第30録 「氷くるみ餅」を食べて熱気あふれる大会に
2018年8月号 Vol.537
「もののはじまりなんでも堺」
「氷くるみ餅」を食べて熱気あふれる大会に
大阪府堺市
▲山口家住宅(左)とその内部(右)阪堺線「綾ノ町」より200メートル
第40回自治労連大会の会場となる大阪の堺市。
「もののはじまりなんでも堺」とも言われ、中世には海外交易の拠点として繁栄してきた堺市を訪れました。市内をゆっくり歩いてみれば、そうした数々の歴史のあとを目にすることができます。
堺から大阪市内までを走るレトロな雰囲気の路面電車「阪堺(はんかい)線」はチンチン電車とよばれ、今も住民の大切な交通手段です。電車に乗ると、また違った目線で街並みを楽しむことができます。電車はどこまで乗っても210円ですが、600円の一日乗車券がおすすめです。
この時期、市内の散策を試みようとするとまずこう思うでしょう。
「めっちゃ熱いやん」
そんなときはぜひ創業700年の和菓子店「かん袋」の「氷くるみ餅」を食べて、熱くなった身体を冷やしながら、散策プランの練り直しをしてはいかがでしょうか。餅にかかっている、ほどよい甘さとコクを強く感じさせるトロッとした餡とかき氷との相性は抜群です。老若男女、次から次へとふらり入って涼をとっていきます。
「氷くるみ餅」を楽しんだ後はかん袋から徒歩5分ほどのところにある「さかい利晶の杜」へ。
堺に生まれ、茶の湯を確立した千利休と、社会問題に幅広く鋭く切り込む評論など、多くのメッセージを発信してきた歌人・与謝野晶子の生涯や功績を、紹介するミュージアムです。
施設内は、千利休の湯館、与謝野晶子記念館、観光案内展示室、茶の湯体験施設などに分かれており、楽しみ方はいろいろあります。
与謝野晶子記念館では戦時中に晶子が残した言葉の数々が、当時の様子を物語っていることに気づきます。
「女もまた男子と同じく人である」
「女性の力の及ぶところはじめて平和の光あらん」
堺には、日本国内では数少ない江戸時代初期の町家・山口家住宅(堺市立町家歴史館)が残っています。重要文化財に指定されていますが、中に入ることができ、隅々まで見ることができます。また、堺は日本が世界に誇る刃物製作の起源でもあります。山口家住宅周辺には昔の面影を残すように刃物製作所が多数あります。
ぜひ自分なりの歴史ツアーを計画し、ものづくりと文化の息づく堺を楽しんでみてください。
▲さかい利晶の杜
▲かん袋の氷くるみ餅。餅は氷のなかに
見聞録メモ
新大阪から「かん袋」までは、地下鉄御堂筋線で天王寺駅へ。天王寺駅で阪堺線に乗り換え、寺地町駅で下車。徒歩3分ほどのところ。