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2020年人事院報告(月例給)に対する声明

 10月28日、人事院は国家公務員賃金について、官民較差(△164円 △0.04%)が極めて小さいとして勧告をしなかった。人事院総裁談話(10月7日)で、「困難な業務であっても誇りをもって真摯に取り組んでいる公務員各位に対し、心から敬意を表する」といいながら、職員の願いに応える賃上げに言及しなかった。

 地方自治体では、人事院の一時金引き下げの勧告(10月7日)を受け、21府県・10政令市の人事委員会のほとんどが、一時金引き下げの勧告を行っている(10月27日現在)。中には、国を上回る月数の引き下げ、再任用職員・会計年度任用職員の引き下げ勧告も見られる。人事院の責任は重大である。

 自治労連は、懸命に奮闘する公務労働者に応えた賃上げと処遇の改善をすること、コロナ危機のもとで困窮する国民・労働者のくらしを改善するために、最低賃金の大幅引き上げ、すべての労働者の賃上げこそが必要であると主張してきた。

 今回の報告は、我々の要求にまったく応えていない。「公務員人事に関する報告」(10月7日)のなかで、国家公務員の人材確保が困難と述べているにもかかわらず、今回の報告でも、何ら具体的方策を示していない。

 今こそ人材確保をするために賃金や労働諸条件など公務労働にふさわしい処遇改善に言及すべきである。

初任給の引き上げ、会計年度任用職員の処遇改善は待ったなし

 報告では、民間企業の高卒初任給(職種別・学歴別・企業規模別初任給(新卒事務員・技術者計))が167,718円との結果が出ている。しかし、高卒初任給(150,600円)の引き上げについては言及しなかった。150,600円は時間給897円にしかならず、2020年度の最低賃金の全国加重平均額(902円)を下回り、最低賃金法の趣旨に反している。直ちに初任給を改善すべきである。

 さらに、長きにわたり公務に貢献してきた中高年層の賃上げ抑制や再任用職員の処遇改善につながる勧告も行わなかった。生計費原則に基づき抜本的に改善すべきである。地方自治体の会計年度任用職員は、職務内容にかかわらず、賃金が低水準に抑え込まれている。中には、地域最低賃金を下回るような時間単価となっている地方自治体もある。

 菅首相は所信表明で、最低賃金引き上げや同一労働同一賃金の実現を強調した。であれば、賃金・休暇等の処遇改善を行うべきである。また、郵政20条裁判では、正社員と非正規社員の格差を不合理とした最高裁判決が確定した。同じ仕事なら処遇も同じとするよう、公務職場こそ率先してすすめるべきである。

いのちとくらしを守る21国民春闘へ

 自治労連は、コロナ危機の中で奮闘するすべての自治体・公務公共労働者の期待に応える大幅賃上げの実現、会計年度任用職員や再任用職員等の労働条件改善、長時間労働解消と人員増の実現をめざして秋季年末闘争を全力でたたかう。

 同時にすべての雇用を守り、大幅賃上げ、最低賃金1,500円以上と、全国一律最賃制、公契約適正化、非正規労働者の均等待遇の実現に向け運動をすすめよう。

 「自助」を強調し、国・自治体の役割を放棄する「新自由主義」では国民のいのちとくらしが守れないことがコロナ危機により明らかとなった。「新自由主義」からの転換が求められている。来る総選挙で憲法をいかす政治・社会の実現をめざし、自治労連は奮闘するものである。

 地域住民との協力・共同を広げ、公務公共を拡充し、「ポスト・コロナ」のあるべき社会をめざして、21国民春闘にたたかいをつなげていくことを表明する。

2020年10月28日

日本自治体労働組合総連合 中央執行委員会

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