第39録 大阪の営みに触れる旅をどうぞ
2019年6月号 Vol.547
路面電車で街あるき
大阪の営みに触れる旅をどうぞ
大阪市~堺市
▲阪堺線「新今宮駅前」駅の踏切から東へ向くと、その先に日本一高いビル(300メートル)「あべのハルカス」が見えます
大阪の歴史と文化が息づく電車道
大阪市南部の中心では、「あべのハルカス」の完成など再開発がすすむ一方で、100年以上の歴史を持つ路面電車の路線が残っています。超高層ビルのふもとに、レトロなチンチン電車が発着、住民の足として大通りをゆっくりと行き来しています。
大阪市南部と堺市を南北でつなぐ阪堺(はんかい)電車は、戦前・戦後の企業統合や路線の移り変わりを経て、上町線(うえまちせん)(前身は1897年5月に設立された大阪馬車鉄道株式会社)と阪堺線(前身は1910年3月に設立された旧阪堺電気軌道株式会社)の2路線を、1979年12月1日から今の阪堺電気軌道株式会社が運行しています。
上町線の「天王寺駅前駅」は阪堺電車最多の利用者数。市内を南北に走る大動脈あべの筋のど真ん中をレトロな車両が行き来しています。一方、通天閣のお膝下にある「恵美須町駅(えびすちょうえき)」は、下町の歓楽街“新世界”の入口にあり、100年以上の歴史を刻む駅舎に入ると、街の喧騒をよそに時間が止まったような感覚になります。
時速40キロ程度で走る車内にいると、普段利用している地下鉄などの大量輸送機関では味わえない、不思議でのんびりした風景を楽しむことができます。
沿線には、歴史ある寺院があり、大和川を越えて堺市内に入ってからも、旅籠町(はたごまち)、材木町(ざいもくちょう)、櫛屋町(くしやちょう)といった商人のまちとして黄金時代を築いた文化に触れることができます。
商人のまち堺の心意気は今も
運賃は、かつて、大阪市から堺市に入ると2区間で大人290円でしたが、堺市内路線の利用活性化のために堺市が差額を補助し、2015年2月から全線統一210円になりました。全線一日フリー乗車券「てくてくきっぷ」600円は、旅客にとって便利でうれしい切符です。また、阪堺電車・南海バスが一日乗り放題の「堺おもてなしチケット」も特典つきのお得なチケットです。
大山(だいせん)古墳を含む「百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群」が、6月30日から開催されるユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産委員会で、世界文化遺産に登録される見通しです。ぜひ遠回りをして、レトロな路面電車で大阪の営みに触れる旅をお楽しみください。
▲住吉大社前は人も車も電車も賑やかに行き交います
▲「恵美須町駅」を出てすぐ、車窓から見る通天閣
見聞録メモ
貸切電車で宴会はどうですか?飲物・食べ物持ち込み自由で、移りゆく景色を見ながら交流を楽しめます。大阪府職労は6月に新歓企画「阪堺電車でゴー」を開催します。
【阪堺電車ロードマップ】
https://www.hankai.co.jp/