事を分担していました。「同僚の家族からの安否問い合わせが一番つらかった」と千葉委員長は当時をふりかえります。

震災直後から支援に来てくれた全国の自治労連の仲間の姿に「嬉しかった。作業着の物資支援や、とくに広報『りくぜんたかた』臨時号で、市からの情報を毎日、すべての避難所に届け、住民の様子を市に返してくれたことが心強かった」

復興をめぐる自治体職員の役割

復興がすすむにつれて、思い描く復興の理想と現実のずれや、住民のあいだに格差が生まれています。

学校校庭などの仮設住宅には高齢者が多く、移りたくても、自立再建は難しく、高台の災害公営住宅への転居は家賃と共益費などの負担や、新しい生活環境への不安などから躊躇する方もいます。

一方で、校庭で一度も遊ぶことなく卒業するわが子を不憫に思う親の声や、商業複合施設オープンが間近に迫り、復興を急ぐ自営業者の声もあります。また、住宅用地は6割が利用未定のままであることも課題です。

だからこそ「生活の復興へ住民に心寄せて、住民の思いを結びつけるかけ橋になるのが、私たち自治体労働者の役割です」と千葉委員長は語ってくれました。

労働組合の志を次世代へ

「ここは海と山の幸があって、住みやすいところです」と地元の魅力を訴える高橋拓也さんは、震災直後の仮設窓口で罹災証明書を発行していました。当時は罹災の判定基準をめぐって、住民と現場に心を寄せない内閣府に直接抗議したこともあります。いまでは市職労の副委員長です。

いま市職労では高橋さんだけでなく、青年職員が組合役員を務めています。書記長と書記次長をはじめ執行委員には、震災後に入職してきた青年職員もいます。

次世代の役員体制について、震災当時に委員長だった菅原正弘さんは、「労働組合で自治体労働者のあり方を学び考えてきたからこそ、震災を乗り越えられたと思う。だから青年を含め震災後に入職した職員を『住民のための仕事を貫く職員』に育てることが私たち先輩組合員や労働組合の役目です」と労働組合の意義と責任を語ります。

千葉委員長と菅原さんは、高橋さんら若手職員に「復興なかばでの労使交渉も大変ですが、休暇や賃金も労働組合で先輩たちが勝ち取ってきた成果です。この歴史を引き継ぎ発展させてほしい」と期待をよせます。

▲3月26日の東日本大震災津波6年のつどいに、県内各自治体からも参加があり、会場は180人でいっぱいになりました

いまだ帰れぬふるさと 原発ゼロの未来へ

3・18福島で県民集会

福島県郡山市で3月18日に県民大集会が開かれ、県内外から約5700人が参加しました。集会には香山リカ氏など幅広い著名人と団体や個人が参加しました。福島市を中心に活動をしている青年は「街頭で青年との対話を重ね、原発災害の現状や復興の課題をつかみ、青年の集会を開いた」と報告しました。福島県浪江町の馬場有町長は「原発のない日本をめざし、ともにすすんでいこう」と呼びかけました。

東日本大震災とともに引き起こされた東京電力福島第一原発事故によって、今なお多くの住民が避難を余儀なくされています。

政府・東京電力への事故責任追及と、まちの復興へのさらなる援助が求められるなか、国は3月末に避難指示解除と、災害救助法にもとづく「みなし仮設住宅」の無償提供の打ち切りを決定し、怒りが広がっています。

▲郡山市開成山陸上競技場に設置された集会ステージ(右)を見つめる参加者(写真提供 大戸良一さん)


今月の連載・シリーズ

いい旅ニッポン見聞録
第15録
奈良県・奈良市「奈良町」
歴史とともに暮らす「奈良町」の人々

古いものと新しいものが息づくまち

かがやきDAYS
〔34〕
岡山市職労 風早(かざはや)孝将(たかまさ)さん
こんな時代だからこそ演劇を

ひとつの世界を創りあげる歓び

まちコレ
Collection34
うレシピ
第65品
静岡・浜松市職 宮下 早紀子さん
じゃがいもの香味あえ

ほっぺがポテッと落ちるおいしさ

関連記事

関連記事