新入職員のみなさんへ 自治体の役割を語る
―コロナの体験から― ①
昨年、新型コロナウイルス感染症が日本で確認されて以降、私たちの社会が大きく変わりました。新型コロナ対応と合わせて住民のいのちとくらしを守るために、各分野で私たちの仲間が奮闘しています。4月から新しく自治体労働者・公務公共労働者として働く仲間に向けて、メッセージを送ります。今月号は医療部会、公衆衛生部会、保育部会です。
誇りと使命感をもっていのちとくらしを守りましょう
自治労連医療部会 副議長 古田昭仁さん(大阪・貝塚市職労)
感染拡大が続く新型コロナで移動の制限や時短営業になる事態となりました。新たな変異ウイルス感染が広がり始めるなど、予断を許さない状況です。現場では衛生物資が不足するなか、感染リスクと隣り合わせながら、刻々と変わる状況に知恵を絞り対策を講じています。医療従事者としての誇りと使命感で、国や自治体の要望に応え住民のいのちと健康、安全を守っています。
とくに自治体病院は、全感染症指定医療機関の7割近くを占めていると同時に、指定医療機関でない自治体病院でも積極的に感染患者を受け入れています。しかし、現場は極度の精神的ストレス、長時間過密労働が蔓延し、通常診療縮小・受診控えで病院も経営難に苦しんでいます。この事態は、政府が長年にわたり病院や保健所・衛生研究所などを行政改革や削減のターゲットとしてきた結果です。しかも、いまだ政府は公立・公的医療機関の再編統合やベッド削減の考え方を改めていません。
私たち医療従事者は、社会保障切り捨て政策ではなく、公立・公的病院をはじめとする地域医療を拡充し、また医療従事者を大幅に増やして住民のいのちとくらしを守る政策へ転換を求めています。コロナ危機で大変な時期ではありますが、それぞれの職場では、組合活動を通じて安全に業務が遂行できる体制づくりをすすめています。
これからの医療を担う若い世代のみなさんも一緒に労働組合で職場改善と要求実現の道に踏み出しましょう。入職おめでとうございます。
保健所・公衆衛生行政の充実・強化を求めよう
自治労連公衆衛生部会 部会長 石原昭彦さん(横浜市従)
新入職員のみなさんへ。昨年から続くコロナ危機もあいまって期待と不安でいっぱいではないでしょうか。
今回の新型コロナ感染症の拡大は、世界的規模でのパンデミックを引き起こし、社会システムのさまざまな分野が抱える脆弱さや矛盾を露出させました。新型コロナウイルス感染症では、地域における保健所の役割と重要性が広く知られるとともに、現在の保健所の体制のままでは、国民の期待に十分応えられないことも明らかになりました。
そこで、私たち公衆衛生部会では、昨年7月の厚生労働省交渉で、「保健所・市町村公衆衛生関連制度政策要請書(13分野、187項目)」にもとづいて、保健所を含む公衆衛生行政の抜本的な充実強化を図るため、地方交付税の大幅増額と、①保健所を公衆衛生の第一線機関として、地域住民のあらゆる健康要求に公的責任をもって応えられる科学的技術的中枢とし総合的に整備・拡充すること、②公衆衛生課程を修めた医師を保健所長として配置すること、また、所長以外の医師の欠員を解消すること、③保健師等の専門職種を抜本 的に増員することなどの措置が早急に講じられるよう国に求めました。
公衆衛生部会の仲間は、保健所や地方衛生研究所をはじめとする職場で新型コロナ感染症対策の最前線で奮闘しています。
住民に寄り添い、いのちと健康を守ることはすべての職場で実践できます。労働組合に入って一緒にがんばりましょう。
組合に入って保育実践を学び、交流しよう
自治労連保育部会 事務局長 武藤貴子さん(名古屋市職労)
新入職員のみなさん、ようこそ公立保育所へ!
いま、保育所は新型コロナ感染症対策のため、保育室やおもちゃを毎日消毒したり、給食時にパーテーションを設置したり、できるだけ他クラスとの交流を避けたりするなど、以前とは少し違う状況にあります。
昨年春の登所自粛期間中は、多くの保育所で子どもの人数が少なくなり、保育士は子どもの思いをいつも以上に受けとめることができ、子どもたちは落ちついた環境で遊ぶことができました。
その経験から、国が定めている保育士配置基準や面積基準の引き上げが必要だと実感しました。私たち労働組合は、保育現場の課題を国に伝えて改善を求めています。
私たちは常にマスクをしていますが、保育士の笑顔と「大好きだよ」と思う気持ちは子どもにちゃんと伝わります。みなさんも、思いっきり笑いながら、子どもたちと一緒にたくさん遊んで、仲良くなってください。子どもの興味に合った遊びをするためには「遊びの引き出し」をたくさん持つといいと思います。
各地の保育部会では、互いに保育実践を学び、交流する場もつくっています。先日も労働組合が主催した青年保育士交流会に、私が勤務する保育所の勤務1年目保育士が参加しました。「子どもを園庭からスムーズに入室させるにはどうしたらいいか」との相談に、先輩たちからアドバイスをもらい「とても有意義でした」と喜んでいました。
ぜひ、みなさんも労働組合に加入して、保育を楽しんでくださいね。