公立・公的424病院の再編・統合阻止へ⑥ 愛知社保協が「地域医療構想」学習会・県要請行動を実施
「子どもに関わる医療は地域にあるからこそ意義がある」
自治労連愛知県本部が参加する愛知県社保協は、厚労省による公立・公的病院424病院を名指ししての再編・統合の検討の押し付けの公表を受け、12月7日に名古屋市内の労働会館で「地域医療構想」学習会+を開催。学習会には、名指しされた病院関係者はもとより、医療機関に組織を持つすべての労働組合から約70名が参加しました。愛知県内では、57病院中9病院が対象に上げられています。
学習会では、愛知社保協(全医労)の長尾実氏が、「公立・公的病院の名指し公表の内容と地域医療構想による病床再編・合理化」と題した基調報告を行い、名指しされた病院以外にも「隠れた再編・統合の検討を要する病院」が実はたくさんあることなどをデータに基づき解説しました。
続いて、国立病院・自治体病院・地域などから6名が発言。あま市民病院労組の見田書記長は、「自治体病院が最も大事にすべきは地域住民であり、自らの手で市民ニーズを掴むことが市民病院の役割を理解してもらう第一歩である」と発言。国に対しては「ひとたび地域から小児科の入院機能がなくなれば、次は産婦人科へと連鎖し、その地域で子どもを産み育てることが困難になってしまう。子どもに関わる医療は地域にあるからこそ意義がある。ベッド数だけで判断させてはいけない」と地域医療の拡充を強く訴えました。
碧南市民病院の田尻執行委員は、西尾市民病院の経営統合問題に触れ「両市を矢作川が隔てており災害時の医療体制維持の立場から、統合せず相互連携を深めていこうとなっていたが、今回の名指しを受け、急遽病院改修工事が凍結となり、職員から不安の声が上がっている。院長との話し合いでは『黒字化に向け、地域包括ケア病棟の活性化、食事での指導など、具体的な取り組みをすすめ、地道に収益を改善していこう』と一致した」と現状を報告。今後に向けて「地域住民からは不安の声が聞かれることもあるため、労働組合が主導して住民アンケートの実施を検討していく」と決意を語りました。
12月6日には、愛知社保協として「地域医療構想」について要請行動を行いました。愛知県本部からも小野江県本部医療部会事務局長、齋藤書記が参加し、地域住民の安心の医療提供体制への確保に責任を持ち具体的な対策をとるよう以下の4項目を要請し、懇談しました。
要請に対し県は、愛知県下9病院の公表について「知事会を通して、『大変遺憾である』と表明している。できるなら撤回してほしいと抗議した。大村知事も、国が一部のデータを基に機械的に出したものであって、国が出したデータを基に強制的にすすめるものではないと12月5日の県議会代表者質問で表明している」とし、「地域医療への基本的な考え方はかわっていない。地域で話し合いを重ねて結論をだしてもらう」と回答しました。
要請項目
1.愛知県として、「対象病院名」の公表について抗議するとともに、撤回を求めること。
2.現在進められている「地域医療構想」調整会議においては、今回の限られたデータに基づく指標を前提とせず、真に地域医療を拡充・強化する計画を推進すること。
3.病床等の対応について、県の権限強化を発動することなく、慎重な対応を行うこと。
4.「地域医療構想」の具体化に当たっては、参加・公開の原則に立ち、広く県民の意見を反映させるとともに、関係する議会等での審議・承認も含めた民主的な手続き対応を行うこと。