いま、最前線で住民生活を支える仲間へ パートⅢ
[新型コロナ] 自治労連 現業評議会・保育部会に聞く
▲現業評全国学習交流集会・現業労働学校(写真は昨年6月)
新型コロナウイルス感染症対応に追われているいま、6月から登園・登校が本格再開し、多くの保育所や小学校でさまざまな課題がでてきました。組合のとりくみなどを現業評議会の川口浩之副議長と保育部会の武藤貴子事務局長に聞きました。(WEB取材)
子どもや地域住民の安全と安心を守る現業職
現業評議会
3月に一斉休校が決定され給食が提供できないなか、正規調理員は嘱託調理員(会計年度任用職員)とともに毎日出勤し、いつでも給食づくりが再開できるように食器磨きや整備などを行いました。春休み終了後は、校長命令がある時に出勤し、全校生徒のエプロンの補正・洗濯・アイロンかけ、体育館の床掃除などを行った嘱託調理員もいました。
また、学校・学童保育での児童受け入れでは、調理員も現場の応援に入るなど、連携しました。大変な状況のなか、3月5日から5月末まで(春休み期間を除く)、居場所を確保できない子どもたちのために小学校で緊急対応給食を提供し続けた仲間もいます。
技術・経験を伝えより良い環境づくりを
学校が再開され、配膳時の感染リスクを減らすため、給食係の児童が配膳せずに先生が仕分けたり、パンの個包装、簡易給食での提供など、大きく変化しています。
多くの自治体で夏休みを短縮し、8月初旬まで給食の提供や9月前の給食開始が予定されています。年末ぎりぎりまで給食実施など、冬・春の給食回数が増える自治体もあります。学校によっては空調もないなかで、夏本番の熱中症に不安も指摘されています。
直営があったからこそ対応し、乗り切れた
清掃職員は感染の危険にさらされながらも、外出自粛で増加した家庭ごみを回収しています。また、学校用務員は休校中に特別定額給付金の相談窓口を支援するなど、現業労働者は、普段の業務に加え、緊急時の対応でも住民の生活を支えています。日ごろから現場と地域を知っているからこそできることです。
豪雨や台風の季節が迫っています。これまでみられたように災害対応に他部署や他市と連携し応援態勢がとれ、迅速に臨機応変に判断・対応できるのが直営の強みです。民間委託は、儲からないと撤退する構造的な問題があり、責任ある体制になっていません。入れ替わりも激しく人員不足が常態化しています。
直営を堅持しているからこそ支援に入れ、災害に強い街・自治体づくりができます。今後も現業の新規採用・人員増を勝ち取ります。
▲副議長 川口 浩之さん(大阪・交野市職労 給食調理員)
不安を打ち消しながら保育を続けた仲間たち
保育部会
各自治体・各園で差はありますが、自粛要請期間中の登園率は2~3割と聞いています。
また、保育所の休園で預け先がない医療従事者などの子が利用する施設が開設され、公立園保育士が応援に入って奮闘している例もあります。
現場では3密回避や消毒対応、卒園式など行事の中止・縮小の判断にいまも追われています。
全国で職務免除や特別休暇勝ち取った
職員は「子どもたちに感染してしまうのではないか」との不安を毎日打ち消しながら働いています。そんななか、不安を訴える妊娠中の職員も年次有給休暇を取るしかありませんでした。自粛期間中、子どもが少なく年次有給休暇の強制取得の例も多くありました。
しかし、各地で職務免除と在宅勤務の実施、特別休暇への切り替えと遡っての適用ができるよう交渉がすすみました。
一方で、「特別休暇中の職員賃金は6割」「休園中の会計年度任用職員の給与は6割支給」とする不当な対応に、組合の交渉で10割支給にした成果が報告されています。
同時に、そうした組合活動のおかげで組合員が増えています。
今回を教訓にゆとりある保育の実践へ
新型コロナ禍を通じて自治体職員が少なすぎると改めて感じました。
本庁の保育課職員もコロナ対応に追われ、保育士が提出する日報に目を通し切れず、現場状況を把握しきれない例もありました。そもそも自治体によっては非正規保育士率が6~7割で、正規職員でもその半分は20代という現場も少なくありません。
日々変わる状況に則した保育や親子への支援ができるよう、公立保育士の職員体制を改めて示して、人員増と職場改善を実現していかなければいけません。
今回の自粛期間中、結果的に少人数クラスになったことで「ゆとりある保育が実践できるクラス人数」を確信する声も聞きました。
また、消毒液などの購入は各園の消耗品費から捻出しているため、園の財政を圧迫し、職員が自腹で購入している例もあります。自治体・国レベルでマスク・消毒液を確保させ、保育園に支給させることが必要です。
▲事務局長 武藤 貴子さん(名古屋市職労)