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公務員の給与改定に関する閣議決定及び総務副大臣通知について

あらためて公務の賃金削減の即時中止、積極的な賃金改善を求める

公務員の給与改定に関する閣議決定及び総務副大臣通知について(談話)

2013年11月21日

日本自治体労働組合総連合

書記長 猿橋 均

 11月15日、政府は、今年度の国家公務員給与に関わって、8月の人事院報告に基づき給与改定は行わないこと、また、東日本大震災復興との口実で強行された国家公務員の平均7.8%にもおよぶ賃金削減を、法律の規定通り来年3月31日をもって終了することを決定した。一方で、厳しい財政状況にかんがみ、引き続き総人件費削減を進めるとして、さらなる人員削減などともに、人事院に対し、先の報告に示された「給与制度の総合的見直し」について、早急な具体化を要請した。この決定を受けた総務省、副大臣通知では、地方自治体に対しても、国同様の厳しい総人件費削減を求めている。

 政府が、国家公務員の賃金削減の終了を決めたこと自体は、現行の人事院勧告制度と決して両立しないという意味で当然のことであり、公務員の労働基本権回復、生活改善に結びつく賃金引上げを求めてきた私たちの運動の到達点である。一方で、政府が、現にある較差を無視し、給与改定を行わないとの決定を行ったことは極めて不当である。即刻、道理なき賃金削減を中止・回復し、また、地方自治体に対する理不尽な給与削減の強制を中止し、削減した地方交付税を回復すべきである。労働者・国民の願いである「賃上げで景気回復・地方経済活性化」のために、政府として積極的な賃金改善策の具体化が求められており、今回の閣議決定も総務副大臣通知も、到底認められるものではない。

 総務副大臣通知は、地方自治体に対し、あくまで今年度の「賃金減額の強制」を継続することを表明し、これまでに増して、事細かに「国を上回る給与」の適正化を求めている。しかしながら、「賃金削減の強制」は、当初、「消費増税など国民負担増に対し公務が範を示すため」としていたものが、今や、地方交付税算定の指標となる「行革努力」と変わるなど、その理由からして破たんしている。さらに、地方自治体の職務や職員の実態を無視した「昇給・昇格制度改悪」「現給保障・持ち家手当廃止」などの押し付けは、「定員管理・人事評価制度の強化・強制」とともに、「賃金削減の強制」に続く、自治体支配の強化にほかならない。

 あらためて具体化が要請された「給与制度の総合的見直し」は、地方自治体にとっても、①地域間較差を理由に、地方自治体全体の賃金水準を引き下げる、②世代間較差を理由に、職場で重責を担う労働者の賃金を引き下げ、若手職員の将来への希望を奪う、③防災や食育など住民本位の施策を最前線で進める現業職員の採用停止や賃金を引き下げる、④職場に不団結とモチベーションの低下をもたらす人事評価制度の強化・強制など、重大な問題点を持ったものである。

 地方公務員の賃金削減の影響については、日銀の「地域経済報告」(「さくらレポート」10月21日)が、「地方公務員の給与減額や企業の撤退等の影響が懸念される地域がある」とし、また、ロイター通信(11月14日配信)は、「GDP-9月期は年率1.9%に減速、民需は一時的停滞」との記事の中で、「雇用者報酬は、実質で前期比マイナス0.6%と、3四半期ぶりの減少…地方公務員の賃下げの影響が大きく」と述べている。「景気回復のうえで賃上げが必要」と政府自身が表明を繰り返す中、さらなる公務の「総人件費削減」は許されない。

 自治労連は、山場を迎える13秋季年末闘争で、不当な賃下げ強制を許さず、終了させるたたかいを最後まで追求するとともに、14春闘においても、民間労働者や地域の勤労者との連帯を強め、「すべての労働者の賃上げ」を勝ち取るたたかいに奮闘することを表明するものである。

以上

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