第137湯 素朴なたたずまい心静まる湯の街
2012年3月号 Vol.460
四季(色)に彩られた豊かな自然に抱かれる
三重県三重郡菰野(こもの)町
素朴なたたずまい心静まる湯の街
三重県北西部に位置する人口4万人あまりの菰野町は、中部地方の一大工業都市である四日市市と隣接し、また名古屋や大阪などの都市からのアクセスにも優れた場所に位置しながら、町の西側の大部分が鈴鹿国定公園として指定されるなど、自然豊かな環境に恵まれた町です。なかでも滋賀県との県境に挟む鈴鹿山系の主峰としてそびえる御在所岳(ございしょだけ)と、その麓に湧く湯の山温泉が観光の中心地となっており、毎年多くの観光客・登山客が訪れています。 御在所岳は、春はアカヤシオや山桜などが咲き乱れ、秋には山全体が見事な紅葉に染まります。また冬の積雪時には、山頂付近で多数の樹氷が見られるなど、菰野町のなかでも特に四季折々の彩りが楽しめる場所となっています。 山麓の湯の山温泉から御在所岳山頂までは全長2.2キロにわたるロープウェイが走っています。ロープウェイからは御在所岳の三重県側の特徴である切り立った山肌や多くの巨岩・奇岩、そして温泉街や市街地、伊勢湾などが眼下に広がる雄大な景観を目にすることができます。 湯の山温泉は、御在所岳の三重県側の山麓に位置する歴史ある温泉で、その開湯は1300年前にさかのぼるといわれます。傷ついた鹿が癒していたことから発見されたといわれ「鹿ノ湯」とも呼ばれています。 戦国時代、織田信長の伊勢侵攻によって周辺の寺院が焼き討ちされた戦いの後に一時衰退しましたが、江戸時代に温泉宿場として再興され、忠臣蔵で有名な大石内蔵助もたびたび訪れたと伝えられています。明治時代には再び衰退の危機を迎えましたが、周辺地域からのアクセスのよさに着目した当時の四日市鉄道が鉄道を整備して「関西の奥座敷」とも呼ばれたこの温泉を復活させたといいます。 湯の山温泉は、歓楽街化されていない素朴で気軽に行くことができる保養温泉として、現在10軒を超える温泉宿が営業しています。温泉はアルカリ性ラジウム泉質で、胃腸や神経痛、外傷に効果があるとされ、また美人の湯としても人気があります。 そのなかでも敷地内の地下深くから湧く源泉を有する湯元グリーンホテルは、ふたつの泉質の異なる広いかけ流し温泉が楽しめることで人気のある温泉宿です。
▲冬季の御在所岳頂上で見られる樹氷。下界や青空とのコントラストが映える絶景です
▲絶壁の斜面を走る御在所ロープウェイ。大きな塔は、ロープウェイとしては国内一の高さだとか
温泉メモ
【湯の山温泉】湯元「グリーンホテル
- 所在地/
- 〒510-1251
三重県三重郡菰野町千草7054-173
- 交通/
- 近鉄「湯の山温泉」駅下車、
徒歩約10分、または送迎バス。
東名阪自動車道「四日市」I.C.より
約10キロ