国家公務員法改正時参考資料（１９５４年）

　1947年の２・１スト中止後も労働運動は下火になることなく、1948年には公務員労働者の賃金要求が、物価値上げ反対の国民的運動や芦田内閣退陣を要求する政治闘争と結びつき、「7月闘争」に発展していきました。こうして再び2・1スト直前のような状況を思わせるたたかいが高まります。
　マッカーサー連合国軍最高司令官は、この高まりを抑えるために、1948年7月22日、芦田首相に「国家公務員法改正に関する書簡」（マッカーサー書簡）を送ります。
　書簡は、「公務員は全体に奉仕する義務」があるから、「公務員の争議権・団交権をはく奪すべき」、また「現業官庁を一般官庁から切りはなすこと」というものでした。
　芦田内閣は、この書簡を「単なる勧告ではなく、すべての法律に優先する命令（超憲法的拘束力がある命令）と解釈」し、7月31日に、国会にはかることなしに「政令201号（「昭和23年7月23日付内閣総理大臣宛連合国最高司令官書簡に伴う臨時措置に関する政令」）」 を施行しました。
　内容は第1条で同盟罷業、怠業的行為などを裏づけとする拘束的性質を帯びた団体交渉権は有しない、第2条で争議権の行使を禁じる、というものでした。
　以後、この制限を恒久化するため48年11月30日、国家公務員法が改悪され、さらに公共企業体等労働関係法（48年12月20日）、地方公務員法（50年12月13日）、地公労法(52年7月31日）が制定されます。こうして日本の組織労働者の三分の一以上を占める公務員労働者の基本的権利が剥奪されたのでした。

　「国家公務員法改正時参考資料」は、1954年2月から5月に、参議院人事委員会専門委員会が作成した、国家公務員法改正にかかわる政府の法案提出趣旨、国会質疑、主要な改正点、改正する諸資料を収録する手書き・謄写版の資料集です。この資料集を自治労連公務員制度改革検討委員会（2011年当時）が探し出し、デジタルデータ化しました。

　「地方公務員法制定時参考資料」とともに、公務員の労働基本権制限に関わる基本的な政府や占領軍の考え方がわかる1次資料です。

以下の6分冊から構成されています。

1. 「昭和二十三年の国家公務員法改正主要点―改正前との条文対比
2. 　附：本改正案の提案理由及び内容説明、質疑、修正の要点」
3. 「国家公務員法改正関係諸論集」
4. 「第13回国会に提出された国家公務員法一部改正案の主なる改正点」
5. 「国家公務員制度の沿革」
6. 「国家公務員法改正諸論集―資料②の補遺」
7. 「国家公務員法の主な改正点の対照」

　＊「６」はデータ化できていません。

　＊手書きの原文、デジタルデータとも、希望があれば貸し出しします。