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新型コロナからくらし、健康守りたい 住民の思いに寄り添い続けて 感染症に強い体制の実現を

仲間と支えあい連日奮闘 東京・江東区職労

▲コロナ対応として防護服の着脱訓練も行っています

約27万世帯・52万人が住んでいる東京都江東区には、保健所1つと保健相談所4つがあり、新型コロナ感染症対策はじめ住民の健康を守るため、江東区職労の仲間が連日奮闘しています。保健師でもある山本民子・江東区職労委員長に保健所の実態を聞きました(5月14日取材)。

▲山本民子委員長
情報を聴き出し長年の経験で判断

現在、保健所の新型コロナ体制は、毎週土曜始まりの7日連続勤務を基本にチーム体制を組んでいます。住民からの問い合わせ対応、軽症・無症状者の健康観察(症状の確認)を行っています。電話も2回線から5回線へ増やしましたが、日中に電話がつながっただけでも300件以上の相談。電話がつながらない苦情や「なぜ検査が受けられないんだ」と抗議の声も多いそうです。

また、自宅やホテルで療養している軽症・無症状者への連絡は毎日100人以上あるなか、「14日間の健康観察なので、同じ職員が継続して聴き取りできるようにしています」と、わずかな時間で症状だけでなく、食生活や睡眠、不安に感じていることなど、多くの情報を聴いて長年の経験から状況を判断しています。

「観察が終わると『毎日の電話、ありがとう』と言われます。不安な日々を過ごすなかで、私たちとの会話によって安心できるのだと思います」と山本委員長は語ります。

健康だけでなく生活への影響は深刻

電話相談には新型コロナのことだけでなく、生活困窮から児童虐待やDV被害など深刻な相談も寄せられています。

新型コロナ対応で2月末から通常の保健所事業を縮小・休止しています。難病や精神疾患を抱える住民、子育て中の母親にとっては相談窓口の閉鎖は大変なことです。母子関係のストレスが増大し虐待やDVが増えるため、「乳幼児健診は一時休止しても母子の個別相談は継続したい。精神や難病相談も個別相談の継続は必要」と、所長に何度もかけあい、ギリギリまで小規模の個別相談を実施していました。

「保健師は住民の健康状態だけでなく、生活状況、地域実態の変化などを把握し他部署と連携しながら、健康や福祉を増進させる役割がある」と保健師の重要性を改めて教えてくれました。

組合の力で人員を確保 さらなる体制強化へ

「人員が不足すれば、地域の健康を守る役割は果たせない」と山本委員長。保健所の人員については、毎年必ず人員要求を出し、退職補充や育休・病休代替の配置を組合の力で実現させています。

また、「2月からの新型コロナ対応で、ピーク時は長時間労働やストレスで体調を崩す職員も少なくなかった」「昼食もろくに食べられない。出張や超勤申請なんかしている時間があったら帰りたい」と声が上がるなど現場職員の体力も限界でした。4月初旬に保健相談所での全事業を一時休止し、全面的に感染症対策の体制となりました。超勤保障や特殊勤務手当などの拡充を組合で求めています。

「新型コロナはまだ終息しておらず、第2波、第3波に対して、今まで以上の体制強化が必要」「区役所でも各窓口は混雑しており、職員の奮闘が続いている」と、すべての職場での抜本的な予算人員増を求めて、引き続き、江東区職労はたたかう決意です。

▲コールセンターの電話は鳴りやみません

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