第179臨時国会は会期延長なしで、12月9日閉幕した。今臨時国会で、労働者派遣法「骨抜き改定案」や、国家公務員給与特例(賃下げ)法案の成立を断念させたことは、抗議集会・国会議員への働きかけなど、会期末ぎりぎりまで、国民共同のたたかいを繰り広げた成果である。
今臨時国会では、大震災・原発災害からの復興が最大課題となり、大震災復興や、原発災害の除染費用などを盛り込んだ第3次補正予算が成立した。除染費用は試算されている除染からは程遠いものである一方、原子力賠償支援機構の税金投入枠を2兆円から5兆円に拡大するなど、東京電力を救済するためのものとなった。復興財源確保法は、庶民に8.1兆円の大増税を押し付け、大企業には法人税を恒久的に引き下げるものとなった。また、国税通則法の改定では、税務署の権限を強化し、納税者の負担を増大させ、納税者権利憲章制定を目的から削除した。
福島原発事故の収束の見通しが立たない中で、原子力協定(原発輸出協定)を可決するなど復興に逆行する政府の姿勢も浮き彫りになった。また、臨時国会最終日には、参議院本会議で一川防衛相、山岡消費者担当相の問責決議が可決された。
公務員賃金をめぐっては、震災復興へ向けた第3次補正の財源の一つとして、6月に国会に提出された「給与特例(賃下げ)法案」による国家公務員賃金の7.8%削減が強行されようとしたが、今国会では、審議されることなく継続となった。
自治労連は、全労連・公務部会に結集し、夏季闘争から今日まで、震災復興や社会保障の財源を口実とした消費税増税などの「露払い」である、憲法違反の国家公務員の賃下げ・地方波及は絶対に許さないというたたかいを継続してきた。
国会終盤では、民自公によって①マイナス人勧実施を含めた7.8%削減、②地方自治体への「賃下げ」要請、③労働協約締結権「付与」を含む公務員制度改革法案の切り離し、との合意が図られようとした。これに対し、毎水曜日の宣伝行動、国会前の座り込み行動、国会議員・地方3団体等への要請行動など、中央・地方における共同の取り組みを広げた。この運動が「協約締結権の先取り」などという詭弁を弄してまで行おうとした民主党と連合の策動に対し、政党間の矛盾を拡大させ、その強行を許さないという大きな到達点をつくり出した。
また、国会最終盤になって、突如出された「労働者派遣法改正案」からの「製造業派遣・登録型派遣の禁止見送り」という「改正案の骨抜き」に対して、短期間の共同したたたかいで、国会審議のルールさえ無視した、衆参2日間での国会通過は許さないという到達点を勝ち取った。
今後、年明けの通常国会に向け、たたかいが継続されることになる。国会閉会中の年末年始にも、密室による協議が進められるものと予想される。この間の運動の到達点に確信を持ち、引き続き、国家公務員賃下げ、地方への波及、労働者派遣法の骨抜き阻止を広く社会に訴えることが求められている。また、「子ども・子育て新システム」「TPP参加」「社会保障・税一体改革」「普天間基地移設問題」など、国民の暮らしや日本の針路を左右するたたかいは年明けが正念場となる。
自治労連は、大企業・アメリカ追随の構造改革の政治の復活を許さず、大震災・原発事故被災者のくらしの立て直し、消費税増税許さず社会保障の拡充を求める運動や、働くルールの確立、そして、国民の期待に応える自治体・公務公共業務の拡充に向け、引き続き全力をあげるものである。