大幅増員、長時間労働是正へ 「やりがい」と「辞めたい思い」 1・20 いのちと地域を守る学習・意思統一集会
▲東京都内で開催された集会に全国から58人が参加
大幅増員・夜勤改善と長時間労働是正の運動をすすめるための学習と意思統一の集会が20日に開催され、全国の仲間からの職場実態の報告と、昨年とりくまれた「自治体病院に働く職員の労働実態アンケート」の中間報告が行われました。
特別報告では、岩手・奥州市医療局労組から、地域で周産期医療や小児医療などの医療体制が維持できなくなっている状況が報告され、東京・都庁職衛生局支部からは、都立病院の地方独立行政法人化に反対するたたかいの経過と決意が語られました。
大阪・りんくう総合医療センター労組は不払い賃金請求裁判、愛媛の津島・吉田病院局労組は「平成30年7月豪雨」時の経験を報告。長野・浅間総合病院労組からは、昨年実施した職場訪問の経験と重要性が報告され、今年11月に長野で開催される「第19回自治体病院全国集会」への参加も呼びかけられました。
参加者からも各地の状況やとりくみについて質問・発言がありました。
若干の改善あるも続く劣悪な職場環境
「自治体病院に働く職員の労働実態アンケート」は、調査対象を前回の「看護職員」から「自治体病院職員」に拡大し、最終集約日(12月7日)までの間に、前回2014年度の約8500枚を大きく上回る約1万3000枚の集約を達成。
今回の中間報告は11月9日までの到着分を単純集計した報告ですが、前回結果と比較し「サービス残業なし」が増加するなど若干の改善がみられるものの、勤務形態が大きく変化し、引き続き厳しい労働環境であることが浮き彫りになりました。
意識調査では職員の多くが「やりがいを感じながらも辞めたいと思いつつ働き続けている」ことも明らかになりました。
「医療体制の確保を」医療現場の実態伝える
医療関係省へ要請 医療関係団体と懇談
1月21日、総務省と厚労省への要請と、全国自治体病院協議会および日本看護協会との懇談を行い、医療現場の実態を伝えました。
総務省に対して、「病床機能報告制度があるが、成果主義になっていないか。自治体病院が赤字だといわれるが、赤字ではなく、必要な歳出だと自治体に伝えて欲しい」「再編・統合が経営・賃金形態の異なる病院で行われようとしている。職員に説明のないままメディアを利用し、市民へ伝えている。その結果、雇用不安から職員の離職やモチベーション低下に陥っている」と現場の声を伝え、要請行動を行いました。
厚労省への要請では、自治体病院の事業管理者に対する適正な労働時間の把握に向けた指導の徹底や月当たりの夜勤回数の実態を訴えたところ、厚労省からは、①オンコールの際の待機時間等についての扱いについて「医師の働き方」と合わせ議論を行っている、②1992年に定めた看護職員に対する基準の見直しの必要性について検討をすすめている旨の回答が示されました。
全国自治体病院協議会(全自病協)との懇談では、地域医療構想について、「調整会議などで、公立病院がベッド削減の対象とされてしまうのではと危惧している」との現場からの声に、全自病協も「病床削減ばかりが話題になっているが、本来それだけではなく、地域の状況に則した医療体制を確保していくことが重要。民間病院も含め双方で、その地域に必要とされる医療体制について話しあっていくべき」と一致点を確認しました。
▲日本看護協会との懇談を行い現場実態を共有しました
看護師が働きやすい職場を
日本看護協会 福井トシ子会長
日本看護協会との懇談には、自治労連医療部会の鮫島彰議長をはじめ全国から38人が参加。鮫島議長からは「自治体病院に働く職員の労働実態のアンケート」中間結果の報告と、労働時間の短縮、人員増、業務間インターバルなど現場の実態を協会へ伝えました。
また、看護師の特定行為や、少子化に向けて看護師確保にどうとりくんでいくのか協会と懇談しました。懇談には福井トシ子日本看護協会会長も出席し、「看護師が働きやすい環境をつくることは日本看護協会の使命だと思っている」と話しました。