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第133湯 四季の移ろいを楽しむ「日光の奥座敷」

悠湯 旅情2011年11月号 Vol.456

奥日光にたたずむ自然と古(いにしえ)の温泉
栃木・日光湯元温泉

四季の移ろいを楽しむ「日光の奥座敷」

 日光といえば、男体山(二荒山(ふたらやま))の東側を中心とした日光東照宮や鬼怒川温泉などが有名ですが、男体山などの日光表連山をはさんで日光市街地の反対側に広がる奥日光は意外と知られていません。また奥日光の標高は、日光市街地よりも約1000メートルも高く、市街地が梅雨空のときでも晴れていることもあって、「秘境」とさえ呼ばれています。  奥日光の中心には、戦場ヶ原という湿原が広がっています。このような高地に湿原が広がっているのは、かつて戦場ヶ原のなかを流れる湯川をせき止める男体山の噴火で堰止湖ができ、そこに土砂や火山の噴出物が積もって陸地化し、さらにヨシなどの水生植物が覆ったためです。ちなみに戦場ヶ原の名称は、山の神々がこの湿原を舞台に戦ったという伝説に由来します。  中禅寺湖に流れ込む湯川の源流となっている湯ノ湖も、奥日光を代表する景勝地のひとつです。湯ノ湖は、北東にある三岳のかつての噴火によって形成された堰止湖で、周辺の白根沢や日光湯元温泉から流れ込んでいます。そして、この日光湯元温泉から流れ込むお湯が、湯ノ湖の名前の由来となっています。湯ノ湖の南には湯滝と呼ばれる滝があります。三岳(みつだけ)の噴火で湯川の流れをせき止めた溶岩の斜面を落差50メートルにわたって流れ落ちる勇壮な滝を間近で見られることもあり、華厳(けごん)の滝などとともに奥日光三名瀑にも数えられています。  戦場ヶ原や湯ノ湖、湯川などは、さまざまな動植物が棲む奥日光の湿原としてラムサール条約による保護湿地として登録されるなど、自然環境の観点からも貴重な場所となっています。  湯ノ湖の北岸のほとりには、奥日光国有林を源泉地とする日光湯元温泉の温泉街が開けています。ここは「日光の奥座敷」とも呼ばれ、その歴史は1200年以上も前に遡ると伝えられています。単純硫黄泉の源泉が約20あって湯温も高く、そこで営業するほとんどの宿泊施設が源泉かけ流しとなっているほか、無料で利用できる「あんよの湯(足湯)」も設置されています。  日光湯元温泉には20軒以上の宿泊施設が営業していますが、そのなかでも1868年(明治元年)創業の老舗「湯守釜屋(ゆもりかまや)」は比較的小規模の落ち着いた旅館で、露天風呂と2つの大浴場が疲れを癒してくれる、おすすめの湯宿です。

▲温泉が流れ込む「湯ノ湖」ですが、水温は低く、冬には凍結することも

▲高地に広がる湿原は日本では珍しく、貴重な動植物の宝庫です

 


温泉メモ

【日光湯元温泉「湯守釜屋」】

所在地/
〒321−1662
栃木県日光市湯元2548
問い合わせ/
0288−62−2141
HP/
http://www.yumorikamaya.com/
 
交通/
JR日光線「日光駅」下車後、東武バス
「湯元温泉」バス停下車。
日光宇都宮道路「清滝I.C.」から車で
40分、または関越自動車道「沼田I.C.」
から90分。
※冬季は通行止めにご注意ください。
 

▲老舗旅館「湯守釜屋」