自治労連が22秋季年末闘争・総務省交渉を実施
国の賃金制度や水準を押し付けず、自主的・主体的な賃金決定の尊重、会計年度任用職員の処遇改善、災害対応・業務量に見合った人員確保、定年延長、マイナンバーについて交渉を実施~「職員のいのちと健康を守る署名」6,292筆(累計37,008筆)を提出~
自治労連は10月13日、2022年秋季年末要求書にもとづく総務省交渉を行いました。
交渉に先立ち「職員のいのちと健康を守る署名」6,292筆(累計37,008筆)を提出し、時間外労働に上限規制を設けることと、職員体制の拡充を求めました。
交渉には、自治労連から長坂副委員長、石川書記長、松尾書記次長(企画財政局長)、樫尾書記次長(組織局長)、嶋林中執(賃金権利局長)、吉田中執(憲法政策局長)、佐賀中執、猪瀬書記が参加。総務省から公務員課・長田課長補佐はじめ8人が出席しました。
長坂副委員長が要求書を手交し「コロナが終息せず災害が相次ぐ中、自治体の現場では職員『過労死ライン』を超える働き方が強いられている。物価高騰などで実質賃金が低下しているが22人勧と先般の給与法改定の閣議決定はこうした状況を改善するものとは程遠い。経団連のシンクタンクでさえも『中間層の復活に向けた経済財政運営の大転換』として公共部門の賃上げなどに言及しており、10月3日の所信表明演説で岸田首相は『官民が連携して、現下の物価上昇に見合う賃上げの実現に取り組む』『公的価格においても改善等を図るとともに、見える化を行いながら看護、介護、保育をはじめ、現場で働く方々の処遇改善を進める』『同一労働同一賃金についてその遵守を一層徹底する』と述べている。住民のために頑張る職員の期待に応え、賃金・労働条件改善につながる回答を求める」とあいさつしました。
交渉では、重点要求項目として6点について総務省から回答を受けやり取りを行いました。
総務省は「これまで通り労使交渉に基づく自主的な賃金決定を尊重する」「会計年度任用職員の一時金支給にかかわって各団体の意見を聞いているところ」「総務省として一律に民間委託等の導入を強制する考えはない」「定年延長は国家公務員の取り扱いに準じて設定することが適当だが、各自治体で労使協議を前提に進めていただくものと考える」「マイナンバーカード取得は強制ではない」などと回答しましたが、物価高騰対策を含め、現場の切実な要求にたいして、私たちの思いに応える回答はありませんでした。
交渉のまとめの中で石川書記長が「10.14全国統一行動」の決起を表明
総務省の回答を踏まえ、交渉のまとめで石川書記長は「本日の回答を受け、総務省からの自主的な回答が得られなかったことから、10月14日に全国統一行動に立ち上がることを表明する。我々の要請項目はすべて、住民のいのちとくらしを守る現場の要求であることを受け止めてほしい。自治労連が実施した会計年度任用職員へのアンケート調査では、回答者の6割は年収200万円以下であり、その大部分の人たちは家計を担っていることがわかった。皆さんには年収200万円以下で家族で生活することが想像できるか?国民のためになる行政を行っていきたいと願うのは私たちも皆さんも同じはずだ。今後の誠実な対応をお願いしたい」としたうえで交渉内容について確認し、交渉を終えました。
<22秋季年末闘争・重点要求項目>
1.労働者の賃金・労働条件の改善について
地方公務員、公務関係労働者の賃金改善について、労使交渉に基づく自主的な賃金決定を尊重するとともに、ラスパイレス指数が高いことを理由とした制裁的対応など、地方人事委員会や地方自治体へ介入しないこと。また、生計費原則に基づき、昨今の物価高騰や地域経済対策等も鑑みて自治体職員の大幅賃上げを促進するよう対応すること。特に地域別最低賃金を下回る水準となっている初任給水準を解消する大幅賃上げを行うこと。保育・学童保育・介護・医療従事者をはじめとする、すべての職員(会計年度任用職員を含む)の処遇改善を推進するとともに、地方交付税交付金が確実に賃上げの財源に充てられるよう対応すること。
2.会計年度任用職員制度について
任期の定めのない常勤職員を中心とする公務の運営を堅持すること。会計年度任用職員制度については、地方自治体の不適切な取り扱いを直ちに是正すること。会計年度任用職員の賃金・休暇等について、勤勉手当(相当額)をはじめとする全ての手当が正規職員と同様となるよう法改正を行うとともに、法改正前であっても、同様の効果が得られる運用など対応すること。また、給料表の格付や休暇制度等も正規職員と均等待遇となるよう対応すること。公募は、欠員補充や増員のために新たに採用する必要が生じた場合に限定し、公募によらない再度の任用を原則とするよう対応すること。
3.災害時対応、長時間労働解消など業務に見合った人員確保について
新型コロナ危機をはじめとした緊急事態時にも、住民が安心してくらし続けられる公務公共の役割が発揮できる体制を平時から備えること。そのために、地方自治体が人員増を行い、実効性ある長時間過重労働の改善や職員が安心して働き続けられる環境を確保できるように財政措置を含む支援を行うこと。「過労死ライン」を超える勤務実態を直ちに是正するための具体的な対応を行うこと。労働基準法「33条1項」の厳格かつ限定的な運用や、「33条3項」、条例で定める「特例業務」が濫用されないよう対応すること。
4.公務公共業務を自治体直営で充実を
公務公共業務については直営で改善・充実させること。自治体に対して実施主体としての責任を果たさせるよう対応すること。公的責任を果たせない民間委託や指定管理者制度等を実施しないよう、総務省として必要な措置をとること。
6.マイナンバーカードについて
マイナンバーカード取得について、カード交付申請はあくまで任意である事を全国に周知徹底すること。地方自治体が住民・職員個人の自由を犯すようなことのないよう対応すること。
5.定年引上げについて
定年年齢の引き上げは、誰もが希望すれば安心して働き続けられる制度とするとともに、公務公共サービスの向上につながるよう職員定数増への財源確保を行うこと。労使交渉に基づき、労働条件で不具合がでないようにするため国と異なる制度とすることについて、積極的に推奨するよう助言と情報発信を行うこと。
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