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自治体労働者が役割を発揮して社会保障拡充を

自治労連第21回社会保障集会 神奈川

▲集会には自治体労働者だけでなく市民の参加も

自治労連第21回社会保障集会が神奈川・小田原市内で開催され、全国から108人が参加しました。総務省の「自治体戦略2040」の内容と問題を明らかにし、各地でのとりくみを共有しながら、住民生活を豊かにするとともに、職場改善もすすめる社会保障の充実をめざそうと参加者で確認しました。

自治体戦略2040 対抗する地域共同の政策を

記念講演を行った中山徹奈良女子大学教授は、「自治体戦略2040」を解説し「人口減少と少子高齢化によって地方自治体は予算・人員など削減型自治体となっていき、市民生活の困難や地域の崩壊を招いていく」ことを明らかにして、「今ここで押し返していくためにも、自治体労働組合が市民をつなぐ地域の共同の要となるとともに、政策形成能力をつけていくことが重要だ」と強く語りました。

特別報告では、千葉県職労が千葉での痛ましい児童虐待事件に関連して、児童相談所体制の現状を報告し、「臨機応変な対応が可能な体制の整備が必要」と訴え、京都自治労連は、国保の都道府県単位化の影響が府民の負担とならないよう京都府内全自治体との懇談や地域・労働組合が一体となった署名宣伝行動について報告しました。

▲中山徹教授

ジャンパー問題から2年半 小田原市がすすめた生活保護改革

小田原市からの報告

地元小田原市からは「ジャンパー問題」から今日までの生活保護行政改善のとりくみが報告されました。

このなかで、「担当部署だけの問題ではなく、市全体の問題として重く受け止めた。多くの方々にご協力いただきながら、開かれた議論でこれからの生活保護行政をつくっていこうとしている」とし、企画政策課の加藤和永さんと福祉政策課塚田崇さんは、ケースワーカーが職務に専念できる体制づくりのため標準配置数を見直して、2016年の26人(うち社会福祉士資格者2人)から今年31人(同7人)まで増やし、職員1人あたりの世帯数も91・3世帯から80・9世帯に改善したことを報告。また、「受給者」という名を「利用者」に変え、市の『生活保護のしおり』も利用者の視線に立ったものに改善したとりくみを報告しました。

利用者に向き合う時間を

生活支援課の藤野秀憲さんは、「ケースワーカーとして利用者に向き合う時間をつくるために業務を見直していこう」と職員一人ひとりが担当する案件について状況を「見える化」するために毎朝情報を共有し、事務作業を見直して、申請数比3割以下だった「申請14日以内で支給決定」を9割まで改善した経験を報告しました。

加藤さんは「職場でがんばっている姿と実績が『役所内でトップランナーだよ』と評価されている」と語り、「足りないところはあると思いますが、トップランナーの自負を持ってとりくみを続け、みなさんとより良いものをつくっていきたい」と結び、会場からは大きな共感の拍手が沸き上がりました。

参加者からは「この間、小田原市が行政をあげてのとりくみ、努力されたことに敬意を表したい。一方、憲法が保障する基本的人権を守るという社会保障の原点を全国で再確認する必要がある」と意見も寄せられています。

小田原ジャンパー問題とは
小田原市で、生活保護を打ち切られた男性が市の職員をカッターで切りつけた事件をきっかけに、「モチベーションをあげるため」などの理由で「保護なめんな」と印字されたジャンパーを職員が使用。同内容のマグカップなどもつくっていたことが、2017年に全国に報道されて批判を受けた。市は「生活保護行政のあり方検討会」を立ち上げ、再発防止対策と抜本的な職場改善をすすめてきた。
また、自治労連社会保障部会は生活保護制度の意義と改悪されてきた経過と運動課題を議論し、「健康で文化的な最低限度の生活を保障することができる職場をつくっていくため」に『生活保護政策提言(案)』を作成し、職場での議論を深めることを訴えている。

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