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〔57〕ぼくをつくってくれた相撲で地域に恩返し

かがやきDAYS2019年5月号 Vol.546

ぼくをつくってくれた相撲で地域に恩返し

愛媛・西予(せいよ)市職労 由留部(ゆるべ) 圭祐(けいすけ)さん

▲県立野村高校相撲部の生徒(左)と一緒に

西予市の職員となって今年度で3年目。最初の配属は市民課窓口でした。なぜそうなったんでしょうと尋ねると、大きなからだで「目立ったからでしょう」とニッコリ。

身長181センチ、体重150キロの由留部さん。福岡県出身。小学1年の時に、相撲好きの祖父に連れられて地元の道場を訪れて以来、ずっと相撲の世界に身を置いてきました。強かった由留部さんはいつか全国優勝したいとの夢を追い続け、日本体育大学4年の14年、東日本学生体重別選手権の無差別級で準優勝。ちなみにこの時の優勝者は現在小結の御嶽海(みたけうみ)です。全国学生選手権団体戦ではついに頂点に。大将として参加した岩手、愛媛の国体では成年団体でともに3位入賞を果たしています。

14年11月、乙亥(おとい)大相撲(注)にアマ選手として招待され、西予市野村町を訪問。そこでプロ・アマを問わず選手たちの真剣な取組や住民の相撲への熱い思いに触れたことが西予市に移住した「決まり手」になりました。乙亥大相撲には今も出場してプロの厳しさから刺激を受けています。ときにはプロにも勝つんでしょ、という問いに「勝負する以上、負けたくないですから」とにこにこ顔で答えてくれました。

相撲の一番の魅力はという問いには、「勝負は一瞬。その一瞬の駆け引きがたまらない」と。相撲を続けてきてよかったことはなんですかと尋ねると、「お世話になっている人たちへの感謝の心が培われたこと」と答えが返ってきました。

昨年度までの配属先である市民課では職場委員として、要求のまとめなどをやっていたそうです。

地域では、乙亥大相撲に参加するとともに、地元の県立野村高校で週3回ほど相撲部のお手伝いをしています。文字どおり「胸をかして」いるんですね。そして高校生には、将来、相撲を続けるかどうかは別にして、相撲を通じて周囲にかわいがられる大人になってほしいと願っています。

押し相撲に強いだけじゃない由留部さん。職場、地域という土俵ですばらしい取組をみせてくれるでしょう。

(注)乙亥大相撲
毎年11月、日本相撲協会から幕内有名力士、幕下以下の若手力士ほか全日本のアマチュア相撲界の有名選手を招待する日本唯一のプロ・アマ対決の大相撲。市内からの小中学生、一般青年との対抗戦などが見られます。1852年に始まり、戦争にも途絶えることなく、今日まで続いています。昨年の西日本豪雨で尽大な被害を受けましたが、多くの支援で開催されました。

▲愛媛国体成年男子団体で3位入賞。中央が由留部さん