ナゼ?ナニ?自治体DX [5] テレワークで住民に寄りそえるのか
自治体DX計画では、テレワークの推進が重点項目として盛り込まれています。しかし、多くの職場や職種で、住民と直接に接することで成り立つ業務が多く、導入には慎重にならざるを得ません。あらためてテレワークの限界と求められている自治体の役割について学びます。
自治体DX計画では、テレワークは、「時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方であり、職員一人ひとりのライフステージに合った多様な働き方を実現できる『働き方改革』の切り札でもある」とされています。
テレワークは、自宅のパソコンなどから行政専用の「総合行政ネットワーク(LGWAN)」などへリモートアクセスして自宅で業務をすることです。リモートアクセスをしない自宅での在宅勤務とは区別しています。
テレワークは、自宅からの情報漏えいやサイバー攻撃などのセキュリティが万全でないなど、多くの問題点を含んでいます。また、仕事と生活空間の一体化によるストレスや長時間労働化が懸念されています。
そもそも住民の福祉の増進が目的である自治体にとって、医療や介護、保育など自治体業務の特性をふまえるとテレワークがなじまない職場・職種も多いです。住民窓口業務などでも、困難を抱えた住民に寄りそって必要な手続きをすすめることができる経験と資質を高めることが重要です。テレワークでは、ノウハウを培うことは厳しく、少なくとも労使で協議し慎重に導入することが求められています。
何よりもテレワークを促進し、人員削減をすすめる事態になれば、かえって住民とのやり取りに支障をきたすこととなり、本末転倒です。