全国から30人の代議員が活発な討論(敬称略)
▲大会議長団の左から矢吹義則代議員(東京)と香取春美代議員(千葉)
▲資格審査委員長を務めた川又範英代議員(茨城)
職員の残業続く保健所 抜本的な感染症対策を
山本 民子(東京)
コロナの直撃を受け、2月以降、保健所では専門職の恒常的な残業が続いている。当局と組合は36協定で年間の超勤を360時間で締結しているが、8月末までの5カ月で超勤が285時間という保健師がおり、360時間内に抑えることを前提に応援派遣などを折衝している。全国の保健所で働く職員が過労死ラインを超える超勤を強いられることがないよう、抜本的な感染症対策を望む。
露呈した人員不足 組合要求で改善へ
江口 辰之(滋賀)
コロナ感染症が職員に広がり市役所が閉鎖された。組合は「職員が健康でいることが、市民に必要な仕事ができる条件」との思いでとりくんだ。職員にPCR検査を行うよう感染拡大前から要求していたが、実現していれば安心して業務が続けられたはず。人員不足が露呈したが、今年度は昨年度より約2・6倍の新規採用が計画され、組合の要求が実現しつつある。
市民のいのちとくらしを守る市政への転換を
塩川 智代(愛知)
名古屋市ではコロナ対応による業務増で、応援職員を出した職場では、ぎりぎりの体制からさらに人を出したことで運営に困難が生じている。今後5年間でさらに100人の定員削減が予定されている。また、2つの市民病院を統合する計画がすすんでいる。市民のいのちと健康を守るため病院を存続させ、市民のくらしを守る職員体制を維持させるためにも来年4月の市長選挙で市政転換にとりくむ。
保健所職員の定数増を本気で勝ち取る
小松 康則(大阪)
コロナを経験して痛感しているのは、現場にいる職員の声を聞き、どうすれば当事者自身が立ち上がれるのか、時間も力も割くということ。
保健師・保健所職員とLINEグループでつながり、連日、メッセージが届いている。声を広く届けようとツイッターにも挑戦し、保健所職員定数増のオンライン署名も開始した。
自治体が住民のいのちと健康を守る拠点となるよう定数増を実現したい。
離島の脆弱性明らかに 自治体の役割を示す
小柴 健介(鹿児島)
7月に人口5200人強の島・与論町で1%の住民が感染する事態に。専用病床1床のみで、一時は保育所や郵便局など公的機関や商店などが閉鎖、観光や畜産などに影響を与えた。役場職員も感染防止に連日奮闘した。
離島での公的機関の脆弱性が明らかになり、自治体の役割や公務公共労働者の存在意義と重要性を示した。今後、感染した職員へのケアや受け入れ体制などを具体化していく。
全国の仲間とつながりあいはげましあい
コロナ後を見すえ新しい社会を展望
各地で代議員が集まり、休憩をはさみながら議事に参加
大型開発優先より日々の生活支援を
渡辺 一芳(福島)
原発事故から10年が過ぎようとしている。いまだに戻れないことに改めて怒りを感じる。特に、汚染水の海洋放出と汚染土の再利用が、県民を分断し、苦しめている。国の誘導策や長期間要したことにあきらめも見られる。大型開発優先ではなく、医療・介護・福祉・教育・消費といった日々の生活支援の充実こそ必要だ。避難自治体の財政・人員問題も含め、住民生活の回復に努めていきたい。
LINE活用で全員参加 関連協に結集して統一要求
佐々木照美(兵庫)
コロナ禍のなかで、無給自宅待機を撤回させた三田市学校給食調理員労組や、在宅勤務で学校ごとに対応の違いが発生した際LINEを活用して情報交換した西宮市嘱託調理員労組など、組合の存在を示した。会計年度任用職員制度の課題では、兵庫自治労連関連協に結集し、学習会やアンケートなどにとりくみ、当局に要求・交渉し、「非正規を無視できない状況」を構築した。今後も結集してたたかう。
イージス・アショア 県民一丸で配備撤回へ
柴田 敏範(秋田)
イージス・アショアの秋田市新屋演習場への配備をめぐって、署名活動や県民集会など、県民一丸となってとりくんだ。運動が広がり、5月に防衛省は秋田市への配備を断念した。
粘り強くたたかってきた県民の大きな勝利だ。この計画への巨額な予算を、コロナ禍対策に振り向けるべきだ。
自治体労働者として、住民とともにたたかえたことをうれしく感じる。
住民主体の公的保育モデルの作成にとりくむ
岡上 則子(高知)
子どもの発達のために「密集」「密接」を受容したうえ、どうコロナ危機に対応するか、保育士は日々悩みながら試行錯誤している。職員一人あたりの児童数を少なくすること、保育所の空間をゆとりあるものとすることが必要だ。大規模園の分園化や町村に複数園を提案していきたい。医療・介護など住民のケアを担うエッセンシャルワーカーは協力して対応策を自治体に要請していく。
時間外勤務上限規制と人員確保一緒に
實川 理(千葉)
昨年の台風・豪雨災害関連の業務はまだ終わっていない。コロナ対応では、時間外労働が船橋で複数月200時間超、県ではのべ1500人以上が月80時間超といった実態がある。
原因は人員不足。上限なしの「特例業務」となった職場では、「要因の整理、分析及び検証」を求めていくこと、管理職も含めた時間外勤務の基本的な覚書を交わすこと、これらと一緒に人員増を求めていく。
最低生計費試算調査に学ぶ生計費原則
柘植 陽介(長野)
最低生計費試算調査に700人を超える県内の若者が参加した。最低生計費とは、ギリギリ、カツカツの生活費ではなく、当たり前の普通の生活を送るために必要な生活費であり、私たちがかかげる「生計費原則にもとづく賃金要求」への理解と確信を深めた。今回の調査結果や教訓もふまえ、来春の春闘では仲間を今から集めて「最賃生活」にとりくみたい。
後継者育成が急務 つながり広げ組織拡大へ
畑崎 恭兵(北海道)
世代交代の時期。後継者育成が急務だ。コロナ禍で新採歓迎会ができなかったが新採4人、職場要求解決のために未加入5人が加入。新採から「違う部署の人とつながりができ仕事がしやすくなった」との声も。一番大事にしてきたつながりが広がり嬉しい。人手不足、業務増で厳しい状況だからこそ組合の必要性を理解してもらうため粘り強く対話し信頼を広げ、組織拡大につなげる。
コロナ禍でも工夫して組織の安定と拡大めざす
米 純一郎(佐賀)
唐津市では新型コロナの影響で新採歓迎会やイベントができず、競合組織に新採が流れてしまった。中途退職者も多く、福岡など最賃の高い地域へ流出している。人員確保のため新採枠の拡大を人事課へ毎年要求した結果、高卒の新卒枠を設けることができた。唐津市労連は若い執行委員が多く、多忙や子育てなど困難を抱えているが、新執行体制を整え組織の安定と拡大へ奮闘したい。
会計年度任用職員や図書館、栄養職員で拡大
自治体一般労組は組織拡大で3点を重視。①図書館分会では、4月の新採職員が加入し、大分市の学校図書館支援員で過半数組合を達成。②ある市役所で1000人以上が会計年度任用職員となり、組合で学習会を宣伝し3月に実施すると19人が参加。その後、加入もあった。③任用終了をめぐり、対象の学校栄養職員に声掛けし、加入につなげ分会結成。今後も組織拡大をすすめていく。
最低生計費調査と一斉職場訪問のとりくみ
濱野 真(茨城)
春闘期、20~30代の独身者を重点に最低生計費試算調査にとりくんだ。茨城県最賃は2円アップの851円で、全国一律1500円以上は必要ということが実感された。
夏季闘争では、4年目となる一斉職場訪問にとりくんだ。筑西市では新規採用職員に声をかけ11人が加入。保育所訪問では、保護者と十分話せないなど現場の声が出された。要求を広く聞く貴重な機会となった。
窓口職員の声を集め人員を要求していく
木下 克己(広島)
特別定額給付金やマイナポイントのためにマイナンバーカード申請で窓口は大混雑。カードが普及すれば想定外の業務量でさらに圧迫。カード保持にともなうリスクは知らされていない。
広島市は区役所・出張所の窓口すべて非正規職員が対応。会計年度任用職員を増員しているが、時間外対応となっている。市民課窓口職員の声を集め増員を要求していきたい。
コロナのなか職場改善と公営交通存続に奮闘
井元 利美(長崎)
コロナによるスクールバス運休、貸切バスのキャンセルなどで収入減となった。同時に会計年度任用職員制度導入を協議するなか、長崎公共交通労組は、時給パートの提案を押し返し、フルタイム月給制を勝ち取った。自宅待機でも月給で支給され同僚から感謝された。また、「公営交通に国・県からの支援を」と議会に働きかけ、補正予算で交通事業者への約8億円の支援を決定させた。
コロナ、最賃…冷たい岡山県政を民主県政へ
小野 一仁(岡山)
コロナ感染症対策や新卒者就職内定取り消し問題、公立保育所等の体制など申し入れや緊急要請をくり返し行ってきた。コロナ問題では、県政が果たす役割はきわめて重要だ。また、最低生計費試算調査は目標数を大きく上回り、35歳単身男性の時給は1657円必要だと示されたが、最賃はわずか1円の引き上げだ。10月25日投票の知事選挙で県民に冷たい県政から民主県政実現に向け奮闘している。
公的サービスの産業化に公契約と組織化で対抗
竹渕 晴男(埼玉)
春日部市学校給食で委託業者が調理員を確保できず短期で契約解除された。学童保育では指定管理者が社協から株式会社トライに変更された。住民と共同し支援員の雇用継続は確保したが、週17時間半勤務を「常勤」と位置づけていることがわかった。公的サービスの産業化に対抗するためには、公契約の適正化と、非正規職員及び委託・指定管理職場等の労働者の組織化と運動が必要だ。
地域に出るとりくみに確信 組織強化し要求闘争強化する
小林 竜雄(京都)
京都市が一層の人員削減、民間委託をすすめるため審議会立ち上げ。京都市職労は広範な団体と共同し審議会中止求める。300軒以上の商店を訪問した京都府職労のとりくみは地域住民の共感と結びつきを強めた。ともに、自治体労働組合が地域に出て住民とともに運動をすすめることの重要性に確信を持った。会計年度任用職員制度の自治体間格差も含め要求前進と組織強化の両輪で奮闘する。
コロナによる過重労働の解消へ要求書提出
三浦 真也(福岡)
北九州市での保育労働者全国集会は中止になったが、準備過程で青年組合員が自覚を高め、同世代に声をかけ5人の青年を組合に迎えた。市職労はコロナ禍で奮闘する職員を守るため、人員増、適正な労働時間管理、特勤手当改善などを要求している。定期大会では保育所統合や市立病院の民間移譲などの行財政改革を検証し、市民の命とくらしを守る市政実現にとりくむことを確認した。
命とくらしを守る自治体 地域住民とともに
菊池 仁(静岡)
島田市は会計年度任用職員移行を機に嘱託・臨時職員すべての業務の委託化をねらった。組合は議会へも働きかけ委託化は窓口のみに。地域住民による運動も始まり、委託を直営に戻すとりくみを行っている。厚労省の公立・公的病院の再編で名指しされた蒲原病院を守るため、地域住民にアンケートを行い8割から「地域病院を守って」の声。これからも地域住民との共同をすすめる。
市民・野党との共闘でカジノ反対運動に全力を
森田 昌宏(神奈川)
昨年8月、横浜の林市長は「白紙」としていた横浜・山下ふ頭へのカジノ誘致を表明した。前回の市長選挙で始まった市民と野党との共闘を発展させ、カジノの是非を決める横浜市民の会を発足、住民投票を求める運動を展開している。多くの法的な制約があるなか、市民の会では市長の解職請求に必要な50万筆を集めようと、市民集会のとりくみや18行政区の区民の会を設置し奮闘中だ。
コロナのなか新採拡大 持続可能な財政を
高尾 佳孝(愛媛)
コロナによる異常事態だからこそ、労働組合が求められている。県本部で新採職員への働きかけを強めることを改めて提起、3月に開催していた組合加入実践講座もいかして少人数の組合説明会や個別呼びかけをすすめてもらうと加入単組数、加入者数が増えた。
持続可能な財政を次世代に引き継ぐことは地方組織、本部とも我々世代の大切な役割であり、この観点から検証するべきである。
震災から10年 被災地に寄り添うことこそ大事
中野 盛夫(岩手)
来年は東日本大震災から10年。全国の仲間の支援に感謝する。被災地に寄り添うことが大事だ。医療費や介護保険の免除は野党統一で誕生した知事により継続。しかし派遣職員が引きあげられ、国の財政支援も縮小となる。「自助・共助・公助」をかかげる菅政権には期待できない。人員不足が復興自治体のあり方に大きく影響する。復興への実践的な運動のなかで民主的自治体労働者論を発展させていきたい。
コロナ禍で自治体業務の重要性が明らかに
喜入 肇(東京)
コロナ感染拡大による自粛のもと、緊急事態宣言発動による権利抑制・侵害に対する要請を各単組で実施し、職場と来庁者の感染防止対策など当局と交渉した。とりくみのなか、自治体業務が住民生活にとって重要であると明らかになった。本来の自治体のあり方が変質させられてきたことへの共通認識を職場でつくり、自治体業務の縮小・効率化を許さないたたかいの具体化が重要だ。
公的責任の後退と地方自治破壊許さない
荒田 功(大阪)
守口学童指導員13人の雇い止め事件は、公共サービスを儲け口とし、地方自治と公務労働を破壊する大企業の社会的責任を問う全国的なとりくみが必要であり、自治労連の中心課題とするよう要望する。
11月1日に住民投票が行われる「都構想」は憲法と地方自治、民主主義破壊の起爆剤であり、「大阪市なくすな」の共同を拡げていく。全国からの支援をお願いしたい。
職場自治研で住民サービス向上と職場改善を
橋口 剛典(愛知)
菅政権によるデジタル化の推進で行政サービスから遠ざけられる市民が出る。そんな自治体にさせないための職場改善には市民の理解が不可欠であり、「民主的自治体労働者論」の実践と「こんな地域と職場をつくりたい運動」をすすめることが重要。「10年先を見据えた」市民に喜ばれるための仕事の見直しや、職場改善のため、職場で憲法や地方自治を語り職場自治研を推進していく。
住民とともに住み続けられる地域づくり
筒井 敬二(高知)
政治を変えることは、職場と仕事を変えること。これを感じられるような政治闘争を広げる労働組合の戦略が求められている。低投票率に見られる民主主義の危機に対し、住民とともにだれもが安心して住み続けられる地域をつくっていく「こんな地域と職場をつくりたい」運動が柱となる。民主的自治体労働者論の学習と実践が要求闘争と政治闘争を統一し、高めていく上で重要だ。
コロナ後の新しい社会展望し要求闘争と政治闘争を大きく
福島 功(京都)
行政改革や構造改革の名のもとで定数削減、非正規化、民営化がすすめられてきた。コロナ禍を通じて公務公共サービスの脆弱性があらわになった。住民福祉の向上を基本とした公務の役割を問い直し、住民の理解と共同を背景に、本格的な予算・人員闘争にとりくむ。菅政権は、職員数半減、広域連携などを推しすすめようとしている。総選挙に勝利し新たな社会を築く第一歩とする。
文書発言の概要について(22本)
内容概要は編集部責任で記載したものです。
①青森「会計年度のとりくみで処遇改善を実現」
②千葉「台風19号対応、各単組のとりくみ、自治研活動の強化など」
③東京「東京自治労連青年部、青プロ関東甲越ブロックの活動」
④東京「(世田谷区職労)組織拡大、特別定額給付金・世田谷モデル」
⑤神奈川「コロナ危機での県立病院の役割発揮に向けた国の財源保障を」
⑥静岡「静岡県に公契約条例を」
⑦長野「豪雨災害直後の病院全国集会と非正規公共全国集会の意義と成果」
⑧愛知「最賃など社会的賃金闘争の推進、自治体キャラバンなど」
⑨奈良「国保中央病院労組の県労働委員会闘争、大和高田市学童保育の民間委託問題」
⑩滋賀「三つのつなぐとりくみ(1)職場・仲間(2)単組・地域(3)次世代・未来」
⑪京都「コロナ危機での商店街実態調査、府要請に反映」
⑫京都「京都市における介護保険認定民間委託とのたたかいなど」
⑬三重「(1)組織拡大(2)会計年度の改善(3)地域医療と介護(4)キャラバンなど」
⑭和歌山「和歌山自治労連と御坊市職労の会計年度任用職員制度のとりくみ」
⑮岡山「正規・非正規ともに力を発揮できる職場をめざして」
⑯広島「会計年度(学童・保育・学校給食)、指定管理者制度のたたかい」
⑰鳥取「コロナの影響(介護・福祉)、自己責任型社会保障からの転換」
⑱山口「組織強化の悩みとコロナ危機での災害派遣のあり方」
⑲徳島「徳島中央郵便局セクハラ・パワハラ事件の報告と支援へのお礼、組織強化拡大」
⑳愛媛「先を見据えた会計年度のとりくみ(1)共済組合加入(2)退職手当」
㉑熊本「7月豪雨災害支援へのお礼、市学校職場で広がる信頼」
㉒鹿児島「与論町職への支援お礼、会計年度アンケート実施、コロナ禍でのヘルパー分会」