第14景 文学と四季折々の花
2015年6月号 Vol.499
文学と四季折々の花
1200年以上の歴史刻む紫式部ゆかりの寺
滋賀・石山寺
▲石山寺の玄関「東大門」
琵琶湖で有名な滋賀ですが、琵琶湖以外にも見どころがたくさん。今号では石山寺を紹介します。
琵琶湖から流れ出る瀬田川の西岸に石山寺はあります。石山寺へは京阪電車の石山坂本線に乗車し、石山寺駅で下車、瀬田川に沿って歩いて10分の所にあります。
瀬田川を見ながら歩いていると時折、瀬田川を遊覧する「一番丸」が通ります。一番丸は琵琶湖に最初に登場(1869年)した蒸気船です。現在は当時の明治時代に活躍した一番丸を復元したものとなっていますが、船から眺める景色に、まるでタイムスリップしたかのような思いにさせてくれるのではないでしょうか。
「瀬田の唐橋」は、京都と東域を陸路で結ぶ交通の要衝で、「唐橋を制するものは天下を制す」と言われ、天下をめざす武将たちによって熾烈な争奪戦が繰り広げられてきたと伝えられています。また歌川広重の浮世絵や、松尾芭蕉の「五月雨に隠れぬものや瀬田の橋」などの句も唐橋を有名にしました。そうした当時の歴史に思いをはせていると、あっという間に石山寺へ辿りつきます。
石山寺は747(天平19)年、聖武天皇の勅願により、東大寺の良弁僧正が開基した古刹です。
玄関にあたる東大門にはとても険しい表情の阿吽の仁王像が出迎えてくれます。門を越えると、緑に生い茂った木々たちのアーチをくぐります。桜や霧島ツツジ、紅葉が植えられていて、季節ごとに訪れるひとを楽しませてくれます。
アーチをすぎると急な石段があり、登りきると石山寺の寺名の由来になったと言われる「硅灰石」の広場に出ます。硅灰石とは、石灰岩などのマグマが地中から突出した際に花崗岩と接触し熱の作用によって変形したものだそうで、通常は大理石となるため、写真のような大きな硅灰石は珍しいそうです。そうした珍しい巨大な硅灰石の上に石山寺が建っています。
また、世界に誇る最古の長編小説「源氏物語」の作者紫式部がその構想を練ったところとしても有名です。
歴史・文化の詰まった、また季節によって見せる顔が違うことから「花の寺」とも呼ばれる石山寺を一度訪れてみては。
よりみちメモ
【石山寺】
所在地/滋賀県大津市石山寺1-1-1
問い合わせ/077-537-0013
交通/京阪「石山寺駅」下車、徒歩10分
開場時間/午前8時~午後4時30分(入山は午後4時まで)
入山料/600円
▲1922(大正11)年に国の天然記念物に指定された石山寺の硅灰石