ナゼ?ナニ?自治体DX [7] 健康保険証の廃止は許されない
「デジタル化(自治体DX)」に向けた議論や準備がすすむなか、厚生労働省は、現在の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードを保険証代わりにする方針を突如打ち出しました。政府も骨太方針に「原則廃止をめざす」と明記し、事実上のカード義務化を強行しようとしています。
政府は、「経済財政運営と改革の基本方針2022」(いわゆる骨太方針)を6月7日に閣議決定。「2024年度中を目途に保険者による保険証発行の選択制の導入」、さらに「保険証の原則廃止をめざす」としています。
骨太方針では、廃止後も「加入者から申請があれば保険証は交付される」と注釈はありますが、そもそもマイナンバーカードの保険証利用導入時に、懸念を示す全国医師会などに対し「保険証の廃止はしない」と政府は説明していました。
保険証廃止を打ち出した背景には、DX計画でかかげた「2022年までにほとんどの国民がマイナンバーカードを取得する」とした目標が、いまだ交付率約43%(4月1日時点)にとどまっている現状があるからです。
また、保険証としてマイナンバーカードが利用できる医療機関・薬局も全体の17%ほどで、利用するためのオンライン認証設備の導入などが必要であり、小規模の医療機関では現実的ではありません。この設備投資に関わって診療報酬の引き上げと窓口負担が増えており、「住民福祉の増進」からみれば、本末転倒です。
しかも、金子恭之総務大臣は、来年度の地方交付税を算定する際に、カードの交付率を反映させる考えを示しており、大きな問題です。