いま、最前線で住民生活を支える仲間へ パートⅡ
[新型コロナ] 自治労連 公営企業評議会 社会福祉部会に聞く
▲毎年6月の各府省庁との交渉で現場の声を届けます(写真は昨年の厚生労働省との交渉)
新型コロナウイルス対策として、住民への外出自粛要請や企業への休業要請が行われるなか、失業や生活困窮など住民生活への大きな影響が浮き彫りになっており、早急に、全面的な生活補償が求められています。生存権と直結する水道事業や社会保障制度の実態・課題について、公営企業評議会の藤井義隆議長と社会福祉部会の二見清一事務局長に話を聞きました。
「命の水」の供給を絶やしてはいけない
自治労連公営企業評議会
新型コロナ感染が拡大するなかでも、社会インフラは平常時と変わらない事業運営を求められます。特に生存権を保障する水道事業は、緊急事態でも機能を維持する使命を背負っています。
2009年に流行した新型インフルエンザの教訓から、BCP(事業継続計画)の策定が叫ばれ、多くの公営企業事業体で作成されました。例えば、浄水場は24時間対応の交替制勤務であり、オペレータに感染が拡大すれば経験者が不足します。自動化はすすんでいますが、手動運転や故障対応ができなければ水は止まってしまいます。
そこでBCPでは、感染防止のための自家用車通勤やオペレータ業務を維持するための要員確保が盛り込まれましたが、今回、これらの対応が早くから実施されたとは言い難い状況でした。
さらに、オペレータ業務を委託していた場合、受託業者が履行不能の際に職員が対応する計画ですが、そのための研修や実務を経験しておらず、実効性がありません。
国の責任で生存権の保障を
今回全国で水道料金の減免措置を行う動きが広がり、その財源を公営企業会計で負担するケースがみられます。
私たち公営企業評は、これまでも総務省に対し「生活困窮者への減免措置は国が財源を保障するべき」「水道料金に消費税を課税しないこと」などを訴えてきました。
減免措置の財源を公営企業会計で支出すれば、単年度赤字にするか、当年度事業見送りで帳尻を合わせるため将来の水道料金で回収せざるを得ず、「減免」とはなりません。国が地方交付金等で財源保障し、全国一律で行うべきです。
感染症だけでなく、震災や豪雨災害においても危機管理・対応能力の低下が顕著化していますが、国は水道民営化をすすめようとしています。「緊急事態だから水は各自で確保してください」とは言えません。いまこそ、ライフラインの担い手について冷静に考えなければなりません。
▲議長 藤井 義隆さん(兵庫・阪神水道労組)
今こそ社会保障の充実へ 住民とともに舵を切るとき
自治労連社会福祉部会
社会福祉部会は緊急事態宣言が出る前から、介護施設や障害福祉施設について、利用者のために事業継続が必要と考えていました。
結果、休業要請の対象外となり、利用者とその家族からは喜ばれましたが、現場では感染リスクから事業継続を不安視する声もあがりました。他職種に比べて、介護労働者は賃金や待遇面で著しく低く扱われているなかでがんばっています。
そもそも報酬の日額制は実態に合わず、月額制に戻すよう国に求めています。
また、外出自粛の影響で児童虐待やDV被害が増加しました。感染対策で訪問などが制限され経過観察が細切れとなり、把握しきれなかったことは大変怖いことです。
同じ轍は踏まない
いま、多くの中小企業や自営業者の経営が悪化し、社会福祉協議会の小口融資窓口に殺到しています。また、失業者と生活困窮者が増え、雇用保険(失業保険)や生活保護申請も増えており、迅速な対応が必要です。
政府の一律10万円給付や各自治体の補助をあてにしてふんばっていますが、今後さらに倒産と失業者が増えてきます。
私たちもリーマン・ショックなどの経験を教訓にして、同じ轍は踏まないことが重要です。
今こそ住民とともに社会保障の拡充を
政府は「全世代型社会保障」の議論を夏までにまとめて、社会保障費の削減や国民の自己負担引き上げをねらっています。2月で議論は止まっていますが、予断を許さない状況です。
住民が何を必要としているのかを拾い上げていくことが大切です。
また、来年度の税収落ち込みが想定され、すでに財政担当から「一律カットは必至」と予告されている自治体もあります。今年度の予算についても小中学校の改築延期など各事業の一部凍結・中止が危惧されていますが、社会保障費を削減させないことが必要です。
税の使い方を改めさせることを含めて、住民とともに社会保障の充実をすすめましょう。
▲事務局長 二見 清一さん(東京・足立区職労)