第115館 戦争も暴力もない社会を築くために
2011年10月号 Vol.455
東京都新宿区 女たちの戦争と平和資料館(wam)
戦争も暴力もない社会を築くために
立ちあがった元日本軍性奴隷(「慰安婦」)たちを支援するための資料館が2005年にオープンしました。「日本ではじめて戦時性暴力に特化した記録と活動の拠点」です。
早稲田奉仕園内の結婚式場AVACOの2階という意外な場所にあります。入るとそこは前室、「沈黙を破った女性たち」の顔写真150枚余が壁一面を飾り、ライトで明るく照らされています。
現在の特別展は「フィリピン・立ちあがるロラたち」、2012年6月まで展示されています。
「『慰安婦』被害者は名乗り出て」というラジオの呼びかけで、400人あまりの勇気あるロラ(タガログ語で「おばあさん」)たちが立ち上がりました。第2次世界大戦中のフィリピン戦については「壮絶な戦い」「おびただしい戦死者」などと語られることはあっても、「慰安所」「戦場強かん」などについては、ほとんど語られませんでした。今回の展示は最新資料により、フィリピンにおける「加害」と「被害」の実相を伝えるものです。必見はフェリアスさんのアップリケによるキルトです。日本軍が来る前の平和なくらしはわずかであり、ほとんどが日本兵による略奪・暴行の場面です。女性や少女が足の間から血を流している様子は思わず目をそむけたくなります。
今、侵略戦争を肯定する「つくる会」系の教科書採択がすすめられ、日本政府は元「慰安婦」に対する謝罪も補償もしていません。国連女性差別撤廃委員会の勧告も無視したままです。だからこそ元「慰安婦」たちは勇気をふるって立ちあがり、自国政府や日本政府に対して、加害責任を明らかにし、謝罪と補償を求めてたたかっています。
たった115平方メートルの小さな空間は、被害者にとっては大きな励ましです。一日も早く彼女たちに平安な日が訪れ、戦争や女性に対する暴力がない社会を築くために、一人ひとりが行動することを、この小さな資料館は訴えています。
▲アジア各国の日本軍による性暴力被害者の写真が来館者を迎えます
▲フィリピンのフェリアスさんは14歳で監禁され、1年間強かんされ続けた日々をキルトに縫い込みました
ミュージアムメモ
所在地/ |
新宿区西早稲田2−3−18 AVACOビル2階(早稲田奉仕園内) |
交通/ |
JR山手線・西武新宿線高田馬場駅早稲田口から徒歩20分、早大正門前行きバスで西早稲田下車徒歩2分 |
開館時間/ |
午後1時〜午後6時 |
休館日/ |
月・火・祝日・年末年始・展示入れ替え期間 |
入館料/ |
18歳以上500円・18歳未満300円・小学生以下無料 |
問い合わせ/ |
03−3202−4633 |
ホームページ/ |
http://www.wam-peace.org/ |