地域医療支える病院と職員を守れ 民営化ではなく医療体制の拡充を
愛媛・西予市職労 社会保障集会で報告
▲市民病院で働く西予市職労医療介護支部の仲間
愛媛県西予市では、地域医療を支える西予市民病院など2病院1施設の民営化(指定管理)が突如2月に公表されました。これに対して住民が立ち上がり「病院などを守る会」を設立。署名活動が始まりました。西予市職労は住民とともに民営化中止を求めています。
突然の「民営化」発表 広がる怒りと戸惑い
西予市民病院と野村病院、介護老人保健施設つくし苑の2病院1施設の民営化が事前協議もなく議会へ報告されました。すでに国への補助申請も行われていました。
西予市職労はすぐに対象となる病院施設の職員にアンケートを取り、声を集めました。4月4日には、当局の責任として医療・介護従事者の雇用を守り、住民のために地域医療を守るよう、民営化の撤回を求める要求書を提出しました。
現場で働く西予市職労医療介護支部の仲間は、「職員としても突然の民営化方針の発表に驚きと怒り、戸惑いがある。緊急アンケートでは退職を検討する者も多く出てきている。西日本豪雨災害時やコロナ禍での大変な時期を乗り越えてきた。利用者のためにも民営化阻止に向けてがんばりたい」と語ります。
民営化の中止を求め住民が「守る会」設立
4月18日の「西予市立病院などを守る会」設立総会には、約100人が参加しました。総会で河野修三会長は「住民への説明は申請後の事後報告だった。説明会では住民から多くの疑問や反対の意見が出たにもかかわらず、市は民営化を推しすすめる説明に終始していて民主的とは言えない」と経緯を説明。「住民の財産でもある公立病院に求めることは民営化ではなく、医療サービスの安定的な提供と医療体制の拡充だ」として署名を呼びかけています。
総会に参加した住民からも「市内の公立病院に産科・婦人科がない。民営化より診療科を増やす努力をしてほしい」「住民としてもっと地域の医療機関を利用すべきだと思う。まず諸問題を解決させて利用者を増やし、収益を改善することが大事だ」などの意見が出されました。
住民や仲間の思いに勇気づけられている
自治労連愛媛県本部の和氣(わけ)伸二書記長(西予市職労)は、「さまざまな思いをもって市民病院や野村病院を選んで働いてきた職員の声を聞いたが、痛切で深刻だ。組合としても現場に寄り添って対話し対応してきた」と職場の状況や組合のとりくみを話します。「住民署名はすでに6月13日に5300筆を超えて提出されている。野村病院がある地区では、有権者6000人に対して、2200筆の署名がわずか一月で集まった。住民の病院や施設への思いが伝わって勇気づけられている」「これまでも自治労連の仲間のとりくみや支援に励まされてきた。今回の民営化問題についても、引き続き支援をいただきたい」と訴えています。
▲地域医療を担う西予市民病院(病床数152床)
▲市に署名を提出する「守る会」(右)
▲報告を行う和氣伸二書記長