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シリーズ66 いちから学ぶ仕事と権利[公務災害認定・補償制度]

すべての労働者が安心して仕事ができる職場づくりへ [公務災害認定・補償制度]

公務員が、仕事が原因で病気や負傷した時、通勤中に事故に遭いケガをした時などに「公務災害・通勤災害」として認められれば、治療費などの補償を受けることができます。会計年度任用職員も一定の要件で「公務災害」の対象になります。

公務災害の補償制度と対象範囲

公務災害・通勤災害と認定されたときの補償には、「療養補償(治療にかかる費用の支払い)」「休業補償(仕事を休んだ場合の給料の一部支払い)」をはじめ、病状固定した以降は「傷病補償年金」、後遺症が残ったときは「障害補償」「介護補償」が整備されています。本人が亡くなった場合は、「遺族補償(年金・一時金)」があります。

公務災害の認定と各種補償は、地方公務員災害補償基金が行います。補償の対象となる職員は次のとおりです。

①常勤職員(再任用職員を含む)
②再任用短時間勤務職員、任期付短時間勤務職員、地方公務員の育児休暇等に関する法律における育児短時間勤務に伴う短時間勤務職員
③常勤的非常勤職員

会計年度任用職員は、③常勤的非常勤職員(一定の勤務時間及び日数以上などの実態がある)に該当する場合、公務災害の対象となります。具体的にはフルタイムで採用から13カ月以降が該当します。それ以外の場合は、自治体の条例または労働者災害補償保険法で対応(労働災害)されます。

公務災害の申請は、組合や専門家に相談を

病気・ケガが「公務災害」と認められるためには、「職員が公務に従事し、任命権者の支配管理下にある状況で災害が発生したこと(公務遂行性)」及び「公務と災害との間に相当の因果関係があること(公務起因性)」を必要としています。

公務災害認定手続きは、原則として所属長に認定請求し、都道府県や政令市に置かれる基金支部が審査し、公務上か公務外かを判別し認定します。

公務災害として認められるためには、行政の定めた認定基準を満たす必要がありますが、その手続きや必要な資料は複雑多岐にわたることが多いため、労働組合で一緒にとりくむことが効果的です。とくに長時間労働やハラスメントが原因となって、万が一病気や自死にいたった場合、職場での勤務実態や仲間の証言も重要になってきます。しかし、労働組合がないところでは、職場の協力が得られず、本人や家族が申請を断念したケースもあります。

自治労連の各組織には顧問弁護士がおり、労働組合を通じて相談できます。公務災害の申請を考えたら、まずは労働組合に相談しましょう。

すべての労働者が安心して仕事ができる職場にするためには、日ごろからの安全衛生活動が重要です。職場の安全衛生の管理について、任命権者(使用者)の責任を明らかにし、労働環境改善をすすめていきましょう。