〔110〕思い切った和尚さんへの転身 地域に根ざして生きる
2024年11月号 Vol.612
思い切った和尚さんへの転身 地域に根ざして生きる
京都・与謝野町職 西脇(にしわき) 公人(きみひと)さん
西脇公人さんは与謝野町役場に就職して6年目。今年は住民税務課に異動して、住民の税金の受付・相談など新しい仕事に忙しい毎日です。普段から温厚で物静かに住民対応する西脇さんのもう一つの顔は、お寺の和尚さんです。
地域からの熱いエールを受けて
西脇さんの務めるお寺「西光寺」は与謝野町にあり、室町時代から続く由緒あるお寺で、本堂の裏には、江戸時代後期に作られ京都府の名勝に指定されている庭園があります。
東京で生まれ育ち、アパレル関係の会社に勤めるなか、西脇さんの父の兄で、公務員として働いていた伯父の訃報が届きます。
伯父は長年西光寺の和尚をしていて、檀家さんらから『西脇家でお寺をつないでほしい』と話がありました。「このお寺は『おばあちゃんと伯父さんのうち』で、年に1・2回家族で遊びに行く程度でした」と当時を振り返ります。
西脇さんは「このお寺は思い出の場所。檀家さんや地域の方々との信頼関係など、伯父が和尚として地域に根をはって生きていたことを知り、継ぐことを決めました」と話します。
20代後半、和尚への「転身」を決めると早々に東京の生活を引き払い、高野山での1年間の厳しい修行ののち、西光寺に移り住みます。
「休みなし」の多忙な毎日にも充実感
お寺に移り住んで1年目は、「早く地域を知りたい」「なじみたい」と、檀家さんや地域まわり、お寺の修繕や運営などを学びました。就職活動を始めた西脇さんは「ちょうど与謝野町が職員を募集していたので」と応募。こうして、公務員として働きながら、「お寺の和尚さん」として活動を始めます。
「境内の草取りが大変です」と言う西脇さんの毎日は、葬儀や法要で地域を回り、お寺の維持、管理、運営、清掃と多忙です。土日は法要や地域の寄合など、とても充実しています。
「役所の仕事も和尚としての活動も、住民と地域の役にたつことと日々思っています」と笑顔で話してくれました。
▲京都府の名勝に指定されている庭園
▲普段は住民税務課で勤務。住民の税金の受付・相談を行っています