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「公共の役割」を考え仕事にいかす

第17回地方自治研究全国集会in愛知

第17回地方自治研究全国集会in愛知が10月5~6日に愛知県名古屋市内で開催されました。全国の自治体職員・公務公共労働者、研究者、住民、市民団体からのべ1200人以上が参加し、地方自治のあり方や地域で自治研活動の実践を大いに学んで交流し合いました。

▲「愛知県高校生フェスティバル実行委員会」による群舞で参加者を歓迎。高い学費や学校生活に悩む高校生の現状を会場でアピール
憲法には無関心でも無関係ではいられない 記念講演

記念講演では、伊藤真弁護士が「わたしたちのいのちとくらしと日本国憲法」をテーマに講演。伊藤弁護士は先日の自民党総裁選挙に触れ、「政治に対する関心が高まっている一方で、若い世代のなかには政治や憲法に無関心な人々も多い。しかし、無関心でいられても無関係ではいられない」と話しました。

特に、世論調査で憲法9条の改正に賛成する国民が増えてきていることに対して、「憲法は自由と人権を保障し、二度と政府に戦争させないためにつくられたもの。次世代に引き渡す必要がある」と警鐘を鳴らしました。

さらに、各地で増えている米軍と自衛隊の共同演習や防衛費の大幅な増額に触れ、「不安を煽るやり方はドイツのナチス政権と同じ、過去の過ち」「やられたらやり返すべき、と言う人もいるが、それでは戦争は終わらない」と話し、「中央(政府)の暴走に歯止めをかけることも地方自治の役割」と参加者に訴えました。

▲伊藤 真さん
住民と連帯し地方自治守る運動の重要性訴え 基調フォーラム

つづく基調フォーラムでは、京都橘大学の岡田知弘教授をファシリテーターに、5人の発言者が各分野から現場の実態や課題などについて報告。会場からも質問や発言があり、「公共の役割」について考えました。

登壇した岩手自治労連の新沼優書記長は、能登半島地震の被災地復旧・復興の現状について、東日本大震災の経験がいかされていない問題を指摘しました。また、原発問題住民運動全国連絡センターの栁町秀一事務局長からは、世界で有数の地震・火山列島である日本での原発立地がいかに危険かを解説。自由法曹団幹事長の山口真美弁護士は、地方自治法「改正」の「国の指示権」問題について、武力攻撃事態への適用の可能性がある危険性を指摘しました。国土交通労組の佐藤比呂喜副委員長は、羽田空港での飛行機衝突事故をめぐり、空路の安全を支える職場の実態や管制官増員に至った労働組合のとりくみを話しました。

新日本婦人の会沖縄県本部の里道昭美さんは、沖縄県での基地建設をめぐる状況や建設反対運動の現状、米兵による暴行事件と政府による事件の隠ぺい、うるま市で訓練場計画を阻止したとりくみと教訓を語りました。

どの発言者も「住民と地方自治を守る立場から、連帯し行動すること」の重要性を訴えていました。

▲基調フォーラム

▲講演やフォーラムに耳をかたむける参加者

住民との協働は「かみ合うと楽しい」

2日目の分科会より

全国自治研の2日目は、15の分科会と1講座、名古屋市内で2つの現地分科会が行われました。自治体や公務公共のさまざまな分野について、研究者や住民からの報告や問題提起、自治体労働者や労働組合からも現場実態を伝えました。

第11分科会「自治を育み、主権者・住民の声が生きる自治体をつくる」では、自治体における住民参画や男女共同参画などについて報告がありました。報告では「住民と協働して事業をすすめることは、労力が必要で大変だが、互いにかみ合うと楽しくなる」と経験を語る仲間もいました。

この分科会に参加した岡山市職労の土井隆幸さんは、「私自身、市民協働企画総務課で働いているので、住民とどう連携していくのか、とても参考になった。組合では住民と市職員が市政についてともに考え、語り合う『市民のつどい』を例年開催しているが、そこでも今回の経験をいかしたい。若い職員こそ、自治研活動に参加してほしい」と述べました。

▲岡山市職労 土井 隆幸さん

▲第11分科会「自治を育み、主権者・住民の声が生きる自治体をつくる」で実践と経験を報告する長野県阿智村の仲間(左)

「住民のための仕事とは」 全国の青年と学び交流

自治労連青年部は、全国自治研に合わせて、青年企画「こんなときあなたならどうする!? 青年のしごとと住民のくらし」を実施。「住民のための仕事とは何か」をワークショップで学び、交流しました。まず、導入として自治労連顧問の猿橋均さんが「自治体職員が担う仕事や、自治体・公務公共労働者とはどういう存在なのか」をわかりやすく説明し、その後分散会を行いました。

分散会では、「保護者から延長保育を求められた」「新規の生活保護申請を受けないように指示された」など、保育園や生活保護の窓口で起こり得る4つの事例から1つを選択し、「住民や職場にとって、どうすれば良いのか」をディスカッションし、発表。それぞれ職員としての立場、住民の立場を考えながら、どのグループも「住民と職員を対立構造で考えない」「職場でよく話し合うこと」などの重要性を話しました。

最後に猿橋さんは「こういった話し合いができる職場、労働組合が大事」とまとめました。

▲5日夜に行われた青年企画に70人が参加

▲グループごとに発表する青年たち
全国自治研に参加して
名古屋市職労 刀根 拓未さん

マイナンバーカードについて住民視点が知りたくて参加。日頃当局から来る情報とは違った話が聞ける良い機会だった。今回、全体会で司会をした。憲法も選挙もよくわからないからと無関心だったとしても、結局は自分に結果が返ってくる。ちゃんと関心を持ち、学ぶ機会を生かしていくのが大事。