シリーズ25 いちから学ぶ仕事と権利 政府のねらいは個人情報の管理統制
マイナンバーカード
マイナンバー制度が始まり6年。いまだカード普及率は14%程度です。政府はカード取得を公務員に事実上強制しようとしていますが、あらためて問題点と政府のねらいを学びます。
カード取得は個人の自由 強制ではない
政府は6月4日にデジタル・ガバメント閣僚会議で「国家公務員及び地方公務員等については、本年度内にマイナンバーカードの一斉取得を推進する」方針を掲げました。
これを受けて総務省は、職員や被扶養者を対象に①パソコン、スマートフォンを利用したオンライン申請の推奨、②各共済組合で申請書を一括印刷、職場を通じ一斉に配布(8~9月)、③職場単位で申請書類を取りまとめて、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)に郵送するよう、通知を出しました。また、年度内4回にわたり職場で被扶養者を含め申請・取得状況を調査し勧奨するとしています。
共済組合の所有する個人情報を本人の同意を得ることなしに流用して申請書の一括作成をさせ、また任意であるはずのカード取得の申請・取得状況を調査することは、プライバシーを侵害し内心の自由を脅かすものです。カードの取得は法律上も「本人の申請によるもの」であり、総務省も「強制ではない」と認めています。
マイナンバーによる個人情報集約は危険
また、個人情報が政府や企業に筒抜けになることで国民への管理統制が強まり、人権が脅かされる可能性もはらんでおり、データ漏洩した場合の被害も大きくなると、日本弁護士連合会など各方面で指摘されてきました。
自治労連は、「マイナンバー制度」の導入時から、国民主権の理念に反すること、国民の権利を制限・監視する業務を自治体労働者が担わされることから、一貫して反対してきました。
現実に自治体職員がマイナンバー制度運用に携わる立場から、これまでも内閣府・総務省との懇談も重ねてきました。
政府は、2021年3月からの「マイナンバーカードの健康保険証利用」を口実に取得推進をすすめていますが、今まで通り保険証を使い続けることはでき、急いでカードをつくる必要はありません。各組合でもカード取得が事実上の強制とならないようとりくみをすすめ、この問題について話し合いましょう。