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バス運転者の実態を反映しない「働き方改革実行計画」の問題について(意見)

バス運転者の実態を反映しない「働き方改革実行計画」の問題について(意見)

2017年4月8日
自治労連公営企評議会 第4回常任幹事会

 2017年3月13日、経団連と連合は、時間外労働の上限規制等に関しての合意を行い、その後、3月28日働き方改革実現会議において「働き方改革実行計画」が決定されました。
 私たちの闘いは、長時間労働、過労死などが社会問題化する中、まがりなりにも政府自らが「働き方改革」を課題とせざるを得ない状況を作り出してきました。しかし、この「働き方改革実行計画」は、時間外労働について繁忙期の上限について過労死ラインを超える「月100時間未満」とするなど、長時間労働・過労死にお墨付きを与えるなど問題の多いものとなっています。

 とりわけ、私たちバス運転業務に従事する労働者(以下 バス運転者)にとって切実な要求であるインターバル規制(勤務終了と次の勤務までの間隔:現行8時間)は、すでにEUなどで実施されている11時間に改善させることをせず「努力義務」にとどめたことは大きな問題です。
 日本においては、変則な勤務が前提となるバスを含む自動車運転者については、労働基準法等とは別に「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」告示(以下「告示」)によって労働時間等の基準が定められています。

 「告示」の中では、ひと月あたりに週平均65時間、一日最長16時間の拘束時間が認められ、インターバル時間である「休息期間」は、8時間あいていれば良いとされています。これは、深夜に至るバス乗務を行い翌日早朝の乗務を命ずる勤務表を作成する当局の「便利なツール」となっています。
通勤に往復2時間かかるとすれば、自宅でくつろぐ時間もろくになく睡眠時間も4~5時間という生活の中で、運転手の健康と乗客の安全は守りきれるのでしょうか。

 これらの解決のためには、11時間インターバル時間の確保と、時間外労働を含めた総労働時間の厳格な規制を行うべきです。
 現場では脳梗塞などの疾病の発症が続き、毎日眠いとか、頭がボーっとしている、疲れが溜まって今にも倒れそうだとか、公休の日には1日中寝てたなどの声が蔓延しているにもかかわらず、「給料が下がる」「人事評価が下がる」と言いながら、過酷なダイヤ編成の中で病気休暇も取らず働かされている現実を直視することが必要です。
 厚生労働省などの疫学調査によると、睡眠時間が5~6時間を下回ると脳疾患・心臓疾患のリスクが高まるという報告をしています。国土交通省が実施した過労運転死亡事故の分析でも、睡眠時間が6時間を下回ったことによる事故事例が顕著に多いと指摘しています。これらの科学的知見・分析を直ちに取り入れるべきです。

 自治労連公営企業評議会では「告示」の改正を求め、毎年、厚労省・国交省 に要請を行っています。しかし、国は「(この告示は)中央労働基準審議会での関係労使の議論の上作られたものである」として、バス運転者がこのような過酷な勤務状況に置かれ、公共交通の安全確保に関わる問題にもかかわらず「見直しを行なわない」根拠としてこの「労使合意」を示しています。
 もとより、この中央労働基準審議会の「労」の委員の中には私たち自治労連は参加しておらず、このような「告示」の成立に組みしたことはありません。
 しかし、このような現場の実態を反映しない「労使」の合意がいかにバス運転者の健康と公共交通の安全を脅かし続けてきたかは明白であり、今回の経団連と連合の「労使合意」はバス運転者のみならず、全労働者の長時間労働・過労死の解決を遠のかせ、厚労省が「労使の合意の下でおこなわれたもの」という言い訳としてこれからも使い続けることは火を見るより明らかです。

 私たち自治労連公営企業評議会に結集するバス運転者は、この「労使」合意に抗議するとともに、過労死を増やす安倍「働き方改革」を許さず、人間らしく働けるルールの確立のため更に仲間の輪と闘いを広げる決意です。

以上

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