子どもたちによりよい保育を!11.4大集会
国と自治体の責任で保育の公的保障拡充を!
子どもたちによりよい保育を!11.4大集会に全国から保育士、保護者、子どもたち、研究者など3500人が結集
「子ども・子育て支援新制度」により全国で公的保育制度の改悪が進められようとするなか、11月4日に有楽町マリオン前他2カ所で署名・宣伝行動、子どもたちによりよい保育を!11.4大集会、銀座通りパレード、自治労連保育・学童保育闘争意思統一集会が行われました。
東京・有楽町マリオン前宣伝
自治労連の保育の仲間が全国各地から約200人が参加し、署名・宣伝行動を展開
大集会に先立って有楽町マリオン前を中心に全国から自治労連の保育士・保護者など約200人が集まり午前11時から署名・宣伝行動を行いました。小雨が降るなか、全国各地からカラフルでユニークな横断幕やのぼり、署名用紙を持って通行するみなさんに「公的保育制度を守りましょう」と署名への協力を訴えました。 また、全国各地で公的保育制度を守る運動を展開している地方の代表9名が、各地方の自治体における保育の現状、とりくみや決意などを訴えました。
大阪の代表は「維新首長が2割いる大阪では保育所の民営化や幼保一元化が強引に進められています。子どもたちや保護者の笑顔を守るため住民とともに運動していきたい」、岡山の代表は「岡山市は国に準じた方針を進め、幼保一体化で公立保育園・幼稚園をなくそうとしています。保護者や地域の皆さんと幼保一体化の反対の運動を進めています」、東京の代表は「多くの保護者が認可保育園を希望しており、待機児童解消に向け安心して子どもを預けられるようにしたい。みなさん声をあげていきましょう」、広島市学童保育の代表は「公設公営の学童保育有料化を許さず、学童保育拡充と年収200万円以下の指導員が生活できる賃金をめざしていきたい」、高知の代表は「高知の本山町では米軍機の低空飛行、オスプレイの飛行訓練より子どもたちが恐怖の状態に置かれています。例え小さな声でも声を上げないと変わらないと国に要請してきました。これからも地域の宝、大事な子どもたちのために地域で運動を進めていきたい」、岩手の代表は「3.11から2年8ヶ月が経過しましたが、被災地の子どもたちは保育所に元気に通っています。しかし、産業が大きな被害を受けており、保育士不足で保育所に預けられない状況があります。『新制度』によって行政の責任が後退させられようとしていますが行政が保育に責任を持ってこそ生活が再建できると思います。岩手では復興一揆を進めており、全国で心を一つに運動しましょう」、広島の代表は「広島市では父母と共同してこの間保育所の民営化を阻止してきました。しかし、市は新たな手法で公立保育所の民間移管が進めようとしています。広島市では過去最高の待機児となっています。民間移管している場合ではありません。保育関係者・保護者、地域で共同して公的保育制度を守っ ていきたい」、愛知の代表は「名古屋市は昨年度待機児全国ワースト1となりました。しかし、市長は待機児童対策のため小さな保育所を多く作り、公立保育所に詰め込み保育を強要し、減らそうとしています。子どもたちがきちんとした発達が保障できる保育制度を願っています」、京都の代表は「京都市は少ない公立保育所をさらに民間移管しようとしています。国の路線にしたがって保育所だけでなく障がい者施設など福祉施設も民営化しています。地域の保育関係者、民間の保育園のみなさん、多くの地域のみなさんとともに福祉切り捨てを許さない運動をがんばっていきたい」と署名への協力を訴えました。
子どもたちによりよい保育を!11.4大集会
「新制度」から公的保育を守るため、地域の運動を広げ、国や自治体に責任果たさせよう
日比谷野外音楽堂のステージでは、11時から保育フェスティバル、二本松はじめさんのつながりあそび・うたコンサートが行われ、会場全体が楽しい雰囲気に包まれました。
雨も上がり晴れ間が出てきた13時からの集会には3500人が集まりました。はじめに主催団体を代表して自治労連・橋口紀塩副委員長が「いま憲法9条改悪とともに憲法25条改悪といえる社会保障解体のプログラム法案によって介護、医療、年金、保育など改悪が来年4月からの消費税増税とともに進められようとしています。『子ども・子育て支援新制度』(以下、『新制度』)は国民の保育要求に背を向け、国と自治体の責任を後退させるものです。この間多くの自治体で共同を広げ、首長との懇談など運動を展開し、児童福祉法24条1項の市町村の保育実施責任を残し、公的保育制度拡充を実現させてきています。『新制度』による公的保育制度改悪を許さず、憲法や『子どもの権利条約』にもとづいて誰もが安心して子育てができる社会をめざしていきましょう」とあいさつしました。
続いて全保連・実方伸子事務局長が「新制度」について「①市町村責任による保育所保育と、その他施設との直接契約制度が併存する。②支給認定により保育時間が設定され、必要な保育が受けられなくなる。③施設、事業の多元化により保育基準、保育条件に格差が持ち込まれる。④保育料など保護者負担が増える。⑤保育と教育(幼児教育)が区分され、保育が時間預かりの託児の扱いになっている。⑥施設整備費や民間施設給与等改善費などの補助金が廃止・見直しされる。⑦企業参入が促進され公費が保育のために使われなくなる。⑧新制度に乗じて公立保育所民営化・統廃合などがすすめられようとしている」など8点にわたる問題点を指摘しました。そして「私たちは『新制度』ですべての問題が解決するような政府の宣伝に惑わされず、各地で展開されている運動をさらに発展させ、『新制度』が具体化される過程で、市区町村の保育実施責任を基礎に、保育・学童保育・子育て支援施策において現行水準の維持・拡充を求めていきましょう」と訴え、7つの具体的な行動提起をしました。
その後のリレー・トークで自治労連保育部会・高橋光幸事務局長は、「子どもたちは大人の笑顔が大好きです。しかし、いま保育現場から保育士の笑顔が消えようとしています。笑顔を奪うのは『新制度』です。公立保育園所はいま各地で基幹型・センター化によって民営化が進められています。公立保育所を守ることが保育の市場化を許さず、すべての保育労働者の処遇改善につながると考えます。合わせて保育実践の向上めざして保護者や地域の皆さんとともに力を合わせて奮闘してきたい」と訴えました。
自治労連・保育・学童保育闘争意思統一集会に130人参加
「新制度」に対して現行保育制度を堅持し、充実させる運動を各地で進めて行こう
パレード終了後16時から自治労連保育・学童保育闘争意思統一集会を開催し、19地方組織・1県事務所130人が参加しました。はじめに橋口紀塩副委員長が「自公政権は2015年4月から『新制度』を実施しようとしています。これに対して、保育を必要とするすべての子どもたちに保育を受ける権利、保護者の就労保障、最低基準の遵守、国と自治体の保育実施義務、公費による財源保障など、現行法保育制度を堅持し、充実を求める運動をすすめていくことが重要です。今日の意思統一集会で決意を固め合い運動していきましょう」とあいさつしました。
続いて福島功副委員長が「『新制度』に向けた当面の自治労連保育闘争方針(案)」について「『保育制度改革』の狙い」「保育を取り巻く情勢」「『子ども・子育て支援新制度』の主な問題点」などを報告した後、「憲法をいかした国と地域をつくるたたかい」「住民の望む保育水準確保と、それに応える職場を守るたたかい」など「たたかいの位置づけと構え」や、「国に対するとりくみ」「自治体当局及び地方議会に対するとりくみ」「市町村の『子ども・子育て会議』・事業計画・ニーズ調査に対する取り組み」「公立保育所の統廃合・民営化を許さず、認可保育所の増設を求める運動」「非正規の雇用・労働条件の改善と組織化」など具体的なとりくみについて提起しました。
各地域・分野からの発言では、自治労連保育部会・中村美樹常任幹事から大阪における各自治体の保育所の民営化や幼保一元化の動きや、この間の公的保育を守る地域での住民との共同のたたかいが報告された後、「今後多くの自治体で年内に事業計画策定が進められるなかでかみ合った運動が必要です。大阪保育闘争委員会・保育プロジェクトチームでは、事業計画に反映すべきものとして、①公的保育責任で待機児解消のとりくみを進めること、②地域子育て支援計画を定めること、③障がい児や児童虐待の危険性のある子どもの措置などの養育支援を定めることなどを柱とした政策を検討しています。来年2月22日~23日に大阪で開催する『自治体に働く保育労働者の全国集会』では参加者に元気を出してもらえるような素敵な集会にしたいのでぜひみなさん大阪に来て下さい」と訴えました。
大阪の学童保育指導員の仁木将さんから「保護者のニーズに応える学童保育はどうあるべきか。行政、指導員、保護者、子どもたちとともに放課後の子どもたちの過ごし方を共同で進めていく必要があります。そして、指導員の専門性、継続性を築きあげ、行政にきちんとした基準づくりを求めていきたい」、東京自治労連保育部会・梅野里江事務局長から「東京では保護者から認可保育園に入れないなど子育てに不安であるとの声が多く出され、待機児童解消に向けた認可保育所の増設と現行水準の維持・向上をめざして12月14日には都民大集会を予定している」、高知自治労連・吉田佳弘さんから「『新制度』で保育がどうなるのか首長懇談にとりくんでいます。自治体労働組合が核となって地域で公立保育所の存在意義や役割をもっと豊かにして攻撃をはねかえしていきたい」との発言がありました。最後に橋口副委員長の団結ガンバロウで集会を終了しました。