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国・自治体の責任で抜本的対応と法制化を

職場で増えるパワハラ、カスハラ問題 職場のハラスメント対策学習交流会

▲76接続82人が参加し、学習と地方からの特別報告を受けて、意見交流を行いました

自治労連労働安全衛生・職業病対策委員会は、7月13日、「職場のハラスメント対策学習交流会」をオンラインで開催。自治労連全国弁護団の笹山尚人弁護士を講師に、自治体でも増加し注目されているパワーハラスメント(パワハラ)とカスタマーハラスメント(カスハラ)を中心に、その対策について学習しました(笹山弁護士の講演内容を掲載します)。

ハラスメントは人権問題 日本の現行規定は不十分

日本ではパワハラについて、2020年の改正労働施策総合推進法で使用者に対策が義務付けられ、被害の可視化と対策の具体化が求められてきました。同法でパワハラは、①職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであり、③労働者の就業環境が害されるものと規定されています。

しかし、ILO190号条約や206号勧告にあるように①や②にかかわらず、「職場において他者の人権を侵害する言動」と国際的には規定されているのに、日本は190号を未批准のままであり、現行法制度はいまだ不十分と言わざるを得ません。

住民による「カスハラ」 人権行使との区別を

住民からの職員に対するカスハラについても基本的には職員の人権を侵害する暴力としてとらえる必要があります。カスハラには、パワハラのような法的な規制はありませんが、厚労省が「対応マニュアル」を公表しています。

一方、苦情や意見には住民の「人権行使」という面もあり、人権行使とカスハラをどう区別するか考える必要があります。

労働組合としては、自治体当局に対してハラスメントを起こさせない体制整備やマニュアルの作成、研修の実施等を求めることが重要です。また、企業等でのパワハラやセクハラについては、法制化によって対策が大きくすすみました。カスハラについても、国に対して法規制を求めることが必要です。

▲弁護士 笹山尚人さん
ILOの「仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃」に関する条約・勧告(第190号条約/第206号勧告)の概要

○単発か繰り返されるかにかかわらず、身体的、精神的、性的若しくは経済的損害を目的とした行為及び慣行又はその脅威。ジェンダーに基づく暴力及びハラスメントを含む。

○労働者及び他の者(国内法令及び国内慣行により定義される被雇用者、契約の状態にかかわらず働く者、インターン及び見習いを含む訓練中の者、雇用が終了している労働者、ボランティア、求職者並びに仕事の応募者を含む。)並びに使用者としての権限、義務又は責任を行使する者を保護する。

○加盟国は、仕事の世界における暴力及びハラスメント(ジェンダーに基づく暴力を含む)を定義し、禁止するための法令を制定しなければならない。

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