【シリーズ156】仲間はかけがえのない私の財産
2013年10月号 Vol.479
京都・向日市職労 山本恵莉さん
仲間はかけがえのない私の財産
向日市立第6保育所に勤務する山本恵莉さんは保育士になって7年目。中学生の時、弟のお迎えに行っていた第3保育所で出会った素敵な先生たち。「こんな保育所で働きたい」との思いが山本さんを保育士へと導きます。向日市の保育士になり配属された先は憧れの先生たちがいる第3保育所。以降、6年間勤務してきました。「毎年ちがう環境とちがう子どもたちに出会える。大変な時もあるけどそれ以上にやりがいがあって楽しい」と満面の笑み。
しかし、そんな山本さんをつらい厳しい現実が襲います。第3保育所の閉園問題です。2011年6月、市長が老朽化を理由に2013年3月末での閉園と4月からの民間園設置を発表しました。すぐに組合として、閉園反対署名を保護者会と連携してとりくみ、懇談会や議員への要請行動に動きました。2万5000筆余りの署名を集めましたが、市長や市議会は耳を傾けず閉園を可決しました。
年が明け、年度末が近づくと子どもたちとの望まない別れに心が苦しくなりました。離れたくない気持ちがふくらみ、新園への引き継ぎのなかで葛藤する日々。新年度を迎えても自問自答を繰り返す毎日。「新園にとまどいを感じて泣いている子どもがいると聞き、私がそこにいたら子どもたちは泣かずにすんだ、つらい思いをさせてしまったという罪悪感に押しつぶされそうだった」と大粒の涙が頬をつたいます。「人生で一番つらい時期だった。もう二度とこんな悔しく悲しい思いは繰り返させたくない」
それを乗り越えてこられたのは第3保育所の仲間の団結の力でした。「良い上司、良い仲間がいたからこそ、閉園の悔しさを乗り越えられた」と山本さん。特に若手5人は「年齢も就職時期もちがうけれど、よりよい保育に向けてお互いが切磋琢磨して高めあえる存在。どんな時でも支えあってきたかけがえのない仲間」として強い絆で結ばれています。
「子どもが大好きな気持ちは変わらないし、子どもたちがよりよい環境・保育のなかで大きく成長していけるようにがんばりたい」。閉園という、つらく悲しい困難を乗り越えて、大切な仲間たちとまっすぐに前を向くまなざしの先には明るい未来と笑顔が待っています。
▲3月31日、閉園の日に撮った1枚。閉園から半年たった今でもホールには子どもたちの絵と大きな桜が咲き続けています。左から2人目が山本さん