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私たちの賃金と労働条件どうなるの?

秋季年末闘争をどうたたかうか Q&A

▲秋に向けてとりくみを考える愛媛・西予市職労

各地方で24年度の人事委員会勧告が出始めるなか、各地方組織や単組で学習会などのとりくみが行われています。24秋季年末闘争(賃金闘争)について、基本的なポイントから「給与制度のアップデート」まで、Q&Aで押さえていきましょう。

Q.公務員の賃金は人事委員会勧告で決まる?

.人事委員会は都道府県と政令市等に設置され、民間給与実態を調査し、当該自治体職員の賃金や労働条件について首長と議会に勧告します。勧告を受けて、労働組合と自治体当局との交渉を経て確定します。さらなる賃上げや制度改善、勧告で扱わない課題については労使交渉で、要求前進させることができます。
総務省も「これまで通り労使交渉に基づく自主的な賃金決定を尊重する」と明言しており、実際に自治労連の全国の仲間は、この間労使交渉によりさまざまな成果を勝ち取ってきました。
勧告制度は、公務員の労働基本権制約の代償措置と言われますが、一方で公務員賃金を抑制してきた側面があります。本来、賃金は「生計費原則」で決定するはずが、参考としている「標準生計費」は具体的な算出方法や根拠が明らかでなく、物価高騰の現状も反映できていない問題があります。さらに国の制度を画一的に地方に持ち込ませる役割を果たしてきました。

Q.「給与制度のアップデート」って何ですか?

.人事院は人材確保への危機感から、より職務や個人の能力・実績に応じた体系をねらって「給与制度のアップデート」を打ち出しました。再任用や中高齢職員の賃金は抑制して若年層に重点配分し、「特に優秀」な者への勤勉手当の成績率の上限を平均支給月数の3倍に引き上げるなど「能力・実績主義」が強化されています。民間との労働移動の円滑化をねらう言及があり、各地方の人事委員会でも国に準じた勧告が予想されます。
そもそも、自治体職場になじまない「能力・実績主義」などを持ち込んだ結果が、「公務の魅力」を減退させてきたことは明らかです。この間人事評価を気にして、おかしいことに「おかしい!」と言わない従順で物言わぬ公務員づくりがすすめられてきました。「給与制度のアップデート」は、給与制度を前面に打ち出しつつ、「全体の奉仕者」性を奪い、「一部に奉仕」する公務へと性格を歪めようとする危険なものです。
公務の魅力を失わせたのは、改善されない脆弱な人員体制と長時間労働、将来に希望が持てない賃金制度です。これに目を背け続ける国と自治体の責任は重大です。

Q.「地域手当」が下がると困るのですが。

.地域手当は「地域の民間企業の賃金水準を公務員賃金に反映させるため」として、2006年に導入されました。しかし、一部の都市部に偏っているのが現状で、全国的には支給されない地域が多く、同じ都道府県内でも自治体間で格差が生じ、人材確保にも支障が出るなど問題が起こりました。
今回の地域手当の「大くくり化」で、国家公務員は原則として都道府県単位で支給率が決められることになりましたが、このまま地方公務員に当てはめると多くの自治体で支給率が下がります。しかし、地域手当を含めて民間企業の賃金水準と均衡させるのが制度の趣旨であり、安易な支給率の引き下げを許してはいけません。
これまで地域手当の格差に対して、自治体が独自に国を上回る支給率にしようとしても、国は自治体への特別交付税を減額するペナルティを課していました。しかし、このペナルティ廃止の意向が示されており、現場から声をあげて改善するチャンスです。
根本的には地域手当そのものは格差を広げる要因となっています。全国どこでも安心して生活できる抜本的な賃上げで格差是正していきながら、地域手当を見直していくことが求められています。

Q.会計年度任用職員や外郭団体職員はどうなるの?

.勧告前の6月に人事院は、国の非常勤職員の再度の任用について「公募によらず従前の勤務実績に基づく能力実証で再度の任用を行うことができるのは2回までとする要件」を撤廃しました。これは、私たち自治労連などが全国ですすめてきた3Tアクションの成果です。自治体でも原則として公募要件を撤廃させるとりくみをすすめましょう。
人勧どおりに改定すると、常勤職員は4月に遡って給与改定されます。国も「常勤職員と同様に」と言っています。会計年度任用職員の賃金も、4月に遡って賃上げさせましょう。
また、指定管理職場・外郭団体における賃上げも重要課題です。発注者である自治体の責任も追及しながら、大幅賃上げや均等待遇を求めていきましょう。

Q.具体的には何をすればいいのですか?

.10月は各地で要求書提出や交渉が始まります。今年の秋季年末闘争は、①今年度の給与をどうするか?、②来年度以降の給与制度をどうするか?つまり「給与制度のアップデート」の課題、の大きく2つのたたかいとなります。組合での学習会や署名活動を通じて、「もっと賃金を上げてほしい」「ここを改善してほしい」と、みなさんの声や思いを労働組合に届けていきましょう。
また、10月からの最低賃金引き上げや食料品のさらなる値上げなど、住民や労働者をとりまく状況も変わります。ハラスメントやジェンダー問題も重要です。これらの点についても職場や地域で意見を出し合い、当局との交渉やとりくみに反映させていきましょう。
自治労連は、10月15日に全国統一行動を呼びかけています。朝夕の宣伝行動や決起集会など、職場や地域でとりくみが行われますので、職場の仲間などお互いに誘い合って参加しましょう。

みんなの声を労働組合へ 力を合わせて行動しよう