新版自治研のてびき
文献の概要
タイトル | 新版自治研のてびき |
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著者 | 自治労 |
出版社 | 自治労 |
出版年月日 | 1961年03月10日 |
頁数 | 203ページ |
状況 | 本部に在庫 |
分類 | 自治研集会 |
自治研活動が始まった当初は、自治労の内部でも、「役人と労働者の二足のわらじ」という意識も根強く、また自治研活動の意義についても懐疑的な意見もありました。1955年5月の第4回定期大会では賃金闘争と自治研の関係について、自治研は賃金闘争を補強するものであると説明されています。
この決定にもとづいて1957年4月、甲府市で「第1回自治研究全国集会」が開かれました。この集会は初めての自治研ということもあって「手探りの集会」といわれたように、自治研活動とは何かということを出席者が理解し、それにとりくむ方法をお互いに研究し合うことが目的であったといわれます。
こうして賃金闘争を補完するものとして手さぐりで始まった自治研集会は、職場と地域、住民の切実な要求とその実現をはかる討議と実践の場として、自治体労働運動の柱として成長していくこととなります。
自治研活動は1961年の全国集会で基本テーマが「地方自治を住民の手に」へと発展しました。地方自治の主体が住民であることを明瞭にしたのでした。
同集会では「地域開発の夢と現実」というテーマが出され、自治体労働組合から四日市公害の告発がありました。後に住民運動が広がり革新自治体を生み出す要因になりました。
しかし、こうした自治研活動はやがて、自治労の持つ運動路線から発展が阻害されていくのでした。自治労は自治研活動を「住民のための地方自治をつくりあげ民主主義を一層発展させるための自治労の運動」であると定義しました。
これはたとえ組織内で自治研活動の意義を理解し深めるためとはいえ、本来、民主主義的統一戦線運動であるその活動を自治労の政治的・組織的運動に矮小化するものといえます。
当時、議論に参加した学者・研究者は「最後まで不満だった。自治研は地方自治を住民の手に取り返す国民的運動なのであって、確かに自治労という自治体労働組合がやっているのですけれども、しかしこれは自治労を乗り越えていくものである、そしてまた自治労は、乗り越えられた時にそれを本望だと思わないといけないと思っていたのです」と述べています。
こうした自治労の立場は、その後の自治研の発展を阻害するものとなっていきます。
(以上「30周年記念理論誌第1章から抜粋して引用」)