第19回大阪地方自治研究集会に203人が参加
維新型政治の実態と「公共の役割」を問いなおす!
7月9日、エル・おおさか南館ホールにて、第19回大阪地方自治研究集会(以下、大阪自治研集会)が開催されました。大阪自治研集会は、7年ぶりの開催となり、203人が参加しました。
集会では「語り合いましょう『公共の役割』」というテーマで、大阪の維新型政治のもと、住民生活にかかわる様々な問題とそれに対する住民の取り組みや実態、自治体の現場や労働組合の取り組みはどうなっているのか、などを検証し、改めて大阪における住民本位の行政を確立させていくための起点となる集会になりました。
冒頭、大阪自治研集会実行委員長で立命館大学の森裕之教授(大阪自治体問題研究所副理事長)が開会あいさつで「住民自治の発展を―いま問われていること―」と題し、「『都構想』と住民が求めていない統治機構いじりに対して、住民自治を活性化して声をあげていくことが大切である」と述べました。
続いて、実行委員会事務局長で大阪自治労連の中島早登司副執行委員長が、地方自治研究集会の意義と目的について基調報告をしました。その後、自治体労働者・地域住民など8人によるリレートークが行われた後、桜田照雄阪南大学教授が「カジノや万博で大阪経済はさらにダメになる」と題した報告を行い、「なぜカジノはダメなのか」 「行政や首長がすすめることの住民生活への影響」について訴えました。
フロア発言では、「新婦人の取り組みで求めてきた行政の役割」「大阪市の職員基本条例の実情」「大阪府立公衆衛生研究所の統合問題」「子どもの貧困問題と大阪ネットワークの取り組み」「行政の災害対策や農林業政策問題」などの発言がありました。
リレートークやフロア発言などを受けて、大阪自治体問題研究所理事長で奈良女子大学の中山徹教授が全体集会のまとめを行いました。中山氏は「今、地方自治体が問われていること、求められていることについて、①自治体として平和問題にどのように積極的に関与していくか、②自治体として地域の歴史や文化、自然をどう守るか、③自治体として福祉の拡充と地域経済の発展をどう両立させるか、④自治体として学校教育や子育て支援をどう充実させていくか、⑤自治体としてどうやって民主的な自治体をつくっていくのか、地方自治をどう発展させていくか。この5点で、市民の立場に立った新しい政策を進めていく自治体を、『市民共同自治体』と呼んでいる。このような新しい自治体を展望できる時期に来ている」と述べました。
そして、自治体が大きく動いた「革新自治体」の頃と今の大阪の状況を比較しながら、「1つは『客観的な状況』として、行政や住民の暮しにおける矛盾の深まり。もう1つはそれらの矛盾を変えていく『主体の形成』。この2つが揃うと自治体は大きく動く」と指摘し、「今も、『客観的な状況』として、大阪の経済状況や貧困問題はどの指標を見ても全国的に最も厳しい状況があり、府民の不満や不安をかすめ取って自治体を牛耳っているのが維新。その維新府・市政は『カジノ万博』『都構想』をやろうとしている。それに対して、保守・革新をこえた『大阪市を守らなアカン』と共同した大阪市の住民投票のたたかい、『カジノはあかんやろ』という共同のとりくみなど、全国の大都市の中でも、今の自治体の状況を大きく変えていく可能性が一番高いのが大阪ではないか」と述べ、「このような時期に、7年ぶりの大阪自治研集会が開催されたことは非常に大きな意味がある。今の大阪の状況を打開することにつながるもの」として、集会をしめくくりました。
参加者からは、「維新府・市政がすすめてきたことは、社会的弱者に大きな影響を及ぼしている。その中でも、改善をめざして、これ以上の低下を招かないようにされていることに心強く思った」「『自治体とは何か』をもっともっと住民に知らせていく勉強会が身近な地域で必要ではないか」「地域住民にむけて、今の状況をあきらめずに伝えていかなければならないいと思った」「こういう集会のことをもっと一般住民に知らせてほしい」「自治研の取り組みを強めてほしい」など、大阪自治研究集会の意義や目的に関わる意見、時間をかけた学習や討論への要望など、多くの声が寄せられました。