自治体労働者の権利宣言(案)
憲法は住民の健康で文化的な生活を保障し、自治体労働者が国民全体への奉仕を職務とする労働者であることを明記しています。同時に、自治体労働者も憲法の保障する基本的人権や労働基本権の例外ではなく、住民全体に奉仕する職務を遂行する権利と一体のものとして保障されてこそ、住民の願いに応えられるものになると確信しています。
自治労連は1995年8月の定期大会で、「自治体労働者の権利宣言(案)」を発表し、広く討論を呼びかけました。全ての自治体労働者や地域住民のみなさん方の積極的な討論で豊かなものにしていただくことを願っています。
「自治体労働者の権利宣言(案)」 |
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前 文
1、すべての国民は、生を受けた瞬間から死にいたる人生のすべてを、住民として地域・地方自治体ですごします。 2、いま、憲法の国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義、議会制民主主義、地方自治などの原則がふみにじられようとしています。 3、戦前の自治体労働者は、絶対主義的天皇制政府のもとで「天皇の官吏」として、国民への支配と抑圧、侵略戦争のために働かされた痛苦の歴史をもっています。 4、憲法は、すべての労働者に労働基本権を保障しています。自治体労働者もその例外ではありません。 5、すべての自治体労働者が、人としての、労働者としての権利を保障されることこそ住民生活と地方自治擁護の道であり、住民生活の繁栄と地方自治の発展が、自治体労働者の生活と権利を守り、誇りと生きがいをもって働くことのできる道です。
第一章 自治体労働者と基本的人権の保障 (自治体労働者の規定) 2 自治体労働者は、地方自治体で働き、「住民全体の奉仕者」としての職務をつうじて、住民の生活と権利を擁護するという責務を担う。 (基本的人権の保障) 2 自治体労働者は、その思想・信条にもとづく意見を表明する自由、政党支持・政治活動の自由、集会・結社への参加の自由が保障される。 3 自治体労働者は、性による一切の差別を排除するとともに、真の両性の平等が保障されなければならない。
第二章 人間として生き、働く権利の保障 (労働基本権の保障) 2 これらの権利を制限・禁止する一切の法令・措置は違憲であり、自治体労働者のこれらの権利が自治体当局の支配や介入によって歪められることがあってはならない。 (賃金・労働条件) 2 自治体労働者の定員配置は、年休権の完全行使とすべての特別休暇の取得とともに、住民本位の行政を保障するものでなければならない。 3 自治体労働者が、人間としての尊厳と自由を回復し、豊かな生活を実現するため、労働時間の大幅な短縮がはかられなければならない。 4 自治体労働者は、健康で安全に働く権利が保障されなければならない。 (自治体労働者の身分保障) 2 採用、人事異動、昇任昇格も労働条件の重要な構成要素であり、民主・公開・平等の原則に基づいて行われなければならず、一切の差別や不公正・恣意的なものは排除されなければならない。 3 自治体労働者は、人事異動、昇任昇格に対し、事前に希望を申し出、内示に対する異議を申し立てる権利を有する。 (賃金・労働条件等の決定) (救済措置)
第三章 「住民全体の奉仕者」としての職務遂行上の権利保障 (参加と意見表明権) 2 自治体労働者は、首長・上司などの職務命令に対し、その内容に重大な瑕疵がある場合、及び職務命令の遂行が自治体労働者と住民の基本的人権を侵害するおそれがあるとき、これを拒否する権利を有する。 (研修・研究と住民への報告) 2 自治体当局のおこなう研修は、憲法と地方自治法の民主的原則にもとづき、自治体労働者がその職務を遂行するための能力向上、人間的成長を保障するものでなければならない。 3 自治体労働者と労働組合は、住民の基本的人権とプライバシーの侵害にかかわる事項を除き、自治体行政の現状と課題を住民に報告できる権利を有する。 (国政・地方政治の民主化と住民との共同) 2 自治体労働者と労働組合は、不公正・乱脈な金権・腐敗などについて真相を明らかにし、その責任を追及する権利を有する。 3 政府・自治体当局は、これらの権利行使に対して、一切の不利益処分や対抗措置をとってはならない |