【シリーズ160】弓道が私を引き上げてくれた
2014年2月号 Vol.483
福岡・自治労連北九州市学校嘱託職員労組 長友かほるさん
弓道が私を引き上げてくれた
▲的を見定め、弓を引く長友さん
14年前、4人兄弟の末の娘が小学校に入学し、私の子育て人生も一段落。では今度は私の番。自分自身のために何か始めたいと考えていました。そんな時、市政だよりの「弓道教室生徒募集」の記事が目にとまり、さっそく申し込みました。真っ白の胴着に黒の袴はとてもカッコいいのですが、的にまったく当たりません。私には無理かな?と思ったのですが、道場に行き、胴着・袴に着替え、帯をギュッとしめると、家庭のこと、仕事のこと、思い悩んでいたことなど、すべて頭のなかから消え、ただ弓を引くことのみに集中でき、私にとって最高のリフレッシュ・タイムになりました。
矢が的に当たることより射型(しゃけい)の美しさにひかれた私は、うまく的に当てることよりも、どのようにしたら美しく引けるのかに重点を置きました。弓道の大切な「正射必中(せいしゃひっちゅう)」(正しい射や射型から放たれた矢は必ず当たる)はただのキャッチフレーズかと思った時もあったのですが、美しく正しく弓を射るということは無駄がなく、不要な力を抜くことができ、強い弓でも力の弱い女性が楽に引くことができるのです。
新しく弓道を始めた初心者に弓の引き方を教えることも大変勉強になります。弓を引く基本を根気強く指導することは忘れていた大切な基本を思い出させてくれるのです。顎を引き、背筋をグッと伸ばし、的を見定め、ゆっくりと弓を打ち越(おこ)し、引き分けます。そして精神力・集中力をすべて出し切って一息に矢を放ちます。的に向かってまっすぐ矢が飛び、パァーンと音を立てて当たった時の爽快感。何ものにも変えがたい一瞬です。
今は弓道指導者の一番下の「錬士」への昇段で手こずっているところです。弓道を始めて14年、山あり谷ありの弓道人生ですが、良い先生と仲間に恵まれ、一昨年に夫が病気で亡くなった時も、子どもたちとともに弓道が私を引き上げてくれました。感謝です。
2012年4月から皿倉小学校の嘱託給食調理員としてお世話になっています。職場は和気あいあいと楽しく、仕事や組合活動、雇用継続を求めた座り込みや署名集めなど、お互いにフォローしながら無理なくがんばっています。これからも弓道に仕事に組合活動にがんばります。
※ご本人からの投稿です
▲職場の仲間と60歳を祝う席で、後列中央が長友さん。全員組合員です