野田内閣は8月30日、9月からの地方交付税(普通交付税)4兆1千億円のうち道府県分を3分の1に減額し、1兆4千億円の支払いを10月以降に先送りする方針を閣議で確認した。あわせて、国立大学法人や独立行政法人の運営費についても9月分以降の支出分を半額以下に抑える方針も確認した。その理由として、今国会に提出している特例公債法案の成立が困難であることをあげ、「成立が見込めない場合、一般会計の財源が枯渇する懸念が現実のものとなりかねない」(政府の対応案)としている。
国会において、特例公債法案は、民主、自民、公明などの間で、国会解散時期をめぐる党利党略のかけひきの具にされている。国民不在の政争で、国民の生活にしわ寄せをすることは断じて許すことはできない。
地方不交付税は、地方自治体が「住民の福祉の増進を図る」(地方自治法第1条の2)ために必要な一般財源である。この財源は、過去の「三位一体改革」で大幅に減額され、多くの地方自治体で住民のために必要な予算、人員が確保できなくなっている。
今でさえ不足している地方交付税の支出が抑制されれば、たちまち全国の地方自治体、とりわけ財政力が弱く、地方交付税依存の大きな小規模自治体で、資金繰りに困難をきたし、公務公共サービスに必要な支出が行えない事態を引き起こすこととなる。また、国立大学法人や独立行政法人の運営費の減額も、大学教育や公的病院など公務公共サービスに悪影響を及ぼすことは言うまでもない。政府の地方交付税支出先送りの方針に対して、全国知事会など地方団体は8月30日に首相官邸で行った「国と地方の協議の場」で、政府に「地方交付税の配分に悪影響が出ないようにしてほしい」と要請している。
いま政府がやるべきことは、国民の生活を守ることを第一にして予算を執行することであり、財源不足が生じるのであれば、不要不急の大型公共事業、米軍への思いやり予算、政党助成金など無駄な支出を削って確保するべきである。国会も、党利党略で法案を政争の具にするのをやめ、国民の生活に関わる予算が確保されるように国民の代表機関としての役割を果たすべきである。
自治労連は、地方交付税の予算執行抑制に断固反対するとともに、政府、国会が国民の生活を守ることを第一にして、必要な予算の確保、執行をはかることを強く要請するものである。