第26回自治体保育労働者の全国集会in岩手・もりおか~750名をこえる参加で大成功
「自治体保育労働者には、憲法を遵守し、子どもの権利を守る責任がある。平和を守り、公的保育を守る運動、保育の質を高める運動と学習活動を進めるために、各地の組織強化と団結を」とアピールを確認!
2月17~18日、岩手県盛岡市内で「第26回自治体保育労働者の全国集会in岩手・もりおか」を開催。集会には全国21都府県から、組織の違いを超えて、のべ750人以上が参加しました。
集会では、2日間(第1日目:全体会、第2日目:分科会・講座)にわたり、公的保育制度をめぐる情勢・現状や全国のとりくみを学び合い交流。今後の運動のすすめ方について意思統一。参加者全員で「自治体保育労働者には、憲法を遵守し、子どもの権利を守る責任がある。平和を守り、公的保育を守る運動、保育の質を高める運動と学習活動を進めるために、各地の組織強化と団結を」とアピールを確認しました。
全体集会のオープニングは、現地実行委員会・盛岡市の公立保育園の保育士のみなさんによる歓迎行事。南部藩の藩政時代から受け継がれてきたと言われる「さんさ踊り」「さっこら~ちょいわやっせ~」の掛け声とともに鼓・笛・鐘のリズムに合わせて踊るさんさ踊りの企画は、盛岡市の公立保育園の保育士さんたちが準備し、練習したものです。
来賓として、谷藤裕明盛岡市長の代理として志賀達哉盛岡市こども未来部長があいさつしました。
心理臨床家の高垣忠一郎さんが、「いま人間に必要な自己肯定感」と題して、ステージから降りて参加者の間を動き回りながら記念講演を行いました。
高垣さんは、40年間病院の精神科でカウセリングを続けてきて、「不登校」の相談が多く、最近では「ひきこもり」の相談が多くなっていること、不登校やひきこもりの子どもや若者たちは心の深いところで自己否定の思いにとらわれていることにふれました。そして、どうして、こんなに自分を否定する想いをもつ子どもや若者たちが多くなっているのかという切り口から、現代社会における「自己否定感」の問題について、その本質に鋭くせまりました。
最後に、高垣先生は「まるごと否定のこころを癒す自己肯定感」とは「良いところを見つけ、ほめる」という評価の肯定感ではなく、「存在そのもの」を丸ごと肯定する共感とゆるしの自己肯定感であると結びました。
武藤貴子事務局長が基調報告。待機児童や保育士不足の問題をはじめとする保育をめぐる情勢についてふれ、政府の進めようとしている政策の問題点や保育労働者の状況を明らかにしながら、「暑さにも冬の寒さにも負けず、大震災にも負けず、真摯な努力を続けている東北の仲間たちに学びながら、子どもたちへの、保育への熱い思いを、盛岡から全国へ発信させよう」と力強く運動方針を提案しました。
特別報告では、埼玉・所沢市職労保育部会部会長の光本千枝さんが、「非正規職員のさらなる処遇改善と公立保育園を守るために ~『会計年度任用職員制度』導入にむけた 所沢市職労保育部会の取り組み~」と題して報告。「所沢市には、勤務時間の違いはありますが1,600人を超える非正規の職員が働いています。会計年度任用職員制度によりこれまでの労働条件の到達が切り崩されたり、委託化が加速するのではないかとの危機感から、保育部会では18園をまわり1時間程のパワーポイントを使用した学習会を行い、非正規・正規あわせ述べ307名が参加し、組合加入の成果もありました。この制度は、職場の存続・住民福祉の維持・向上にも関わる問題です。正規・非正規が一緒にがんばり、仲間を増やしていきましょう」と発言しました。
続いて、愛知・名古屋市職労福祉支部保育園部会の坂本将取さんが、「脱・ルーティーンワークの保育運動! ~保育情勢紙芝居を作成の運動から見えてきたこと~」と題して報告。「名古屋市の保育現場では、ここ数年欠員問題や民間移管の問題が深刻化する中で、保育署名の筆数が減少していることについて、保育園部会執行委員会で話し合い、職員が関心を持ち、父母と一緒に運動ができるようなものをと考え、①保育情勢がよくわかる紙芝居を作成し、②分会の中で学習を行い、③紙芝居を全園へ配布して父母のいる場で活用したり、④門前での署名行動について父母と一緒にやることを追求するという取り組みを決定し、実践しました。取り組みを通して、改めて署名を取り組む意義等を再確認することが出来ました。ルーティーンワークにせず、絶えず意見を交わし思いをめぐらせ楽しく運動をデザインすることが必要だと感じました」と発言しました。
第26回自治体保育労働者の全国集会アピール
2月17日、18日の両日、私たちは第26回自治体保育労働者の全国集会を開催し、情勢を学び、全国の運動を交流し合い、公立保育所の存在意義とこれからの運動の方向を確認しました。
昨年10月の総選挙では、与党が3分の2の議席を維持しましたが、これは、小選挙区制の弊害や市民と野党との共闘をつぶす策動があったからで、安倍政権が信任されたわけではありません。一方、「憲法を守る」「安保法制に反対」の立場で一致した、新たな枠組みによる市民と野党の共闘が短期間に進みました。今後、働く人々や国民が大切にされる社会への転換がめざす市民と野党の共闘の強化が求められます。
今回の総選挙、自民党は「幼児教育の無償化」を公約に掲げました。その後、国は2020年度から完全実施する方向を定めましたが、多方面から「待機児童解消が最優先課題だ」「無償化より保育士や保育施設の確保が求められている」などの反対意見があがっています。また、無償化の財源について、公立施設は全額市町村負担という案が示されています。仮にそうなれば、公立保育所の民営化にさらに拍車がかかるのは必至で、それが続けば、公立保育所は全廃への道をたどることになります。
東京都が2017年に実施した保育サービス実態調査によれば、乳幼児の子どもを育てる世帯の52%が公立保育所への入所を望んでおり、私立保育所、認定こども園、幼稚園などを大きく上回っています。しかし、実際に入所できているのはわずか17%でした。公立保育所に入りたい世帯が多くいるにもかかわらず、入れない世帯が圧倒的多数なのです。したがって、公立保育所を増やすことは、広範な子育て世帯の願いに応える重要な施策だといえます。
公立保育所つぶし=保育の市場化の推進に突き進む安倍政権は、いよいよ憲法改悪の具体化に着手し、9条に自衛隊を明記することなどをめざしています。子どもの最善の利益のために尽くさなければならないはずの国が、子どもを戦争の惨禍に巻き込む策動が進めようとしているのです。自治体保育労働者には、憲法を遵守し、子どもの権利を守る責任があります。したがって、このような動きに断固反対しなければなりません。平和を守り、公的保育を守る運動、保育の質を高める運動と学習活動、これらを進めるために、各地の組織を強化し、自治労連保育部会の団結を深め、共に奮闘しましょう!
以上宣言します。
2018年2月18日 第26回自治体保育労働者の全国集会