地域医療と公立病院の充実を求める医療関係政府要請、団体懇談を実施
2017年1月29日(月)、自治労連は、前日の「いのちと地域を守る学習・意思統一集会」で学び、交流した全国各地のとりくみや職場・地域の課題を持ち寄り、医療関係府省、団体への要請・懇談行動にとりくみました。
【総務省要請】公立病院改革ガイドラインはあくまで、技術的な助言であり地域の実情に合わせた医療供給体制を構築すべき
自治労連からは13人が参加し、総務省自治財政局からは公立病院担当、地域医療担当等が対応しました。中川書記長は「新公立病院改革ガイドラインや地域医療構想の具体化によって、地域医療の中核を担う公立病院の縮小・解体が進められ、住民のいのちが脅かされ、地域で住み続けられることが困難になるようなことがあってはならない。安心・安全の地域医療実現のため、要望を受け止めていただき、対応していただきたい」とあいさつしました。
総務省からは、○公立病院は、へき地や不採算医療・政策医療などを担っている。地方交付税を、3.0%(7600億円)昨年より200億円増額。○総務省が、新公立病院改革プランや地域医療構想に伴い病床削減などを自治体病院に押しつけることはない。自立的に改革に取り組んで、公立病院が安定的に医療体制を確立できることが望ましい。効率化・再編ありきではない。○一般会計繰り出し金に対して、所要額を毎年地方財政計画に計上すると供に、不採算医療等の提供、看護師等医療従事者の確保、処遇改善・研修などの取り組みに対して地方交付税措置を講じている。等の回答がありました。
最後に、中川書記長が「地域医療を守っていくことが大事と考える。今日の現場の実態を伝えたことをふまえ、地方交付税のさらなる充実の努力をお願いしたい」と締め括りました。
【厚生労働省要請】地域医療構想は、地域の実状を把握し協議するもの。「病床削減」が目的ではない。正確な労働時間管理が必要。さらなる監督指導を
自治労連からは24人が参加し、厚労省からは医政局、労働基準局、保険局が対応しました。高柳副委員長が「医療職場の人員不足や長時間・過密労働の実態を示し、人員増で労働条件・職場環境を改善し、患者に対して良い医療がしたいという現場の声を聞いてほしい」とあいさつ。静岡、長野、千葉、大阪など各地の現場からも長時間残業の実態など職場の実情を訴えました。
厚労省からは、○(医療分野の「雇用の質」の向上のため)法改正を行ない、各都道府県に支援センターを設置。ホームページやセミナーなど普及に努めている。○離職防止、復職支援の2点で看護師確保を図っている。深夜回数制限やインターバルなどの見直しを検討している。○平成28年の診療報酬改定で引き上げが行なわれた。それぞれの病院が提供する医療内容に応じて、必要な看護師数を考えている。○(地域医療構想は)「病床削減」が目的ではない。強制ではなく、調整会議で協議されるべきもの。国が示したのはあくまでも基準であり方向性を示す参考値。地域の実情・必要性に応じて地域で話し合いを。○かかりつけ医の業務の実態の調査、患者ニーズ把握調査をする検討。総合診療専門医の養成がはじまるため、養成支援をしていく。診療報酬でのかかりつけ医機能の評価も検討。普及推進に努める。○平成30年度診療報酬改定において、医療従事者の勤務環境に関するとりくみが推進されるよう要件の見直しが検討されている。また、医療資源の少ない地域に配慮した評価を推進するため、病床数の要件となる診療報酬の取扱いの見直しも行なっていく予定。等の回答がありました。
【全国自治体病院協議会懇談】診療報酬のトータルでのマイナス改定では病院経営を維持できない。一丸となってたたかっていきたい
自治労連からは9人が参加し、全国自治体病院協議会からは黒澤経営調査部長が対応しました。松繁副委員長が、「国がすすめようとしている地域医療構想により、地域住民は安心して暮らせる地域となるのか不安の声も多い。毎年、この懇談を通じて、お互い共感しあえるところも多い。地域医療を守るため忌憚のない意見交換を」とあいさつし、意見交換を行いました。
全自病協からは診療報酬改定について、「今回の診療報酬改定率では、トータルではマイナスであるため全自病恊として病院の経営を維持できないことを1月に記者会見で発表している。病院事業は公定価格である診療報酬に限られるため、五病協で一丸となって闘っていきたいと思っている」との考え方が示されました。
自治労連からも地域の実情を訴え、あらためて自治体病院が中心となって地域の保健・医療・介護全体の社会保障を守る役割を担い続けられるよう期待していることを表明し懇談を終えました。
【日本看護協会】診療報酬改定や看護必要度に関する認識を共有、看護師の賃金制度改善についても言及
自治労連からは、40人が参加し、日本看護協会からは、福井トシ子会長、菊地副会長、熊谷常任理事、労働政策部が対応しました。高柳副委員長は、職能団体として労働環境の整備への尽力に対する感謝を述べ、「全国から自治体病院で働く組合員・役員が参加している。現場実態を交え、課題を共有し運動を前にすすめる機会にさせていただきたい」とあいさつしました。
長時間労働や賃金抑制の実態についての訴えに、日看協からは、「変則二交代制を指示している訳ではなく16時間夜勤に反対している。ガイドラインを読んで、病院ごとに労使で話し合ってほしい。また、夜勤保育を診療報酬に入れるように要望している。育休や福利厚生など働く上での必要経費の不足分を補助金として要望しているがデータがなく要望しきれていないため、データを組合からも提供して欲しい」「複線型人事制度を検討しており、一般看護師・管理職・高度専門看護師の3つ。それぞれ等級があり、一般職は5等級で看護研究や実践などでランクが上がっていくので合致すれば賃金も上がっていく。静岡では研修が行われており、病院側も行き詰まりを感じているのは同じではないか。機関紙・月刊「看護」2月号に特集が組まれているので参考にしてほしい」との見解が述べられました。
最後に、働き方について人員問題・賃金問題等課題は多いが、働き続けられるようお互い情報を提供していくことを確認し合い、懇談を終えました。