新型コロナウイルス感染症対策-住民の命と暮らしを守るために、的確な情報提供と具体的な対策、速やかな財政出動を求める(談話)
2020年3月3日
書記長 前田博史
自治労連は、2月25日に「新型コロナウイルスをはじめとした感染症対策の抜本的強化を求める要請書」を厚生労働省に提出した。①情報の公開、②検疫体制の確立、③治療方法の確立、④感染症病床の確保と治療体制の確保、⑤対応する職員の安全・健康確保、⑥医療従事者等の増員、⑦予算の確保、などを求めた。
政府は、2月25日に「基本方針」を決定したが、私たち国民の思いに応えるものにはなっていない。2月28日には、衆議院本会議で野党が求める新型コロナウイルス対策費を否決し1円も盛り込まない2020年予算案を多数の力で可決させた。
2月27日に、安倍首相は、突如、判断根拠も、具体的対応策も、財源も示さず、「3月2日から小中高、特別支援学校に臨時休校を要請する」と表明した。報道等によれば関係者や有識者の意見も聞くことなく突然の発表に、地方自治体や保護者、学童保育の現場は混乱し、自治体によって対応が様々に分かれる事態となった。安倍首相は、2月29日に記者会見を行ったが、「対策列挙乏しい具体性」「しわ寄せは現場に」(「東京」)と報道されているように、国民の不安にまったく応えていない。
さらに、小中高校は休校としながら、保育と学童については対象外とした。子供たちへの感染拡大を防ぐためといいながら、保育所や学童保育施設の密着度の高さや子どもと職員の距離の近さなどは考慮されず、相反する対応になっている。
一律休校に対する賛否はあるものの、自治体にとっては、臨時休校に伴う対応、学童保育の運営とそれに伴う学童保育指導員の労働条件確保など、課題は山積みである。相談も準備期間もなく、すべてを自治体任せにする政府の裏付けのない一方的対策は、無責任と言わざるを得ない。
2月28日、総務省は各行政機関等に対して、「休みが取りやすくなる環境を整えるとともに、子どもを持つ保護者に配慮するため」「柔軟な勤務体制の確保、年次有給休暇等の取得等への配慮」を求めている。しかし、人員不足で長時間労働が蔓延化している職場では、実行できない実態があることへの対策はない。
とりわけ、非正規労働者の賃金や休暇の取り扱いは、自治体によって様々であり、必要な財政出動を含めた具体的対策を喫緊に整備すべきである。
自治労連は、住民のいのちと暮らし、安心安全な地域を守るため、それにふさわしい人員と体制の強化、労働条件と職場環境の抜本的な改善をあらためて求め奮闘するものである。
以上