第132湯 石行燈、切妻家屋、格子戸…城下町の雰囲気たっぷり
2011年10月号 Vol.455
鹿野城主・亀井茲矩(これのり)が築いた城下町の風情
鳥取市鹿野町(しかのちょう)
石行燈、切妻家屋、格子戸…城下町の雰囲気たっぷり
鳥取駅から車で30分ほどのところにある鳥取市鹿野町の鹿野温泉は1954(昭和29)年に発見された温泉で、1966(昭和41)年に国民保養温泉地に指定された山あいの温泉町です。 鹿野町に入ると、河内川手前右手に鳥取市鹿野町総合支所、「鹿野そば道場」と続きます。川を渡ると鹿野町今市に入り、左手にある「温泉館ホットピア鹿野」の足湯に観光客がのんびりと足を浸けていました。隣の「鹿野そば処」で入浴後の蕎麦がおすすめです。5分ほど行くと「国民宿舎山紫苑(さんしえん)」前の駐車場にも足湯があります。前の道路を河内川に向けて歩くと「鹿野温泉病院」や、全室に露天風呂を備えた宿「夢彦」などが点在します。 再び河内川を渡ると、鹿野城下町入口の常夜灯が風流な雰囲気をかもしだしています。城下町地区では、鹿野城趾や城下町の面影を残す街並みは狭く、突き当たりに民家の玄関があるため行き止まりかと思いきや、折れ曲がった道を抜けると外堀にも常夜灯、切妻家屋、格子戸などがあり、城下町の雰囲気たっぷり。町名を表した石行燈も風情があります。 城下町のなかに地域の女性たちで運営している農村レストラン「鹿野夢こみち」があります。古民家を改装し、地元の野菜や山菜を取り入れ、農作業で日よけに使う、すげ笠をお盆がわりに使用した「すげ笠弁当」がおすすめです。 戦国時代の鹿野は軍事上・交通上の要衝とされ、攻防の舞台になりましたが、鹿野城主・亀井茲矩(これのり)の城下町つくり(「折れ曲がった道」もその一つ)で平静を取り戻し、発展しました。しかし、1617年に亀井氏が津和野に移封されると次第に寂れていきました。 鹿野町には茲矩や「我に、七難八苦を与えたまえ」と尼子氏再興に尽くした悲運の英雄・山中鹿介(しかのすけ)の菩提寺など神社・仏閣も多く点在します。車でお越しの方は商売繁盛の人気スポット「もうけ神社」詣はいかがでしょうか。 鳥取市への合併を目前にした2004年10月、当時の鹿野町では町づくりにより培われた町営の「国民宿舎山紫苑」「温泉館ホットピア鹿野」「鹿野そば道場」など8施設の管理運営を行う「(株)ふるさと鹿野」を立ち上げています。 (自治労連鳥取県本部・山根善政)
▲1912(明治45)年に建築された家。千本格子を配した、このような家が連なります。右にある柱は石行燈
▲町のあちこちに設置されている常夜灯
温泉メモ
【鹿野温泉】
- 効能/
- 神経痛・筋肉痛・関節痛など
- 泉質/
- 単純弱放射能温泉
- 泉温/
- 62.2℃
【温泉館ホットピア鹿野】
- 所在地/
- 鳥取市鹿野町今市428−2
- 営業時間/
- 午前10時〜午後10時
- 休館日/
- 毎月第1木曜日
- 交通/
- 車:JR浜村駅から約10分、JR鳥取駅から約30〜40分、
バス:JR鳥取駅から約1時間
- 料金/
- 大人420円、小中学生210円
- 問い合わせ/
- 0857−84−2698
▲「ホットピア鹿野」の足湯