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中等症患者の自宅療養方針を撤回し、抜本的な感染拡大防止策を早急に講じることを政府に強く求める(談話)

2021年 8月 5日
書記長 石川 敏明

 8月2日、政府は新型コロナウイルス(以下、コロナ)感染症による中等症患者の入院を制限し、原則自宅療養とする方針を決めた。感染が爆発的に拡大し、首都圏をはじめ全国の医療機関で病床がひっ迫しているためとしているが、これは国民のいのちを守る国の使命と責任を放棄するものであり、絶対にあってはならない。野党のみならず、自民党からも方針撤回を求める声があがっているのは当然である。

 7月12日、政府は4度目の緊急事態宣言を発出した。しかし感染は広がり続け、8月3日の全国の新規感染者は1万4千人を超え、5日の東京の新規感染者は5,042人となった。この事態は、きちんとした補償もないまま飲食店に時短や酒類提供自粛を押しつけ、いまだにPCR検査の実施体制を拡充せず、公衆衛生・医療従事者と病床を増やせの声に応えない菅政権の無為無策が招いたものである。さらに、国内外の強い反対を押しきって東京オリンピック開催を強行したことが、感染拡大に拍車をかけたと言わざるをえない。

 こうした状況の中での突然の医療方針の変更が、保健所や医療機関の混乱と怒りを招いている。自宅療養となれば、感染者だけでなく家族も自宅待機せざるを得なくなり、保育所や学童保育などの利用者、自治体職員にも感染が広がるなかで出勤できない職員が増え、住民サービスに支障をきたす事態が起きている。

 保健所職員や医療従事者は、住民のいのちを救うため昼夜をわかたず懸命に奮闘しているが、急増する感染者への対応で長時間過密労働が続き、限界に達している。方針変更により、救えるいのちが救えない事態となりかねない。今、行うべきは、東京オリンピックをただちに中止し、感染拡大防止に全力を挙げることである。

 自治労連は、保健所・公衆衛生体制の拡充、医療従事者や保健師の増員、PCR検査や医療提供体制の拡充、自粛と補償をセットにした感染対策を求め、運動をすすめてきた。

 「安全・安心の医療・介護の実現と国民のいのちと健康を守るための国会請願署名(いのち署名)」の自治労連はがき版には「病院・保健所を増やして」「公立・公的病院の拡充を」などの住民の「声」が寄せられており、私たちの運動と住民の願いが一致している。

 政府は住民の声と要求を真摯に受け止め、公務公共切り捨て、社会保障削減政策を転換し、公衆衛生・医療従事者の増員と公務公共を拡充するよう、あらためて強く求める。

 自治労連は、自宅療養方針の撤回を強く求めるとともに、医療提供体制と保健所・公衆衛生行政の拡充を実現し、住民のいのちとくらしを守りきる政治への転換をめざし、全力をあげることを表明するものである。

以 上

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