第7景 東京・台東区浅草
2014年11月号 Vol.492
下町の活気にあふれる浅草
江戸情緒ただよう街に元気をもらえます
東京・台東区浅草
▲赤の大提灯が目を引く浅草寺の雷門。待ち合わせや記念撮影を楽しむ人たちで常ににぎわっています
下町はもちろん、東京や日本を代表する観光名所として知られる浅草。江戸情緒や下町風情、大衆文化に触れることができ、休日ともなれば大変な混雑ぶりです。浅草の総門とも言われる雷門の前では「観光人力車」の車夫たちが威勢のいい声をあげています。
雷門をくぐると浅草寺(せんそうじ)へと続く仲見世通り。両側には、和傘・扇子・簪や雷おこし・人形焼など「日本」を感じさせる店がズラリ。揚げまんじゅう屋さんを眺めていたら「おねえさん、止まらないで流れて流れて」と店員に注意されてしまいました。「おねえさん」に気をよくして1個120円の「こしあん」をいただきながら歩みを進めます。
伝法院(でんぼういん)通りは浅草寺に向かって左側の通りには、昔ながらの衣装店などが並び、右側は歌舞伎『白浪五人男(しらなみごにんおとこ)』の主役である5人の盗賊たちの置物が通りを守っています。原作者の河竹黙阿弥(かわたけもくあみ)が、当時この一角に住んでいたことから伝法院通りの用心棒になったそうです。手ぬぐい店の屋根に弁天小僧菊之助(べんてんこぞうきくのすけ)が座っているなど遊び心を感じさせますが、5人目がなかなか見つかりません。はてさてどこにいるのやら……。
浅草寺に入り、線香の煙がもうもうと立ち昇る本堂前を抜けたあたりで微かに女性の黄色い声が聞こえてきます。通りをはさんだ近くにある日本最古の遊園地「花やしき」からです。すぐ隣の民家に突っ込みそうな怖さのあるジェットコースターは今なお人気。
さて、散策でおなかがすいたら食事にも困らない浅草。昭和レトロな喫茶店から、とんかつ、うなぎ、昔なつかしい洋食など気取りのない庶民派の店で下町の味を存分に楽しめます。老舗のお好み焼き店「染太郎」は昭和そのものの店構え、パッチを履いた店員が江戸の粋を感じさせます。名物「しゅうまい天」は、焼売ではなく、四角い餅でつくった囲いに、玉ねぎ、にんにく、ひき肉を混ぜた生地を流し込み、醤油をかけて焼く変わり種。夏でも扇風機とウチワの風のみで鉄板の熱気とたたかいながら熱々のお好み焼きをいただきます。
下町の活気にあふれ、行けば元気になれる街、それが浅草です。
よりみちメモ
【浅草花やしき】
開園時間/午前10時~午後6時
利用料金/大人1000円 小学生500円
【お好み焼き「染太郎」】
所在地/台東区西浅草2-2-2
電話/03-3844-9502
営業時間/正午~午後10時30分
▲東京スカイツリーのビューポイントでもある伝法院通り。左側の屋根には弁天小僧菊之助が……