労働組合と市民、弁護士が共同で市民課委託 断念させた
市民本位の市政実現させたい 大阪・吹田市労連
▲4月21日の「吹田市に市民課業務委託を断念させた たたかいに学ぶつどい」に、オンライン含め約50人が参加しました
大阪・吹田市で計画されていた市民課窓口の業務委託が吹田市労連(以下、組合)と専門家や市民団体などが共同しすすめた運動を受けて、市議会で撤回されました。個人情報保護や委託費の増大などの問題が指摘され、市民からは「個人情報は信頼できる職員に」「委託に不安がある」と委託反対の声が集まりました。
他市で前例増える委託費用と待ち時間
市民課の窓口委託計画が昨年11月に突如持ち出され、委託料を含む当初予算案が2月議会で計上されることが年明けに明らかに。組合は委託計画の撤回を申し入れ、当局が参考としている他市の前例を調査するとともに、当局に説明会を開催させ、会計年度任用職員の団体交渉を行いました。
市民に知らせずすすめようとする動きに、二宮厚美・神戸大学名誉教授などが呼びかけ、「吹田の豊かな公共を取り戻す市民の会(以下、市民の会)」が発足。組合と市民の会や弁護士有志で、すでに先行する他市では委託により待ち時間が増え、委託費も更新のたびに増大している実態を指摘し、議会や市民に委託撤回を訴えてきました。
「委託しないで」の声広がり委託撤回へ
市民の会は、市内各地で市長あてのひとことハガキ付きビラを配布し、短期間で400通を超える返信が集まりました。ハガキには「計画を知らなかった」「委託に不安がある」とたくさんの声があり、寄せられたハガキを市長へ提出しました。また、弁護士による意見書も提出され、偽装請負の法的問題などについて追及しました。
拙速なすすめ方やコスト削減にはならないことが議会で明らかになるなど紛糾し、当局も委託料を削除した修正予算案を提出し、事実上委託計画は撤回になりました。
委託許さず住民本位の行政と政治へ
4月21日の「たたかいに学ぶつどい」で、丹羽野和夫吹田市労連委員長は、「市民課業務委託を断念させることができたのは、①市労連による委託問題点の発信、②それを受けとめた住民の運動、③弁護士意見書による指摘、④住民の声と専門家の意見を受けとめた市議会の良識の発揮など条件がそろった点にある。あらためて市民の会及び協力いただいたみなさんに感謝したい」とあいさつしました。
二宮名誉教授は「今回の委託計画は、国の『自治体戦略2040構想』が背景にある。人口が減少する2040年に向けて、デジタル化で職員数の半減など自治体の再編がねらわれている。たたかいはこれからだ」と警鐘を鳴らしました。
組合は「今回の教訓をいかし、いっそう、市民本位の市政実現に向けて奮闘したい」と訴えました。
▲市民の会による駅前宣伝
▲丹羽野 和夫 吹田市労連委員長
▲二宮 厚美 神戸大学名誉教授