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機関紙『自治体の仲間』2017年 7月号 Vol.524 発揮しよう社会保障を守る自治体の役割

住民のためにいい仕事がしたい

発揮しよう社会保障を守る自治体の役割

自治労連第20回社会保障集会 in 滋賀を開催

▲社会保障集会に全国から115人が参加しました。
写真中央は全体会で講演する伊藤周平氏

自治労連は6月17~18日にかけて滋賀県大津市で第20回社会保障集会を開催しました。この集会は「一億総活躍社会」を標榜しながら、憲法第25条を軽んじる安倍政権に対し、社会保障闘争を地域・職場から推進しようと開催されたものです。記念講演では鹿児島大学伊藤周平教授が、今行われている社会保障改革は「日本国憲法第25条1項に規定する生存権を空洞化する政策であり、これにより貧困や格差が今以上に拡大することは必至である」と安倍政権の社会保障改悪を批判し、社会保障の再構築に向けた対案を政策として共有することを訴えました。

特別報告 手話通訳者として地域全体の福祉の向上をめざして

京都・向日市職労 岩谷 誠司さん

特別報告「京都・向日市における手話通訳条例制定・職員採用の取り組み」を行った向日市職労の岩谷誠司さんは、手話通訳士として住民窓口で住民と職員との橋渡しをしています。

報告では「手話が言語として認知され、聴覚障害を持つ住民が豊かな文化を享受できる社会の実現を推進する『手話言語法制定を求める意見書』が、昨年全自治体で採択されましたが法制化へは至っていません。また、自治体では手話通訳者の多くは非正規雇用です。法制化と合わせ、正規採用が求められている」と現状を示し「すべての地域住民の願いを、職員や労働組合にも知ってもらい、より良い地域をともにつくっていきたい」と訴えました。

さらに自治体と職員の役割について、「職員として、聴覚障害を持つ住民の苦労や不便を知り、それを地域の課題に結びつけ、すべての住民が参画できる市政が求められています。人口比では、聴覚障害を持つ方は少ないですが、人数の問題ではなく地域全体の福祉の向上が重要です」と語ってくれました。

分科会と講座

自治体職員の原点から仕事のあり方を考えよう
田川 英信さん 社会福祉士(元東京世田谷区職員)

分科会「社会福祉ってなんだ?」では元ケースワーカーで保護係長も経験した田川英信氏が小田原市ジャンパー問題を取り上げ、「財源削減や定数削減、厚生労働省の不適切な指導が現場を困らせている。憲法・地方自治にもとづく自治体職員の原点を今一度確認しよう」と話し、扶養義務の問題では「民法の認める親族的扶養の範囲は、近代法に類例を見ないほど広範囲であり、特に現実的共同生活をしない親族まで扶養義務を課していることを考えると…公的扶助を整備強化することによってその補充性を緩和し、できるだけ私的扶養の機会を少なくすることが望ましい」という裁判所職員の研修テキストの内容も紹介。

現役ケースワーカーや保育士の参加者からは「知らなかった」と声があがりました。

▲田川 英信さん
町政は町民の願いを知る職員とともに
滋賀県日野町長 藤澤 直広さん

「自治労連役員から町長へ、軽トラ町長奮戦記」と題した特別講演で藤澤直広日野町長は、「町政は町民の願いを知る職員とともにつくっていくもの。町長と職員の議論が良い町をつくる」と述べ、組合との交渉も「交渉において労使は対等」と話しました。

また、「憲法への宣誓は、全体の奉仕者として仕事をすることを要請しており、首長のためではなく、職員一人ひとりが住民のための仕事を考え、職務遂行しなければならないという非常に厳しい規範だ」と強調されました。

▲藤澤 直広さん


自民・公明・維新が賛成 共謀罪法案を強行採決

政治の私物化は許されない 安倍独裁政治にNO

共謀罪廃止に全力を

▲安倍政権の暴挙に国会前での抗議行動は静まりません(6月19日総がかり行動)

慎重審議と廃案を求める国民の声を無視し、6月15日早朝、自民・公明与党と維新の賛成で組織犯罪処罰法の一部改悪が、強行採決されました。犯罪の計画・準備段階で処罰可能とする「共謀罪(テロ等準備罪)」が新設され、国民の内心の自由を脅かし、モノ言えぬ社会にすると、国内外からの批判が高まっています。

国内外で共謀罪NO 世論ひろがる

国会で審議するほど、共謀罪がテロ対策とは無縁で、一般市民を監視・抑圧する危険性が明らかになるなか、国会前では連日行動が行われ、各地でも共謀罪の危険性を知らせる街頭宣伝や集会などがとりくまれました。

また、国連人権理事会特別報告者のジョセフ・ケナタッチさんが、「プライバシーの権利やその他の基本的な国民の自由の行使に深刻な影響を及ぼす」と安倍首相に書簡を送付するなど、海外からも共謀罪への懸念が表明されました。

マスコミの世論調査でも「与党の説明は不十分」だとする国民の声は多数を占めていました。

▲大阪市役所前での緊急ランチタイム集会&パレード(6月16日)

前代未聞の強行採決

しかし安倍政権は、国会会期末直前に、国会審議と運営のルールも無視して、法務委員会の審議と採決を省略。参議院本会議で強行採決する異例の手段をとりました。

特定秘密保護法や戦争法につづき、野党からの追及や国民の声を無視し、民主主義そのものを破壊する安倍政権は、暴走政治から「独裁政治」へと突き進んでいます。

自治労連は、共謀罪法の強行と民主主義を破壊する前代未聞の暴挙に「断固抗議する」と書記長談話を出しました。

▲共謀罪採決直後の6月15日に、岩手でも緊急抗議行動が開かれました

行使・濫用させるな

強行採決に対して、全国各地で抗議行動がひろがっています。また、森友学園・加計学園をめぐる安倍政権の「政治の私物化」問題もあり、安倍政権は支持率も大幅に下がっています。国民世論は民主主義を破壊する安倍政権と共謀罪に「NO!」をつきつけています。

共謀罪は7月11日に施行されます。国会審議では、金田勝年法務大臣は「一般市民は捜査対象とならない」「正当な組合活動を行っている団体が共謀罪の適用対象となることはありえない」と答弁しています。

自治労連は、この答弁を守らせることはもちろん、共謀罪の行使、濫用を許さず、憲法19条「思想信条の自由」などの憲法を確信に、住民と職員が安心してくらし働けるよう、共謀罪に臆せず、廃止にむけ全力をあげていきます。

▲国会終盤でも各地で宣伝署名行動が行われました(6月6日千葉駅前)


自治体労働者と共謀罪

日本国憲法の精神に沿った公務の遂行を

自治労連事務局弁護団 毛利(もおり) 崇(そお)弁護士(京都南法律事務所)に聞く

犯罪処罰の原則は、侵害行為を行った者を処罰するという考え方(行為主義)です。

世界史のなかで「危険な思想を持った者」や「危険性のある言動をした者」を処罰するという規定が、権力者が都合の悪い者を排除することに利用され、市民の基本的人権が侵害されてきたことから生み出された考え方です。この考え方に反する共謀罪は、権力者の横暴につながる危険性があります。

全体の奉仕者と権力行使の担い手

共謀罪を摘発するには、その場にいた者の告発(密告)が必要です。公務員は今でも職務に関して知った犯罪については刑事訴訟法上の告発義務がありますが、今後、「公務員のくせに犯罪を放置するな」という言い分で共謀罪の告発(密告)が業務命令として強要されかねません。

日本国憲法上、公務員は全体の奉仕者と位置づけられ、市民の命と健康、幸福追求に奉仕する存在です。一方で権力行使の担い手という立場でもあり、権力者の横暴の手伝いをさせられる可能性があるのです。

労働組合への結集が重要に

日本国憲法の精神に反する共謀罪規定の運用に対して、憲法尊重擁護義務を負っている公務員は、「そのような任務はできません」と主張すべきですが、一人でそのような行動を取ることは非常に困難です。

公権力の弾圧への対抗という意味においても、日本国憲法の精神に沿った公務の遂行という意味でも、自治体労働者が労働組合に結集し協力していくことが非常に重要です。


最賃 民間 公務 賃上げを

17人事院勧告に向け切実な要求つきつけよう

▲要請書を手渡す関東甲越ブロックの荻原淳議長(左)

自治労連関東甲越ブロック協議会は、6月5日に人事院関東事務局へ要請行動を行いました。

荻原淳議長は要請書を手渡し、「経済を立て直すには労働者の賃上げと労働条件や社会保障の改善が最も確かな道だ」とのべ、退職金手当削減や地方公務員法一部改正などについて、「自治体のあり方や公務労働者に極めて大きな影響を及ぼす」と指摘しました。

参加者からは「給与制度の総合的見直しによる現給保障を受けている職員が全体の4分の1を占める。保障が打ち切られれば大きな影響が出る」「長時間労働について、勧告で細かく言及してほしい」「非正規職員の賃金は、最低賃金ギリギリのところが多い」などの実情を伝え、職場改善に向けた積極的対応を求めました。

要請に対して関東事務局総務課長は、「切実な要求は受け止めた。現場の声をしっかりと本院に伝えたい」「非正規の労働条件は各自治体で定めるべきものだが、要望は本院に伝える」と述べました。


自治労連が15府省庁と交渉実施

▲総務省交渉には、京都、岡山、愛媛、都市職・町村職部会の代表者が参加

自治労連は国民的な課題や自治体・公務職場などで起きている問題や実態を各省庁に伝え、施策・予算に反映させることを目的に、今年も6月5~9日にかけて府省庁交渉を実施し、交渉には地方組織・単組の仲間がのべ87人が参加しました。

「トップランナー方式」は廃止を

総務省

6月5日に行われた総務省交渉では、「トップランナー方式」は地方交付税の目的、趣旨に反し、住民サービスを著しく低下させるとして廃止を要求しました。愛媛の仲間からの「自治体が災害に備え、住民サービス維持目的に蓄えた基金の積み増しを口実に交付金を削減しようとすることは行き過ぎだ」という指摘に、総務省は「一律に、地方の基金が積みあがっているからそれを削ればいいとは思っていない。地方の改革の努力を反故にしないような形で見直しをすすめていく」と回答しました。

公務職場の恒常的時間外労働の規制を

厚生労働省

6月7日に行われた厚生労働省(労働分野)との交渉では、職場の長時間労働の実態を示しながら、「公務の職場では、労基法33条3項『臨時の場合』を名目として、恒常的に時間外労働を強いられている。どう上限規制をしていくのか」と、厚生労働省としての積極的な対応を求めました。厚労省からは、「労基法33条3項では、適正な運用をはかるように通知を総務省から出すなどの検討をしている」「過重労働が疑われる職場に対しては、是正指導を行っていきたい」と回答がされました。

▲厚労省交渉には、埼玉、東京、愛知、滋賀、医療部会から代表者が参加


主張 2017夏季闘争

公務員賃金、最賃、公契約の改善で地域活性化

安倍政権が異常な金融緩和や財政出動、成長戦略を推しすすめてきた結果、大企業は史上空前の内部留保を増やす一方で、日本経済は縮小、個人消費支出も連続して減るなど、労働者・国民のくらしは苦しくなり、地域経済も疲弊しています。

全労連の最低生計費調査では、全国どこでも月額22~25万円程度、時給換算で1500円が必要(単身者25歳)であり、現行の最低賃金では「健康で文化的な最低限度の生活」がおくれないことと全国一律最低賃金制度の必要性が明らかになりました。最賃の引き上げによる賃金底上げは内需を拡大し、日本経済の再生につながります。中央最低賃金審議会の7月末の答申に向け、大幅引き上げと全国一律制の確立を求める運動を強め、世論を広げることが重要です。

地域から公務・民間の共同を

17春闘では、民間大手企業は低額妥結となる一方で、格差拡大や労働力不足を背景に、中小企業や非正規の仲間の奮闘が大企業を上回る賃上げを実現しています。この流れを公務員賃金引き上げにつなげるため、17人勧に向け、政府・人事院に対し賃上げを迫る地域からの運動が求められます。

公務員賃金をめぐり、「給与制度の総合的見直し」で地域手当による地域間格差が拡大し、職員採用が困難となる自治体も出ています。また、退職手当の削減も狙われており、これらを許さないたたかいとともに地域の中小企業支援を強化する公契約適正化の運動を、中小業者や住民との共同で推進する必要があります。

「働き方改悪」許さず長時間労働一掃・人員増を

政府は、「働き方改革実行計画」を決定し、秋の臨時国会に向け関係法令「改正」の動きがすすんでいます。時間外規制では過労死ラインの残業を合法化、均等待遇では人材活用による抜け道をつくるなど、労働者の不安に応えるポーズをとりながら、実際は財界・大企業のさらなる利潤追求の手助けとなる内容となっています。

夏季闘争では、全国一律最賃制・大幅引き上げ、公契約適正化、公務員賃金改善とともに、安倍政権のすすめる「働き方改悪」を許さず、地公法一部「改正」も視野に、長時間労働の一掃・人員増を求め、各地域での公務・民間の共同した運動を全国の運動と結んで大きく前進させましょう。


他県への人材流出を懸念

地域活性化は賃上げから

島根 憲法キャラバン

▲行われた大田市との懇談(5月24日)

全国各地ではじまった憲法キャラバン。島根県事務所は、5月22~31日に、県労連、建交労県本部とともに、県と8市11町村すべてを訪問。安心して住み続けられる地域づくり、職員の賃金引き上げ、共謀罪などを中心に懇談しました。

地域づくりの課題では、国の地方創生推進交付金に対し、「後出しで先駆性・自立性などが要件に加わり困る」(出雲市)、「要件を緩和してほしい」(安来市)といった意見や、今年度の申請が不採択になった事業もあることなど、不満や要望が多く出されました。

自治体職員の人員確保については、「役場では技術職、民間では介護福祉士が不足。広島などに流出している」(吉賀町)など、深刻な状況が語られました。隠岐の島町の大庭孝久副町長は、「民間に合わせて公務の賃金を下げろというのはおかしい。地域間の格差をますます広げるもの。公務員の仕事はどこでも同じだ」と批判。「公務の賃金を上げないと活性化しない。最低賃金が県によって違うのはいかがなものか」と語りました。

非正規職員の問題では、各自治体に「任期の定めのない常勤職員中心の公務運営原則の確立」「現行の到達を後退させず、処遇改善に向けた条例・規則の整備、財源の確保」などを要請しました。

また、当時国会で審議されていた「共謀罪」に対し、国民への説明不足、十分な国会審議を求める発言が相次ぎ、吉賀町の岩本一巳副町長は「一般市民に多分に関わり、普通の生活に入り込んでくることになる。お互いが監視しあうことになるのでは」と懸念が述べられました。


玄海原発を視察

原発依存から脱却めざす

立地自治体・地元団体・住民と懇談

▲防災地図を示し、避難計画を解説する唐津市総務部副部長

佐賀県玄海町に立地する玄海原発3・4号基の再稼働が迫るなか、自治労連は、原発立地自治体とその周辺自治体の行政、地域経済、住民生活におよぼす影響や問題点を調査するために、6月22~23日、玄海原発を視察し、玄海町役場と地元経済団体、唐津市役所などを訪問し、懇談しました。

玄海町役場では、総務課長、財政企画課長から避難計画の解説や、原発停止による税収減により、23年ぶりに地方交付税受給の可能性が高まるなど、町財政についての報告を受け、意見交換をしました。

玄海町旅館業組合との懇談で、溝上孝利組合長は「玄海原発1号基廃炉が決まった。原発に依存するのではなく自分たちで地域を立て直していく必要がある」と、原発依存の体質に苦言を呈しました。

唐津市役所では、総務部副部長らから避難計画などの報告があり、避難計画について、「自治体任せにせず、国がもっと積極的に関与すべき」ことだと、自治労連との共通認識となりました。

視察には静岡、京都の役員も参加しました。佐賀自治労連の浦中耕一郎書記長は、「これまで原発に頼らない立地自治体の財政運営、地域経済や避難計画を含めた周辺自治体への影響などを議論してきた。原発立地住民の声を共有できたことで、いっそう充実した自治労連の政策づくりにいかせる」と語りました。

▲溝上さん経営の民宿「要太郎」で懇談する自治労連原発ゼロ・再生可能エネルギー推進政策検討委員会のメンバー


すすむ非正規公共評(31)

市長と直接交渉し、3年連続の賃上げ

静岡自治労連 サンライズ労働組合

▲2016年の福井祐輔・下田市長との団体交渉

下田市の臨時職員でつくるサンライズ労働組合は、2007年に結成し、11年のゴミ収集部門の民間委託化にともなう臨時職員の雇い止め撤回、15年には学校給食の民間委託撤回を市民運動とともにたたかってきました。

賃金闘争については、下田市職の賃金確定闘争に合わせて毎年「秋季年末要求書」を提出していましたが、当局から文書回答をもらうだけで終わっていました。

しかし、14年の静岡自治労連「自治体キャラバン」への参加で一変。静岡自治労連の県内統一要求書とともに「秋季年末要求書」を市長へ手渡し、団体交渉を申し入れました。その結果、市長と直接団体交渉を行うことになり、3年連続の賃金単価引き上げを勝ち取ってきました。

団体交渉では、参加者全員が臨時職員の低賃金の実態、正規職員との格差、専門職の採用困難などを訴え、市長も真剣に聞き入っていました。また、議会でも臨時職員の賃金単価が近隣市町に比べて低いという質問が出され、サンライズ労組の要求を後押ししてくれました。

14年は臨時職員の日額単価平均100円引き上げを勝ち取り、15年には保育士や保健師など専門職の日額単価を最大100円引き上げました。

市長が代わった16年も一般事務80円、保育士・幼稚園教諭240円などすべての臨時職員の日額単価を引き上げてきました。

しかし、いまだ近隣自治体に比べ賃金は低く、特に保育園では、隣の市や民間保育園へ人材が流出しています。引き続き、賃金の地域間格差をなくすとりくみを強化していきます。


全国ですすむ職場訪問

予算人員増実現待ったなし

▲教育委員会放課後対策課の職員と対話する広島自治労連・大内理枝書記長

長時間労働の実態調査とともに予算人員増を勝ち取るため提起された職場訪問が全国各地ですすんでいます。その様子を取り上げます。

28%削減の影響クッキリ

広島市職労

広島市職労が6月12日に、本格的なとりくみとしては約10年ぶりとなる職場訪問を実施しました。

超勤調査とともに、区役所を含めた全職員に機関紙号外を配布しました。執行委員3~4人ごとにチームをつくって訪問すると、「今日の新聞、アメが付いているんだね」と、職員も喜んでくれました。

この日、午後6時30分の職場訪問では、約500人が在席し、午後9時30分でも173人の職員が残業をしている深刻な実態がわかりました。

この20年間で広島市の正規職員は、約1万3200人から9521人と28%も削減されており、予算人員を増やすことは職場の大きな願いです。

今年の2・3月議会で松井一實広島市長も「現場の長時間労働の削減のとりくみを着実にすすめ、さらに必要であれば見直しを検討する」と、人員削減計画の見直しについてはじめて言及しました。

広島市職労は、職場訪問を通じて、予算人員増の実現とともに、組合員も増やしていくよう奮闘していきます。

回数重ね、信頼得て

岡山・倉敷市職労

倉敷市職労では4月18日、「必要な人員増を」などを印字したシールを貼ったお菓子を約300個用意して本庁舎を回りましたが、この日の残業職員は383人でお菓子が足りなくなりました。

職場の反応は、どこも好意的で、職場の受け止めと、残業実態がわかり参加者からも「やってよかった」「またやろう」と意欲が高まりました。交渉に向け、「1回だけでなく2回調査した実態を示そう」と、5月9日、6月13日にも実施し、アンケートも3割以上も寄せられました。職員からの期待と好評価を感じました。

▲倉敷市職労が実施した5月9日の職場訪問


家族と自分の時間を犠牲にする働き方にSTOP

第22回 自治労連 労働安全衛生・職業病全国交流集会

▲過労死を考える家族の会・寺西笑子氏の話に涙ぐむ参加者も

自治労連は、長時間労働の是正と労働者の「いのちと健康を守ること」を目的に、2年に1度全国交流集会を開催しています。今年は6月3~4日、静岡県静岡市で開催。全国のとりくみの交流と、産業医・阿部眞雄氏による「長時間過密労働がいかに健康を害するか」の記念講演があり、2日目は各テーマに分かれ学び合いました。労働安全衛生活動の重要性と組合の役割を考えます。

働く側の自覚がいのちと健康を守る

「残業時間がゼロでも命を落とす」と述べた産業医の阿部さんは、「フランスは週35時間労働制だが過労死が問題になっている」と紹介。「労働の質は、肉体労働、精神(頭脳)労働、神経労働、感情労働によって、疲労・ストレスの度合いが変わる」と言います。

長時間労働対策について、「現場の実情を考慮しない一律的な残業禁止令は、パワハラだ」と指摘。「管理職の教育と必要な人員配置、時間が有限な資源だという働く側の自覚、労働者の連携、仕事の見直しが必要だ」と述べ、「労安委員会メンバーと労働組合が交流し、たくさんの意見を集約し背景を考え、複数の対策を考える」労働者参画型の労働安全衛生活動が大切だと強調しました。

労安活動と組合活動で職場環境向上の実現を

2日目の「ハラスメントを防止する」分科会では、ハラスメント問題は、組合が職場環境向上や組合員保護の観点で学習し、周知、啓発することが必要。個別規制法がないパワハラは『パワーハラスメント防止ハンドブック』(人事院)に指導との違いが整理されているので、活用できることが紹介されました。

分科会「公務災害認定請求入門」では、「公務災害」が起きた場合、速やかに組合の書記長、所属長に報告することや、発生時の状況説明が認定の分かれ道になることなどノウハウが紹介されました。請求手続きを学ぶとともに、公務災害が起きないようにする組合と労安委員会による職場点検活動の重要性を共有しました。

集会全体を通して、参加者からは「あらたに労安委員会のメンバーになり、勉強になった」「組合として長時間過密労働の対策をすすめたい」「労安活動を積極的にとりくみたい」といった感想が聞かれました。


学びとつながりを力に、全国の元気を職場へ

第5回青年自治研集会 in 神奈川

▲元気に仕事を語り合った充実の2日間

青年が学びつながる場としてはじまった青年自治研集会は今年で5回目。集会は、6月10~11日にかけて神奈川県三浦市で開催し、「住民のための仕事とは何なのか」を全国のとりくみに照らしながら、学び合いました。

集会1日目、基調報告を行った自治労連青年部・池内亮太書記長は、「職場に余裕がなく、『住民のための仕事』が考えにくい状況が広がっている。全国の仲間と学び合い、あらためて住民のためのいい仕事を考え、労働組合の役割を確認し、実践につなげよう」と呼びかけました。

学習会では、講師の自治労連・久保貴裕中央執行委員が「自治労連がめざす自治研運動」と題し講演。その後テーマごとに分かれて、学び合いました。

仲間づくりがいい仕事につながる 特別報告より

2日目の全体会では、3人の青年が特別報告。千葉県本部青年部の川名健太さんは、①青年の要求にもとづき、②青年が中心となり、③親組合と協力する3点を重視して、青年部主催の県外研修をしていることを報告しました。

神奈川・横浜市従青年部書記長の菊地麻美さんは「仲間づくりがいい仕事につながってくる」と力強く話し、全国の仲間や単組、支部などとの連携と、「組織強化」の重要性を強調しました。

愛媛県本部青年部長の力石(ちからいし)浩介さんは、「地方自治研究愛媛集会」に青年部主催の分科会を設けていることを紹介。「グループトークができる楽しい運営をめざしている」と青年の参加を高める工夫が語られました。


今月の連載・シリーズ

いい旅ニッポン見聞録
第18録
愛媛県内子町 内子座
舞台と観客の距離が近い芝居小屋

木蝋が育んだ江戸・明治の風情ある町並み

かがやきDAYS
〔37〕
愛知・名古屋市職労 國松(くにまつ) 朋彦(ともひこ)さん
夢はプロのトーナメント出場

正確なアプローチでナイスオン

まちコレ
Collection37
農民連丸大豆しょうゆ
木樽2年仕込みの天然醸造醤油

千葉県

うレシピ
第68品
山口・下松市職労 原田 しのぶさん
韓国風肉じゃが

うまい肉じゃがは、こっちじゃん

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