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〔72〕お客さんと一緒に舞台をつくる

かがやきDAYS2020年9月号 Vol.562

お客さんと一緒に舞台をつくる

東京・文京区職労
鈴木(すずき) 薫(かおる)さん
橋本(はしもと)勇一(ゆういち)さん
岡田(おかだ)祐一(ゆういち)さん
小林(こばやし)真命(まな)さん
橋本(はしもと)康平(こうへい)さん

▲「ただいまメンバー募集中! 脚本の売り込みなども大歓迎です」とブレーメンのみなさん(左から康平さん、小林さん、橋本座長、岡田さん、鈴木さん)。

文京区役所には職員でつくる演劇サークル「ブレーメン」があります。旗揚げは50年以上前。現在、年1回の公演を基本に6人で活動中です。座長の橋本勇一さん(以下、橋本座長)、最年長の鈴木薫さん、岡田祐一さんは先輩に声をかけられて、小林真命さんは職員文化祭でブレーメンの舞台を観て参加しました。橋本康平さん(以下、康平さん)は音響を始め裏方を一手に引き受けています。みんなブレーメンと出会うまで演技の経験はありませんでした。

しかし、緊張や抵抗はなく、小林さんは「お客さんの拍手や『よかったよ』という声すべてがありがたい」、橋本座長「反応をいただいて、お客さんと一緒に舞台をつくる、そんな場にしたい」と語ります。

お互いのキャラを楽しむ信頼関係も

台本さがしから大道具づくり、演出まですべてメンバーが行います。鈴木さんは「『人間がどう生きていくか』が台本選びの基本。仲間と一緒にやれるのがいい」とうれしそう。

また、お互いのキャラクターを楽しむ信頼関係も感じさせます。「康平ちゃんは、いい曲を見つけてくるの」と選曲のセンスを高評価されている康平さん。期待する周りの声をよそに「役者をやる気はありません」とキッパリ。「ひょうひょうとおもしろい役者」と熱いまなざしを向けられるのは岡田さん。「公演が終わって『セリフをもう忘れていいんだ』という開放感が幸せ」と笑いを誘います。「岡田さんがやる役は岡田さんしかできない」と大人気です。

こんな時だからこそみんなに勇気を

コロナ禍で公演の延期や中止など文化・芸術にとって厳しい状況が続いています。しかし「こんな時だからこそみんなに勇気・活力を持ってもらいたい」と橋本座長は強調します。岡田さん「仕事が忙しく、つぶれそうな時、好きな舞台を観ることで救われた」、康平さん「楽しみがないとがんばれない。求めている人がいる限り、必ず残っていくと思う」と、それぞれの思いを語りました。そして「コロナ禍が終息したら、さまざまな活動に参加したい。ぜひブレーメンに声をかけてください」と鈴木さんは語ります。

今後やってみたいことをお聞きすると、橋本座長「ブレーメンをずっと続けていきます」、小林さん「人間じゃない役をやってみたい」、鈴木さん「藤沢周平の人情もの、やりたいね」、康平さん「音響装置のスイッチを押してくれる人を募集します」、岡田さん「セリフの少ない役がやりたいです」。爆笑で場が和みました。

▲第49回文京区役所職員文化祭(2012年2月)参加作品の一場面

▲2019年3月公演『幸福な職場』稽古風景