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機関紙『自治体の仲間』2017年 9月号 Vol.526 自治労連第39回定期大会

住民と労働者の生活守る運動すすめよう

憲法と組合こそ道しるべ 確信に咲いた満面の笑顔

自治労連第39回定期大会 8月27~29日 埼玉県・さいたま市

▲発言を求めて、うちわを掲げる代議員のみなさん。全体で74人が発言しました

「改憲阻止、安倍政権の退陣を!憲法をいかし、働き続けられる職場・住み続けられる地域を!」のスローガンを掲げた自治労連第39回定期大会が、8月27~29日、さいたま市内で開催されました。8月26日の補助組織・部会の事前会議を含め、のべ2900人が参加しました。2017年度運動方針案を含むすべての議案が満場一致で採択・承認されました。

大会初日、新しく地方組織となった、かごしま自治労連への組合旗の贈呈が行われました。また、新規加入組合2単組が承認されました。

2017年度運動方針を高柳京子副委員長が提案。昨年大会で確立した、職場・地域から「憲法をいかし住民生活を守る」ことを自治労連の「特別な任務」と位置付けた3カ年方針の2年目を迎えて、あらためて提起しました。①憲法改悪阻止のため、憲法を語る人を広げ、憲法キャラバンをさらに推進する憲法闘争、②「こんな地域と職場をつくりたい」と「生計費にもとづく賃金要求の実現に向けた中期的賃金闘争」の2つの全国統一闘争の推進、③経済闘争と政治闘争を結合させ、政治革新を組合員の要求に高めること、④組織の強化拡大を、この間の到達を活かし、すべての単組の増勢で着実に運動をすすめようと訴えました。

運動に確信と共感

全国の代議員から「正職員増の成果が生まれた」「正規・非正規労働者が自ら学び、仲間を増やしている」経験が語られ、「憲法キャラバンですべての自治体の訪問を達成したい」など、活発な発言がありました。

特に自治労連が提起した「職場訪問」を多くの地方組織、単組が実施し、「訪問で職場実態がつかめ、活動も活性化した。人員増など職場改善の契機にしたい」「組合の姿が見えてよかった」など、運動への確信を深めた発言が続き、予算人員闘争の本格的な第一歩への共感がひろがった大会となりました。


現地歓迎行事パートⅠ

荒馬踊りで運動の推進願う

ようこそ埼玉へ 所沢市職労

大会初日の昼休み、笛・太鼓の「寄せ囃子(ばやし)」が流れてきました。所沢市職労保育部会の「荒馬(あらうま)踊り」が披露され、大会参加者を歓迎しました。

この「荒馬踊り」は、青森県の小さな町で、豊作を願って踊り継がれてきたものです。公立保育園の保育士たちが、首都圏唯一の歌舞団「荒馬座」から、これを習い、各園で踊ってきました。

今では、園の発表会や年1回の「保育まつり」で披露し、また、保育士だけでなく子どもたちも元気に踊ります。

会場では、平均年齢27歳の保育士たちが、若々しく、荒々しく舞いました。


世界から核兵器廃絶を

被爆地の声を政府へ

▲長崎市・田上市長(右)と猿橋委員長。「核兵器廃絶」の思いを込め、長崎市職員慰霊碑前で握手

長崎に原爆が投下され72年を迎えた8月9日。平和祈念式典の平和宣言で田上富久長崎市長は、7月に採択された「核兵器禁止条約」を歓迎、条約の交渉会議にさえ参加しない日本政府の姿勢に「被爆地は到底理解できない」と批判しました。

同日早朝、長崎市職員原爆犠牲者慰霊碑前での、長崎市互助会主催の慰霊祭には、田上市長をはじめ長崎市の職員や自治労連組合員が参列。「悲劇を起こさせない」と田上市長は誓い、自治労連・猿橋均委員長は「政府は条約への参加を」と訴えました。 (関連記事はこちら≫


国民のくらしと権利を守る仕事に誇りをもって

執行委員長あいさつ 要旨 自治労連中央執行委員長 猿橋 均

この大会は安倍政権が国民の怒りや国際的な世論に追い詰められている、それをだれもが体感できる情勢のもとで開催しています。

国内では暴走政治に国民の怒りが沸き上がり、政権支持率は急落し、東京都議選や仙台市長選の結果にも表れています。

国連で「核兵器禁止条約」が採択され、核兵器が違法とされました。しかし、安倍政権は戦争被爆国の政府でありながら、会議に不参加、採択された「条約」も批准しないと明言、被爆者から「どこの国の総理か?」と厳しく指摘され、国際的にも孤立しています。

さらに、森友・加計問題などの政治の私物化や、自衛隊日報の隠ぺいの幕引きを図る一方で、次期通常国会での改憲スケジュールは諦めていません。また、秋の臨時国会で、まやかしの安倍「働き方改革」の具体化をすすめています。

従って、たたかいの大きな柱は、改憲策動を阻止すること、核兵器廃絶に向けた日本政府の責任を追及すること、そして、安倍「働き方改革」許さず、賃金や労働条件を改善する社会的な規制とルール作りをすすめることにあります。安倍政権の早期退陣と総選挙実施の声を広げようではありませんか。

「公務員総人件費削減」「公務サービスの産業化」は、私たちの労働条件悪化に加え、国民のくらしや権利を脅かしています。この道に、私たちの働きがいや誇りはありません。憲法に明記された「全体の奉仕者」の役割を果たす上で、必要な人員体制と予算確保の運動は、住民のみなさんと共同ですすめられることに確信を持ち、すべての組織で、実践を広げましょう。

賃金底上げの課題では、「全国一律最賃制確立」をめざすとりくみが、最低生計費試算運動などをふまえて具体化されています。これを臨時・非常勤職員への均等待遇確保や、公務公共関連職場に働く労働者の雇用安定と適正賃金確保、公契約運動とも並行してすすめましょう。

地公法・地方自治法「改正」が持つ、公務の解体と、正規職員のいっそうの削減、不安定雇用の拡大・固定化のねらいを許さず、2020年4月の施行に向け、「正規・非正規つなぐアクション」(仮称)の具体化をすすめましょう。

組織の拡大・強化では、全国で奮闘が続いています。「住民のくらしを支えたい」「安心して働ける職場をつくりたい」。この願いは、私たちだけのものではありません。私たちの周りには、労働組合への加入のよびかけが届かず、願いを運動に結びつけられない正規・非正規、公務公共関連の仲間がいます。この仲間に「労働組合に入って、切実な要求の実現を」のよびかけを強めましょう。

最後になりましたが、この大会の開催にあたり、ご尽力をいただいた、埼玉県本部と単組のみなさんに、お礼を申し上げ、ごあいさつとします。


現地歓迎企画パートⅡ

埼玉非正規公共の仲間が寸劇

大会第2日目、埼玉県本部非正規公共協議会が寸劇「ありときりぎりす」を披露してくれました。脚本・演出は、参院総務委員会で堂々と陳述された小川裕子さんです。

今日初めて全員が集まったという即席の劇でしたが、「改正」地公法・地方自治法問題の現実を踏まえた脚本をベースにし、しかも会場からたびたびあたたかい爆笑を呼ぶ熱演ぶりでした。脚本はどこでも使えます。

▲[大会議長団] 左から松岡千左さん(高知)、新沼優さん(岩手)、田中慶美さん(埼玉)


【全掲載】代議員発言の要旨(敬称略)

来年の「青年のつどい」 多くの青年で成功を

大下 真一(青年部)

昨年、青年部は「住民のためにいい仕事がしたい」という青年の思いに沿って活動をすすめ、6月に青年自治研を開催した。今後、地方組織や単組でどのように青年部活動につなげていくかが課題。今年度は「青年アンケート」を実施する。「青年のつどい」を開催するので、思いや悩みを語り合い、新しいことにチャレンジするためにも、多くの青年を送り出してほしい。

集まり交流して元気に女性が働きやすい職場へ

海老原 友子(女性部)

女性部大会では、憲法・平和の課題、働き続けられる職場づくりへの発言が多く出された。海外へ折鶴を送り続けている愛媛、昨年の「自治体にはたらく女性のつどい」を成功させた京都からの発言。育休代替の正規配置では岡山のとりくみが全国に広がっている報告があった。職場・地方組織で集まり、交流し、仲間を増やす女性部らしいとりくみを全国ですすめたい。

被災地で奮闘する仲間 新規採用を実現

岸本 弘幸(現業評)

賃金抑制の行政職給料表2の当局の押し付けに仲間と団結して反対している。民間委託により現業職員の削減がすすめられている。一方で、現業の仲間は、専門性を発揮し、被災地支援にとりくみ、そうした支援活動を通じて、住民の信頼を得て、単組では新規採用を実現している。職種別の現業闘争をさらにすすめるためにも旅費の財政支出が必要だ。

水、自然エネルギーは地域住民のもの

神谷(かみや) 塁(るい)(公営企業評)

水、電気、ガス、交通は金儲けの対象ではない。民間との連携、運営権譲渡、水道法改正案の「コンセッション方式導入」は、公企評が主張する「水、自然エネルギーは地域住民のもの」に相反する。中山間地では、点在する簡易水道施設を熟知した職員が減少し、位置の把握すらままならない。公営企業は、憲法の生存権にもとづき、水や自然エネルギーを守り続けていく。

自らが学んで職場・地域に仲間を増やす

仁木(にき) 将(まさる)(非正規公共評)

多くの非正規労働者が労働組合に未加入のなか、自らが学び、地域や職場の仲間に知らせて仲間を増やしている。仕事の中身を知らせるレポート「話そう、伝えよう、私の仕事~やりがいのある自治体の仕事と労働者の願い~(仮称)」を作成し、宣伝や議員との懇談・要請を行う。来年2月の全国学習交流集会に正規・非正規両方の役員、組合員を送り出してほしい。

雇用不安の労働者に寄り添い組織化すすめる

小柴 健介(鹿児島)

県内1万人の自治体非正規雇用労働者を結集していきたい。

雇い止め、民営化等の雇用不安にある労働者に寄り添い、ともに学び、活動への確信と組合への信頼で組合員として活動し続けてもらってきた。泣き寝入りするしかない労働者こそ、労働組合を必要としている。

この経験を確信に、県下・自治体すべてに組織をつくることが目標である。

窓口非正規の職務実態をレポートで明らかに

小川 裕子(ゆうこ)(埼玉)

上尾市職では窓口業務の非常勤職員が職務の実態をレポート「これが非正規の仕事です」にまとめ、非正規であっても定型的で単純な業務ではなく、豊富な知識と経験の蓄積が必要であると具体的事例で明らかにし、団交でも訴えた。賃金が約8年で正規職員と倍の差に開く実態のなかで、当局は「みなさんの働きぶりに甘えてきたことを反省したい」と発言するに至った。

職場学習と地域活動で組織強化をすすめる

津田 康裕(愛知)

4月の名古屋市長選挙の教訓として、①住民のなかに足を踏み出す運動の強化、②自治体労働者としての働きがいを追求し、自らも主権者として要求実現の学習を繰り返すこと、③次の市長選挙までに経験のない若い人たちが参加できる地域活動の検討があげられた。今後は、学校給食の民間委託の動きを阻止するため、地域に入り署名の規模を広げるとともに組織強化をすすめたい。

職場要求・非正規組織化を力に組合の役割発揮

阿部 純(岩手)

平泉町職では、自治労連の「あめっこ」とアンケートを配り一斉職場訪問。130人中34人が残業、アンケートは94%の回収率。責任があるからという残業理由が多い。盛岡市職労や一関市職労でもとりくんだ。結果を人員要求につなげたい。非正規の組織化では執行部が認識していなかった課題が明らかに。加入を訴え平泉で3人が自治体一般に加入。支部結成めざす。

争議権剥奪許されない ストかまえ要求実現

松崎 真介(東京)

東京公務公共一般労組は全都で横断的にストをかまえてとりくみ、東京都へCAD争議解決と各支部の要求実現を迫り、2600人の解雇撤回と賃上げを勝ち取っている。

地公法・地方自治法「改正」は非常勤特別職から争議権を奪う。公務員の労働基本権保障をうたうILO条約違反であり、ILOへの意見陳述を準備し、労働基本権保障をさせたい。

未来を切り拓くために大きな運動を

塚元 寛貴(ひろたか)(大阪)

府職労版「働き方改革」キャンペーンで全職場働き方実態調査を展開。職員の4割のサービス残業が判明、全ての職場で職場集会や申し入れをすすめている。組織強化では、加入した青年を「お客さん」にせず、点から線につなぎ、3年ぶりに青年部大会も成功させた。目に見える職場活動を通じて組合員拡大もすすんでいる。未来を切り拓くために大きな運動をすすめる。

最低生計費試算運動で賃金闘争に確信と自信

小泉 治(静岡)

最低生計費試算運動で、全国どこでも生計費に大きな差はないことを明らかにし、最賃の引き上げ、地域間格差の解消へ、大きな世論をつくった。地域手当による賃金格差は、人材確保に大きな影響を及ぼしている。地域手当と最低生計費の学習会で、参加単組から高い関心を得た。とりくみに確信をもち、17確定闘争を生計費にもとづく賃金闘争に発展させることをめざし旺盛にたたかっていく。

全分会での闘争を追求 給食全面委託を撤回

小野 敦(京都)

賃金・人員闘争は9月から秋季年末闘争分会学習会から始まり、要求交渉は63分会の全分会・組合員参加の闘争を追求している。給食全面委託化を撤回させ、現在は6校が直営。委託業者が破産し、さらに入札不調で、給食が提供できない事態になった。あらためて直営の重要性が、委託反対のとりくみ等を通じて認識されている。闘争をすすめ、給食直営を取り戻す。

全国の仲間の激励と支援に感謝

安藤 ゆかり(愛媛)

西条市は赤字経営を理由に指定管理制度を周桑病院に導入。医療職は分限免職となり、配置転換した職員も、その後分限免職と賃金削減が強行された。

これまで20人が原告団となり、裁判をたたかった。地裁、高裁、最高裁と残念な結果となったが、全国の仲間の激励と支援に感謝したい。愛媛はこの秋、要求・職場・仲間づくりの3原則を大切にとりくむ。

共同のとりくみで賃金の改善を勝ち取る

森本 大(だい)(兵庫)

西宮市の嘱託職員等労働組合、嘱託調理員組合、臨時保育士労働組合が合同で学習会や署名にとりくんできた。その結果、一時金の月数改善や経験加算の増額、月例報酬の増額など多くの改善を勝ち取っている。一方で、会計年度任用職員制度に雇用不安が広がっている。全国の仲間と情報共有をすすめながら単組同士の共闘と学習を深め、さらに前進をめざす。

職場訪問うけて団体交渉 正規で人員増の成果も

酒井 進(茨城)

本部方針にもとづき多くの組合員参加でいっせい職場訪問を行い、深刻な実態が明らかになった。人員不足は職場にさまざまな困難をもたらしている。

こうした活動のなか、いくつかの自治体では保育士をはじめ正職員による人員増の成果が生まれている。

引き続き人員増要求を大きな柱に団体交渉を強め、快適な職場環境の実現めざし奮闘する決意だ。

憲法キャラバン、全自治体 訪問を年内達成へ

矢萩 紀明(北海道)

昨年度までに153自治体を訪問した憲法キャラバンは、今年、残りすべての訪問をめざす。JR路線・区間見直しが表明されるなかで、厚岸(あっけし)町では首長が「生活路線であり絶対に守る。30年前に15路線が廃止されたが赤字は解消されていない」と発言。労組、自治体職員として何をする必要があるのか深く考える機会となった。

職場訪問と対話で組合の存在感が

吉田 佳弘(高知)

「なくそう長時間残業、8時間働いたら帰るワーキングルール」プロジェクトと銘打ち、県下19単組の内13単組で実態把握の職場訪問を行い、対話をして、組合の存在感が増した。これからも定期的に訪問したい。来年10月の高知・地方自治研究全国集会の成功へ現地実行委員会を立ち上げた。女性参画で、今大会に高知から6人中4人の女性代議員が参加している。

経験を財産に保育部会結成

吉池 靖明(長野)

2月、保育全国集会を開催。保育部会もないなか、準備のため前年の全国集会に32人で初参加。オープニングは、一生忘れない思い出にしようと若手保育士「ヤングろくもんず」がダンス、寸劇を考えた。情勢を学び各地の運動を交流し、運動の方向性を確認し、8月に保育部会を結成した。集会の経験を財産に要求実現、公的保育拡充をめざし全力で活動する。

労働相談と対話すすめさらなる組織拡大へ

小野 裕二(大分)

自治体一般労組は、労働相談を通じて組織拡大している。この間、大分市の学校図書館支援員の10人増員で、組合主催の研修会を開催し呼びかけた結果、組合に7人が加入した。

周囲の労働者との対話が重要であり、若い組合員も増やしていきたい。今年から労組の公式ブログを立ち上げ、宣伝と労働相談にもとりくみ、さらなる組織拡大をめざしている。

不当労働行為を市民と共に反撃

芳賀(はが) 秀友(神奈川)

鎌倉市職労への不当労働行為問題では、組合事務所問題で一定の決着がついた。これは市民と共同して組織を作って宣伝行動をすすめ、自治研集会をとりくんできた成果。4月の市議選で組合攻撃をしてきた4人の議員が1人になり議会が正常化した。しかし、県労委の不当命令により中労委でのたたかいとなる。市民と共に運動をすすめていく。引き続きの支援を。

職場に足を運ぶこと 共済のとりくみに自信

赤澤 幸一(岡山)

自治労連共済の「特別重点支援措置」にとりくんだ。大規模な人事異動で職場が混乱しているなかで苦戦したが、執行部の奮闘をみて役員でない仲間が声をかけてくれて、加入に勢いがついた。この流れは、執行部を元気付けた。粘り強い職場訪問で加入率60%を達成した。組合員との新たな対話が生まれ、職場訪問、要求アンケートのとりくみにも大きな弾みがついた。

オルグや機関紙で賃金不払い残業根絶へ

香取 春美(千葉)

定員適正化計画で県職員は過去2300人が削減。今夏季闘争では210人増員された児童相談所で、年度内採用の実施と時間外勤務の縮減、時間外手当の完全支給を求める。残業調査等の運動で「事前命令」徹底通知が出たが実態は手当の予算が足りず、申請自粛がある。オルグや機関紙で、問題の意識化を図り、役員も学び、残業規制、不払い残業を根絶させる。

6年に及ぶ権利侵害 闘争の全面勝利和解へ

渕野(ふちの) 新一(大阪)

2011年に就任した泉佐野市・千代松大耕市長は、労働組合敵視の攻撃を行ってきた。

全国からの支援に支えられて、公平委員会・労働委員会・裁判闘争と、6年におよびたたかってきた。

結果、組合費チェックオフは法適用の別を問わず全組合員を対象とし、組合事務所は従来どおり無償で貸与するなど、すべての訴訟を取り下げさせ、全面勝利和解となった。

子どもたちの笑顔を守る魅力的な組合活動へ

天川(あまかわ) 真由実(広島)

広島では平和教育を日常的に行っているが、若者の関心が低くなっている。いま声を上げないと子どもの未来も平和も守れない。

私は、子どもの笑顔を守るため4月から保育士から専従となった。機関紙を熟読し、わからないことは全国の仲間へ問い合せることで、つながりを実感した。魅力ある専従生活・組合活動をしていく。

大学有期雇用教職員の無期転換へのとりくみ

佐藤 完治(山形)

国立大学では交付金削減と外部資金頼りの運営を背景に、5年超更新の無期転換ルールを不当に制限しようとする対応を続けている。

参加しやすく工夫した説明会を何度も実施。希望者全員の無期転換を勝ちとりたいと、東北非正規教職員組合へ加入がすすんでいる。切実な声を寄せてきた有期教職員を山形大学では100人を目標に迎えたい。

いっせい職場訪問で実態を把握

小竹 正夫(東京)

品川区職労では「なくそう長時間残業、自治労連いっせい職場訪問」にとりくんだ。今年2月から15回の「超過勤務実態調査のための職場巡視」を行い、23時でも2%の職員が仕事をしている実態を把握した。組合の活動が職場で話題になっている。「長時間労働の是正は人員増を基本にすべき」の秋季年末闘争方針案にもとづき職場予算人員要求の運動を強める。

次世代の育成に挑戦していきたい

八田(はった) 直美(鳥取)

近年福祉職場では、職員を募集しても人材確保できない。解決のために1年契約をやめ、経験給にするよう要求をし、今年4月から無期雇用とする回答を得て、155人の無期雇用化が実現した。いま組合は、昇給など労働条件改善の団交を重ねている。毎年不安を抱えていた職員も多く、厚職労に対して感謝と期待が高まった。要求実現と組織拡大を自覚する次世代の育成に挑戦していきたい。

「聞かせてアンケート」で要求・交渉・仲間増やし

広瀬 喜代子(新潟)

「聞かせてアンケート」をもって保育園を訪問。90%、130通を回収。悩みがぎっしり書かれていた。しゃべり場をやり、「子どもが病気でも年休も取れない」と話す若い保育士も。要求・交渉するなか、3人が加入。年休が取れるようになり喜びの声があがった。アンケート・しゃべり場・要求作り、交渉、学習のとりくみで水道サービス分会、津南分会で倍化、1年で20人が加入した。

社会的な運動と職場を基礎にしたとりくみ

土岐(とき) 旭宏(あきひろ)(愛知)

県青年部は、職場を基礎にしたとりくみとして、独自アンケートを毎年実施。昨年から、職場青年が気軽に組合活動に関わる機会と位置づけて、自ら配布・回収し青年の悩みを共有。

今年、最賃運動で市民運動と共同し社会的アピールをすすめた。地方の高卒初任給が都心部の最賃額を下まわることなど、職場から青年の怒りの声を集め、大きく運動を発展させたい。

県民世論も味方につけ37年ぶりの定数増実現

嶋林 弘一(滋賀)

県職員はピーク時比で1000人減員となり、超勤が常態化していた。病院職場では超勤しても時間外申請が認められず、労基署へ告発した。

労基法違反の是正がマスコミでも大きく取り上げられた。さらに、他の職場での違反も明らかになり、県民世論も味方につけた運動は、当局も動かし、37年ぶりの定数増が実現した。安心して働き続けられる職場づくりに奮闘する。

地方自治、指定管理者問題で全自治体に憲法キャラバン

青池 則男(静岡)

6月からの憲法キャラバンは地方自治の問題である沖縄辺野古訴訟と適正な指定管理者制度を考える研究会作成の提言案を携え懇談。提言案は指定管理者の選定基準を経費節減ではなく、安定した物的・人的能力を備えること、協定書には賃金下限設定と雇用継承等を明記することなど提案してきた。

キャラバンの継続と同時に現場からの改善を訴える組織をつくる。

完全民営化阻止 組合結成で奮闘する

三沢 孝之(山口)

自治労連に加入した防府事業団労組は、市から完全民営化に向けた業務見直しを告げられ、組合を結成した。要求書の提出の場で、「あんたらの要求はいっさい聞かん」と常務理事が言い放ち、要求書を受け取らない、交渉にも応じないので、労働委員会へ申し立てた。この状況を突破し、交渉の場に当局を出席させ、働きやすい職場環境を実現したい。

加入を訴えないと増えない そのために一歩前進を

(福井県事務所)

げんきの家労組は、組合が見えるようにと「全職員にお手紙と加入書の配布」や回覧板を作り署名集めを行うなどで、職場に労働組合の姿が。組合員も倍増した。ふくい公共一般は「カレーカフェ」と銘打って、組合や共済の学習を行い1人が加入した。福井では、原発再稼働反対の県民署名を契機に共闘がすすんだ。関西電力に原発を諦めさせる運動に発展させたい。

現場の声で職員を確保 青年部結成に向け単組間交流

家永 憲成(のりまさ)(佐賀)

唐津市では「定員適正化計画」により、新規採用の抑制やアウトソーシングがすすめられ、住民ニーズに応え切れない。特に専門職の職員確保は切実な問題だが、団体交渉に当該職場の組合員に出席してもらい、保育士の採用を勝ち取った。

佐賀自治労連青年部の発足に向け、唐津市労連青年部と社協助成会労組が柱になり準備会を結成。早い時期に青年部を結成したい。

子どもたちの笑顔、懸命な姿に背中を押されて

緒方 純子(兵庫)

西宮養護学校介助員労働組合は結成4年、当初の6人から16人になった。15年以上正規補充がないため、嘱託と臨時が9割近くに。仕事にまったく違いがないのに、任用・待遇に大きな差がある。新人用に仕事の確認のガイドブックを作成、職員に喜ばれ、当局も学校に足を運ぶようになった。今後、任用・労働条件改悪を許さず、組織拡大に努めていく。

条約参加を求める「平和の波」行動が開始

里(さと) 正善(長崎)

すべての政府に核兵器禁止条約への参加を求める「平和の波」行動が提唱された。9月20日に長崎で「平和の波起点行動」を「ヒバクシャ国際署名をすすめる長崎県県民の会」として実施できることは大きな前進だ。署名運動を広げてきた「小異を残して大同につく」市民運動の共同の蓄積の歴史と7000人が参加した世界大会(長崎)の成功が力になっている。

産業・農業を守り循環型地域経済に

木村 繁高(しげたか)(青森)

青森は、毎年1万人の急激な人口減少と少子高齢化、厳しい経済・雇用情勢となっている。平均寿命も全国最下位ということが憲法キャラバンで明らかになった。農業は所得が少なく、農家離れがすすんでいる。青森自治労連は地域の宝物である農業を再生し、厳しい経済・雇用情勢の改善と少子化・人口減少に歯止めをかけ、循環型の地域経済のとりくみをすすめていく。

苦い経験を教訓に活動の活性化につなげる

酒井 光雄(香川)

障害者施設の支部で脱退が相次いだ。職場状況を把握できていなかった。これを教訓に、6年前結成の支部で、①毎月全員集まる、②毎回学習会、③全員発言で決定、を徹底した。要求書に反映し交渉し、要求が前進し活動が活性化した。もう一つは、事業廃止、全員解雇の話が出たNPO法人の障害者施設。存続の必要性を使用者弁護士に納得させ、事業継承を実現、全員の雇用を守った。

家族から問われる働き方 長時間労働の撲滅を

前田 一樹(福岡)

十数年ぶりに超勤実態調査を行った本庁で3割、区役所で6割の職員が超勤登録をせずに退勤していた。当局に実態把握を求めたが、調査不要と応じなかったが、保育所の運動会にかかわるサービス残業については遡及して支払わせた。病院職場では、子どもから「職場はブラックなのか」と問われ、働き方に悩む組合員もおり、今後も働きやすい職場をめざす。

労働基準法改悪の危険性を訴え広める

畔上(あぜがみ) 勝彦(埼玉)

埼玉では要求アンケートの回答が最多の7100を超えた。45%で不払い残業がある。一方77%が仕事にやりがいを感じていると回答。労基法改正問題は、公務分野にも影響を与えるのは必至。たたかいを広げていこう。

正規、非正規で賃金決定、権利保障が違う。組合のことがよくわかる組合員育成のために労働組合講座をすすめる。組織拡大でも増勢めざし奮闘する。

組合のカフェ化計画でみんなが集まる組合に

日吉 知美(和歌山)

年配の組合員が卒業し急に若返った小さな組合。執行部、職場委員もすべて20代30代。経験不足で不安のなか、もっと多くの仲間と職場をよくしたいと「組合室カフェ化計画」と称して組合室をリフォーム、居心地よく学習もできる場所に。住民のために安心して働ける職場めざし、仲間増やし、組合員一人ひとりが自分のできること見つけ活動できる居場所づくりをめざす。

全県での組織化と自治体懇談を旺盛に

新家(しんけ) 忠文(三重)

春の憲法キャラバンや秋の自治体キャラバンをとりくむなかで、全県を視野に、多数の非正規公共関係職員の組織化にとりくんできた。組合員の退職にともなう活動量の停滞に『介護分野ニュース』を発行し対応している。本部機関紙に臨時職員や公務公共部門の仲間の記事をもっと掲載してほしい。この秋のとりくみでは自治体担当者との懇談を旺盛にすすめたい。

組織部を立ち上げ、すすむ組織強化・拡大

平松 ゆう子(広島)

留守家庭子ども会指導員労組は、昨年、組織部を立ち上げ、組織率は81%。今年の目標は83%。新人研修で大型紙芝居を活用して組合紹介、しゃべり場で指導員の困り事を聞き、年3回の学習会で組合理解を深めている。地公法・地方自治法「改正」は、いつでも雇い止め、いつまでも非正規を固定するもの。専門性を認めた待遇を広島市に強く訴えたい。

愚痴から学習へ 学習から組合結成へ

(島根県事務所)

介護・福祉関係職場の仲間が約20人規模に達したことから、今年10月「介護福祉ユニオン」を結成する。組合員からは厳しい労働条件に苦しむ声が寄せられ、結びつきを維持するよう工夫した。特に毎月開催している「しゃべり場」は愚痴から学習へ発展し、組合員の成長を支え合う場に。念願の県本部設立をめざし「鹿児島に続け!」を合い言葉に奮闘する決意だ。

小さな要求の実現、その積み重ねを力に

高橋 正志(秋田)

災害に際し、現業職員がもっと多かったらより迅速な対応ができたと感じた。大仙市は組合未加入者が一番多い。組合加入がすすまなかったが、共済ライフサポート運動を機に加入勧誘の熱が高まり、例年になく多くの新規加入を達成できた。小さな要求の実現、その積み重ねが力。今後もコツコツとがんばっていく。

管理制度の差明らか 時間管理徹底を求める

石井 千尋(ちひろ)(愛媛)

県本部では厚労省の「時間管理のガイドライン」に沿って県内自治体の調査を実施。管理制度に差があることが判明した。統一要求書で「労働時間の適性把握」を求め、職場実態調査も行った。四国中央市職では、アンケートに「だれかが倒れる前に組合がんばれ」と期待も寄せられた。職員数不足が根本原因であり、時間管理の徹底と併せて人員増も引続き要求していく。

交渉で職場の意見いかそう

中村 篤子(奈良)

大和郡山市のゴミ集積業務は7割が直営。組合からの提案で高齢者や障害者世帯へ個別に「にこやか収集」など、民間委託ではできないとりくみをし、自信と誇りにつながっている。保育所職場の残業調査では、不払いや持ち帰りの実態が明らかになり、交渉などで現場の意見をいかしたい。全国のはげみになるので本部の副委員長職に非正規の方を入れてほしい。

原発事故で今も続く自治体と住民の苦悩

笠原 浩(福島)

59自治体を憲法キャラバン。二本松市では合併の矛盾から道州制に疑問、原発は人災などの声があった。

郡山市職労ではニュースに「自治体職場から憲法を考える」を連続掲載。女性アンケートでは正規職員で長時間労働、残業が健康に影響している実態が明らかになった。

原発事故で自治体と住民の苦悩は今も続いている。避難自治体で広域合併が押しつけられる可能性もでてきている。

会計年度任用職員制度 今がターニングポイント

實川(じつかわ) 理(おさむ)(千葉)

会計年度任用職員制度による正規職員の削減・置き換えは、最大の問題点であり、今がターニングポイントである。地公法の原則にもとづく「公務・公共の直営体制を守る」運動として、この間の「長時間労働規制・人員確保」運動と結合してとりくむ必要がある。

また、非正規の組織拡大とも結びつけることが重要であり、前進のチャンスととらえ、全力をあげたい。

憲法がいきる京都府政をめざし

増田 勝(京都)

地域医療指針から公立病院改革が出され、地域の病床削減がすすめられようとしているが、地域の要求にあった病床の確保を住民とともにすすめていく。府職労連は、奨学金返済・ブラックバイトの解決をすすめ、返済を支援する制度を実現させるなど住民の要求を府政に働きかけてきた。改憲を許さないたたかいと、憲法がいかせる京都府をつくるために来年4月の知事選挙で奮闘する。

協定遵守、不払い残業根絶・職場実態是正へ

佐賀 達也(愛知)

深刻な長時間・過重労働の是正求め、36協定遵守、不払い残業根絶にむけ組合員参加型の労使による話し合いを行ってきた。出退庁管理システムと実際の超過勤務申請時間の大きなギャップが明らかになり、労基署の指導、厚労省の新ガイドラインが追い風となり、ギャップがあった分の時間外手当を支払わせた。

ブロック、単組で学習会開催・情報共有で、使用者側の遵法を迫っていく。

野党共闘の継続発展 団結を力に奮闘

坂本 康彦(神奈川)

横浜市長選挙では、横浜市従は市民と野党の共同候補を支援し、「新市長とワクワクする横浜をつくる会」のとりくみに積極的に参画した。健闘したものの市民の期待には応えられなかったが、共闘の継続・発展につながるものだった。交通従組の結成から3年。組合事務所の貸与は組合負担なしを勝ち取り、組織拡大は増勢だ。みんなで団結し奮闘する。

今年の賃金確定闘争は重要課題が多い

中島 早登司(さとし)(大阪)

賃金確定闘争の重要課題として、①4年連続の月例給・一時金の引き上げ分はただちに実施させること、②資金運用の失敗で民間が下がったことを理由に退職手当を引き下げるのは許せない、阻止を、③定年延長の問題は国が法案を明らかにする前に基本的要求を掲げることが重要、④会計年度任用職員問題は、少なくとも現状から後退させないようとりくむ必要がある。

今も続く避難生活 深刻さ増す課題

小野寺 栄悦(えいえつ)(岩手)

震災から6年半経過した今も、1万人超の被災者が仮設住宅暮らしをしている。東北人は我慢強いと言われているが、避難生活は長期化でさらに深刻になっており、課題は今も山積している。

ヒバクシャ国際署名のとりくみでは、岩手自治労連を含む広範な団体で「進める会」を結成。共同のとりくみで、反核平和の運動が広がっている。

出退勤時間記録の行動提起に予想以上の反応

棚橋 元彦(もとひこ)(静岡)

伊東市では労働時間把握の方策が取られていない。このため7月の1カ月間に本庁職場を対象に出退勤時間記録の行動を提起したところ、予想をはるかに超える75%が集約できた。組合員の「なんとかしたい」という真剣な想いを感じた。特製キャンディー持参のノー残業デー職場訪問も評判で、「目に見える活動は大事」と活動も活性化、時間管理の予算計上の動きも出てきた。

公契約条例が後押しした賃金引き上げ

門藤 直樹(東京)

世田谷区職労では役員構成に高齢化があり、次世代育成が課題となっている。昼は学習、夜は交流という形で宿泊学習会を再開した。学習と対話のできる企画は効果的である。

区公契約条例の報酬下限額が1020円になったことが後押しし、区勤務のすべての職種で時給が1020円以上に引き上げられた。

残業調査の職場訪問はこれからも継続したい

小野 誠(岡山)

これまでは職場の生の声を聞けずに増員要求の理由を伝えてきたが、不十分だった。本部の提起を受け、4月に職場訪問をした。職場の反応は好意的で喜ばれた。5月の残業調査では「飴」を配り好評だった。交渉では調査結果や職場の声を伝え、当局から「人員増」の回答を引き出した。このとりくみは、組合への信頼感も増えた。今後も継続したい。

市民と野党の共同で市民生活優先の市政へ

岡野 道博(滋賀)

近江八幡市は大型開発事業優先で福祉・教育が地域最低水準。95億円もの新庁舎の計画に「小さな市庁舎で大きな福祉のスローガン」で市民が考える市庁舎の会が住民投票を求め運動。有権者の12%、法定数の6倍超の署名を集約。市民1000人超が参加した。臨時議会審議中に否決されたとする市長文書が出て大問題に。市民生活優先の市政実現のためがんばる。

礼儀正しく堂々と初めての職場訪問へ

雨貝(あまがい) 和敏(茨城)

石岡市職労では、初の職場訪問に緊張したが、労安活動としても長時間労働把握は急務と考え、「礼儀正しく堂々とやろう」ととりくんだ。19時で91人、20時で37人が残業していた。

後日アンケートに「他に残業する職員がいると帰りづらい」など声が集まり、要求づくりにいかしていく。職場訪問は、労働組合の存在意義を示す効果があり、継続していきたい。

困難と感じる職場も踏みだせば変化が

本間 繁(長野)

佐久市では職場に足を踏み出せないでいた。その背景は本庁組織率の低さと活動の困難さから。役員が出先職場で「本庁職場に入るのが怖い」と感じていた。書記長の職場でアンケートを実施すると要求が出され、本庁でもポストカードなどを持って決行することを執行委員全員で意思統一。カードに書かれた声を組合情報で職場に返し、本庁の配布体制も確立した。

人員増実現に高まる組合への期待

押野 利一(神奈川)

神奈川県職労は12月から毎月1回、本庁職場で残業実態調査を行っている。合わせてアンケートも実施。異常な残業実態が明らかになり、4月から当局がわずかな増員をしたが焼け石に水。

5月の調査では組合員との対話も増えた。残業実態調査とアンケートをもとに、人員増を全局に申し入れ、総労働時間短縮と不払い残業の一掃を勝ち取る。

災害支援に感謝 職場改善に向け奮闘

樋口 理恵(福岡)

北九州豪雨災害では、本部、全国からの支援に感謝申し上げる。

福岡市立病院労組では、福岡市民病院での不当な雇い止め撤回を求めた裁判の当事者は新たな被害者をつくるまいと奮闘した。裁判闘争を通じ組合員も増えた。しかし、市民病院が経営重視に舵を切り、患者の思いに応えられない職員は職場を離れる事態だ。職場改善にむけ奮闘する。

地方自治破壊に対し、自治研活動を強める

片山 敦史(千葉)

3つの課題別集会にとりくんだ。「介護予防日常生活支援」交流会では、職員同士のつながりから未加盟・未組織の担当職員も参加した。「ゴミ処理シンポ」では、焼却場建て替えを機に広域化計画が出た。環境くらしの重要問題、行政が住民と話し合うべきと確認。保育の民営化や認定こども園化を考える集会も開催。職場・地域で自治研活動を強めたい。

憲法の理念いかし住民生活と地域を守る

松下 卓充(たくみつ)(京都)

憲法・地方自治法が施行70年を迎える中、『ポケット憲法』『ブックレット戦争と自治体』を作成、「全単組憲法学習会」を提起。憲法が自らのものになるよう工夫している。

住民生活に直結する分野で民間委託がすすんでいる。公務を民間の儲けの場とさせず、住民福祉の増進・拡充、住民との共同を重視しながら運動を展開し、府知事選勝利へつなげたい。

もっと憲法に確信をもち本気でたたかおう

長坂 圭造(愛知)

9月愛知で「じちはた」がある。男女平等、働く権利等、憲法に立脚した権利を守るには「不断の努力」が必要。労働者の団結する権利も長いたたかいで勝ち取り、労働組合は憲法を武器に力を発揮してきた。安倍改憲のねらいは戦争する国づくりとたたかう労働組合つぶしだ。学習で憲法に確信を持ち、本気で憲法をいかし、職場と住民生活を守るためにたたかおう。

維新「大阪壊し」ストップ 堺市長選挙の勝利をめざす

市本 逸也(いつや)(大阪)

改革勢力を装うごまかしの維新政治、安倍改憲や戦争できる国づくりに対して、草の根から広がる市民共同、野党共闘や地方選挙での野党統一候補の勝利は「維新政治ノー」「大阪都構想ノー」「堺はひとつ」を掲げた2013年の堺市長選挙からはじまった。カジノ誘致や「都構想」による大阪壊しをストップするため、堺市長選挙の勝利をめざし、住民とともに全力で奮闘する。

職場要求活動と組織拡大に全力でとりくむ

喜入(きいれ) 肇(はじめ)(東京)

共謀罪廃案のたたかいが、大幅賃上げと合わせて春闘の大きな課題となった。これに森友・加計問題が重なり、都議選で自民党の歴史的敗北をつくりだした。超過勤務職場の訪問活動は好評だった。職場に接近することが大切だ。初めて職場・職種別集会を開催し、経験や悩みを交流した。これからも職場要求活動と自治研活動、住民共闘を三位一体にし、組織拡大に全力でとりくむ。


新年度役員の紹介

●中央執行委員長・猿橋均(大阪)
●副中央執行委員長・桜井眞吾(京都)、高柳京子(東京)、松繁美和(高知)
●書記長・中川悟(愛知)
●書記次長・竹内敏昭(千葉)、前田博史(大阪)
●中央執行委員・蛯名孝宏(青森)、樫尾健一(神奈川)、久保貴裕(大阪)、熊谷守朗(埼玉)、小泉治(静岡)、佐賀達也(愛知)、清水一成(岡山)、杉本高(滋賀)、武田敦(東京)、西芳紀(千葉)、増田勝(京都)、水谷文(東京)、岸本弘幸(京都・現業評議会)、近藤夏樹(愛知・公営企業評)、松尾泰宏(自治労連本部直属・非正規公共評)
●特別中央執行委員・笠井智仁(埼玉)、野村幸弘(東京)、橋口紀塩(大阪)、平澤学(自治労連本部直属)
●会計監査委員・有吉孝文(山口)、小山賢一郎(長崎)、佐々木直樹(秋田)
●臨時中央執行委員・田邊洋(中国ブロック・島根)、後藤重人(四国ブロック・愛媛)、小原徹也(九州ブロック・福岡)
●顧問・駒場忠親(東京)、大黒作治(愛知)


大会ピンスポ

「調(つき)神社」

兎があなたにツキを

浦和駅から旧中山道を南へ10分のところに調(つき)神社があります。入り口には、狛犬の代わりに兎が鎮座しています。なぜ?と巫女さんに伺うと「つきの名前に因んで兎」と。手水も兎の口から、稲荷社にも兎。池にも兎。兎の数はどれくらい?「神主さんもわからない」のだそうです。ご朱印、お守り袋にも兎が。あなたにも兎がツキをさずけてくれますように。

現地速報班

みんなの笑顔を大切にしたい

▲元気いっぱい、素敵な笑顔の現地速報班のみなさん

「速報班のメンバーのほとんどが、新聞をつくるのがはじめてだけど、参加者のみなさんに大会の雰囲気を精一杯伝えていきたい。みんなの笑顔を大切にしたい」と編集方針を熱く語る『さきたま』(現地速報)の編集長の中村栄士さん。

速報班の持ち前の明るさと取材力で、号外を含む全8号は見ごたえ十分。「みんなの笑顔を大切にしたい」という編集方針が貫かれています。

物産コーナー

“草加せんべい”は個性の競演

▲1袋の8枚は異なったお店の組み合わせ。先進的とりくみで有名な草加市の学校給食にも工夫して取り入れられています

物産コーナー「本場の本物 草加せんべい 伝統の味」のお店では草加市職労のみなさんが草加せんべいを販売。今回出品の10軒のお店から8枚をセットにしています。かつて200軒ほどあった専門店も今は50軒に。ほとんどが家族経営の小さなお店が旧市街地に点在し、硬さや醤油の濃さ、味わいの違いから市民はそれぞれ贔屓のお店があるそうです。ぜひ食べ比べを。

来年は大阪

来年は食い倒れの町 大阪へきてや!

来年の全国大会は18年ぶりに大阪で開催されます。前回の大会事務局を経験した本部役員もいないなか、荒田委員長を先頭に準備をスタートさせます。大阪大会の運営の中心となる?今回の代議員のみなさんは「食い倒れの町大阪での開催です。全国から大勢のみなさんが参加していただくことを楽しみにして、これから1年準備をしていきます」と張り切っています。



職場の仲間に寄り添おう 職場はエネルギーの源泉

総括答弁(要旨) 自治労連書記長 中川 悟

討論には74人が参加(女性比率24・5%)。昨年度大会で方針提起した「いっせい職場訪問」などが全国各地で実践された。討論の特徴を述べたい。

賃金闘争について、公契約条例が後押しになり、すべての職種で時給を1020円以上に引き上げた、地域間格差が人口流出と人材確保の困難さを生み自治体関係者との共同が広がっていると発言があった。引き続き、制度的賃金闘争における底上げと地域間格差を許さない共同を広げよう。

臨時・非常勤職員問題では、議会へ働きかけの重要性、希望者全員を無期転換させた、非正規の仲間を迎え入れたなどの発言があった。当事者が声を上げることの重要性を伝えながら、非正規の組織化、当局との協議など「正規・非正規つなぐアクション(仮称)」をすすめよう。

長時間労働一掃・本格的な予算人員闘争を一体で推進する「こんな地域と職場をつくりたい」運動のとりくみについて、組合の要求事項が人事当局の参考資料となっている、すべての分会で学習会と所属長への要求提出・交渉実施しているなど発言があり、長時間労働を社会的にアピールし県民から共感を得るなか、37年ぶりの定数増を実現させた都道府県職などからも発言があった。定数増の流れを都道府県職から市町村職に広げることができるのか、それとも、まやかしの「働き方改革」と地公法・自治法「改正」によって、22年前の「新時代の日本的経営」のような流れにさせるのか、まさにせめぎあいだ。ここに確信と覚悟をもってこのとりくみをすすめよう。

憲法改悪阻止や諸要求をめぐるとりくみでは、全自治体との懇談をめざす北海道をはじめとした各地での憲法キャラバンから、核廃絶や野党共闘、民主的自治体建設めざすとりくみ、来年10月の自治研集会の成功に向けた発言があった。

今後1年の私たちのたたかいで、安倍政権を政治的に追いつめて、改憲策動とまやかしの安倍「働き方改悪」を阻止し、安倍政権を退陣させよう。

そして、本当の意味での「働き方改革」、原発ゼロ、辺野古新基地阻止、核兵器廃絶の先頭に立つ政府をつくる、そのためにも一連の民主的自治体建設をすすめるとともに、中央・地方で市民と野党の共闘に向けて力を尽くして、私たちの運動で情勢を切り開き、来年10月の自治研集会につなげよう。

この間のとりくみの教訓は、組合員であれ、未加入の仲間であれ、職場の仲間に寄り添うことの大切さである。職場の仲間は、さまざまな要求や怒り・悩みを抱えており、職場にこそエネルギーの源泉がある。

そして、職場の仲間に寄り添うことで組合役員のやりがいにつながっている。おおいに職場、非正規労働者に寄り添おう。

かごしま自治労連の確立は、すべての県事務所の希望。あらためて、2017年度はなんとしても増勢に転じ、さらなる地方組織を確立する決意を固めあおう。


ようこそ自治労連へ

新規加入組合紹介

「自治労連第39回定期大会」において、新たに2組合の加入が承認されました。結成直後から組合攻撃とたたかう仲間と、さらなる活動の前進にむけて単組を結成した仲間に、全国の自治労連の仲間が大きな拍手で歓迎しました。

仲間に力を借りながらたたかう

山口・防府市社会福祉事業団職員労働組合

▲原田典子副委員長(左)と松村貴之執行委員

障害福祉事業にとりくみ、指定管理者として業務を受託してきました。労働条件の悪化、雇用継続の問題があり、労働組合を結成。しかし、団体交渉の申し入れを3度行ってきましたが、現在でも交渉を拒否しています。仲間のみなさんにも力をお借りしながらたたかっていきます。

活動をさらに広げるため結成

愛媛・内子町社会福祉協議会労働組合

▲左から石井千尋さん(県本部)、藤枝友紀(ゆき)副委員長、新上(にうえ)沙也加委員長

町立保育園だった今から8年前に社会福祉協議会に移管されたことをきっかけに、当時の臨時保育士を中心に自治体一般労組の分会として結成しました。その後、移管された保育園も2園から4園に、組合員が2倍になり、活動をさらに広げるため単組を結成しました。


かごしま自治労連始動

労働組合を必要とする仲間のために

▲左から決意を述べるかごしま自治労連鈴山委員長、小柴書記長、大馬与論町職委員長

県組織として「かごしま自治労連」が発足しました。大会で猿橋均中央執行委員長から組合旗が手渡され、かごしま自治労連の鈴山秀則執行委員長が「労働組合を必要としている無権利状態の自治体・公務公共関連非正規雇用労働者が多い。県下43自治体に自治労連の旗を掲げ1万人の非正規雇用労働者を結集したい」と決意を述べました。鈴山執行委員長と与論町職員組合の大馬福徳執行委員長にお話しを伺いました。

正規・非正規労働者がともにたたかう運動へ

かごしま自治労連 鈴山 秀則 執行委員長

10年前1組合23人で立ち上げた鹿児島県事務所ですが、このほど5単組13組織で産別県組織になることができました。

5年前の与論町職員組合の結成が大きな力となり、以後、非正規公務公共関係労働者の雇用や処遇改善のとりくみを通じて仲間を増やし積み重ねてきた結果です。

非正規雇用で働く仲間は、不当な雇い止めでも、理不尽な差別でも従わざるを得ないという実態がありました。

非正規雇用労働者にこそ労働組合が必要とされています。私たちの組合づくりはそんな職場の声に誠実に寄り添って築き上げてきたものです。

「改正」地公法・地方自治法施行で自治体労働者の「働き方」が大きく変えられようとしているときに、かごしま自治労連はスタートします。正規・非正規雇用労働者が共同してたたかう労働組合運動を創造したいと思います。

非正規の処遇改善を「かて」に正規の処遇改善も

与論町職員組合 大馬(おおま) 福徳(ふくのり) 執行委員長

2013年4月、それまでの互助会組織から与論町職員組合に移行し、5年目に入りました。組合組織に移行してからさまざまな団体交渉を行ってきました。

まず、組合発足後すぐに、非正規雇用職員の夏期休暇を3日から正規雇用職員同様の5日に要望し、規則改正を実現。

2015年、臨時職員の賃金日額100円アップと、職員採用試験で従来の一般事務採用の年齢枠を民間企業等職務経験者枠で30歳から44歳まで拡大を要望。2016年度より賃金日額100円アップと採用試験の年齢枠が44歳に引き上げられました。

さらに、2016年非正規雇用職員の業務ごとの日額賃金の加算を要望し、2017年4月より月額2000円~2300円アップを実現しました。今年から、新たにかごしま自治労連が立ち上がったのを機に、今度は正規職員の職場環境と待遇改善実現もがんばりたいと思います。


大阪都NO! 堺市をなくすな

共同の力でつくろう住みよいまち

大阪自治労連 堺市職労

▲「住みよい堺市を守ろう」と訴え、ビラを手渡す仲間たち

堺市職労は、9月24日の堺市長選挙を控えた8月、任用形態や役職を問わず、全職員を対象に、「働きがいのある職場・市政をつくるアンケート」にとりくみ、1154人の職員から回答が寄せられました。

堺市長選挙の争点となっている「大阪都構想」に、堺市が加わることについて、「反対」「どちらかと言えば反対」を合わせ、全体の65%が反対と多数を占めました。

反対の理由として、「財源が都に吸い上げられる」「政令市の権限・財源を活用すべき」など、大阪維新の会がすすめる「大阪都構想」のねらいが「地方自治・地方行政の破壊」であることを見破った上で、職員の声は、政令市としての堺市の発展を願うものでした。

今後の堺市の方向性や充実すべき施策については、「出産・子育て支援の充実」「介護・高齢施策の充実」「防災の強化」と、くらしの充実と安心・安全を求めるものでした。

自由記述欄でも、「大阪都構想・カジノに反対します」「決して都構想に巻き込まれたくない」「『大阪都構想』は絶対反対です」「だれもが住みやすい堺にしたい」と多数の声。職労の運動方針とも一致しています。

堺市職労は、「大阪都構想」による堺市つぶしを許さず、くらしを支える施策の充実、そして民主的な市政運営を求めて、たたかいます。

また9月4日には、「堺はひとつ 市民大集会」がひらかれ、大きな運動へと展開しています。

▲自治労連定期大会で集まった檄が堺市職労にとびました

労使関係の正常化に一歩 組合への権利侵害はねのける

大阪 泉佐野市職労

泉佐野市の労働者・労働組合への権利侵害について6月23日に大阪地裁で和解が成立し、すべての争議が解決しました。

2011年4月に市長に就任した千代松大耕(ひろやす)市長は、「公務員改革」と称して、労働組合敵視の攻撃を続けてきました。

賃金カット、退職手当の改悪、組合事務所の使用料徴収、組合費のチェックオフ中止などを、「管理運営事項」を理由に労働組合との話し合いを無視して実行し、同時に市民サービスを切り捨ててきました。

泉佐野市職労は、日刊ニュースなどで、大阪労連、大阪自治労連や市民団体とともに毎月庁舎前や駅頭での宣伝をし、議会前には市民宣伝で、市政の民主化と職場実態を知らせてきました。

和解は、大阪府労働委員会命令を受け止め、泉佐野市は今後不当労働行為を行わない、労使関係の正常化を図り、すべての訴訟を取り下げることで合意が成立しました。

組合費のチェックオフは全組合員を対象に無償で再開され、組合事務所をこれまでどおりに無償で貸与するなど、混合組合である市職労を法適用で分断する大阪地裁や高裁の不当判決を事実上覆しました。

8月4日に勝利和解集会が、泉佐野市内で開催され、全国の仲間とともに喜びを分かち合いました。昼馬正積委員長は、「今後、職員の声をはじめ、市民の声や願いが届く市政に変えていくことが私たちの大きな役割であり使命だ」と決意を訴えました。


すすむ非正規公共評(33)

集めた声を力に、職場改善を

自治労連 愛知県本部 豊橋市職労嘱託職員連絡会

▲組合未加入の嘱託職も交えて学習しました

豊橋市の嘱託職員全体のうち、勤務年数が10年未満の職員が85%を占めています。多くの方が「来年度も任用されるか」と不安に思い、安定した継続雇用を強く望んでいます。

豊橋市職労の嘱託職員連絡会では、6月28日に「地方公務員法・地方自治法の一部が可決・成立~働き方は変わるのでしょうか?~」と学習会を開催しました。

「会計年度任用職員制度」の問題点や、自治労連のとりくみを伝え、一人でも多く危機感と労働組合の重要性を感じてもらおうと思い、組合員はもちろん、組合未加入の嘱託職員にも呼びかけました。

参加者からは「会計年度任用職員という不安定雇用で、現状と比べ後退したのでは? 雇用期間が短い私たちが労働条件向上にとりくむ難しさを感じる」「何もしなければ、労働環境は良くならない。仲間で声を上げていくことが大切」などの感想がよせられました。

豊橋市職労は、毎年人事に関する要求書作成のために、嘱託職員の実態調査も含めて、8月に職場へのアンケートを実施しています。

今回の学習会で学んだことを、当事者自身の言葉と表現で伝えようと、イラストを入れながら、手書きで豊橋版「法改正チラシ」もつくり、アンケートと合わせて配布しました。

8月25日までに集めたアンケートには、「補助的仕事と言われて悔しい」「勤務時間が短いだけで格差が大」など多数の声がありました。

豊橋市職労嘱託職員連絡会は、集めた声を力に、職場改善をとりくみたいと思います。


シリーズ3 いちから学ぶ仕事と権利

労働基本権の回復をめざして

長時間労働への抜本的な指針を示さず、生活改善にはほど遠い給与改定を勧告する人事院制度や地公法・地方自治法「改正」で自治体のあり方が問われています。あらためてはく奪された公務員の労働基本権について学びます。

戦後、日本国憲法よりも早く、1945年に労働組合法が制定され、日本各地で公務員含め、日本の民主化・労働運動が活気づいていました。

しかし、アメリカ占領下にあった1948年、芦田均内閣に宛てたマッカーサー指令書簡にもとづいて政令201号が発せられ、公務員の争議権(争議行為)がいっせいに禁止されます。直後に、国家公務員法が「改正」され、労働基本権のうち争議権がはく奪され、団体交渉権も厳しく制限されます。50年に同じ規定をもつ地方公務員法も制定されます。

労働基本権のはく奪に、反対の声は大きく、裁判も行われました。しかし、全農林警職法事件などの最高裁判決を経て、「地位の特殊性及び職務の公共性」「勤務条件法定主義(議会制民主主義)」「市場抑制力論」「代償措置論」を理由に、公務員の争議権はく奪(労働基本権の制限)は合法とされてしまいます。

「全体の奉仕者」を実現できる公務員制度へ

しかし、前号で取り上げた人事院勧告制度は団体交渉権と争議権の「代償措置」とされながらも、実際には公務員賃金の抑制と管理の機能を果たすものとなり、本来の生計費原則や労使協議(協約締結権)にもとづく賃金決定を阻害しています。また、消防職員の団結権がいまだ認められていないなど、労働基本権回復は重要な課題です。

自治労連は、公務員の労働基本権回復を求めて、署名を国会に提出するとともに、労働基本権はく奪が公務員の労働基本権保障をうたうILO条約にも違反していることから、ILOへの情報提供を行っており、ILOは日本政府に対して是正するよう勧告しています。

さらに5月31日、今年「改正」された地公法・地方自治法についても、特別職非常勤職員に保障された争議権を一般職化で一方的にはく奪する問題点を追加情報として指摘しました。

自治労連は、憲法の定める「全体の奉仕者」を実現できる公務員制度確立をめざして、職場での学習とともに、要求闘争の実践をすすめます。


広島・長崎から日本、世界へ 平和の思い発信

▲世界から核兵器廃絶への思いを集めた原水禁世界大会

広島・長崎に原爆が投下されてから72年を迎えました。今年の7月には核兵器を包括的に禁止・違法とする核兵器禁止条約が国連加盟国の6割に及ぶ122の国が賛同し採択され、そのもとで原水爆禁止世界大会が開催されました。平和と核兵器禁止条約への熱い思いが各地から寄せられ、世界へ発信されました。

核兵器なき世界へ

長崎から発信

世界大会では、世界中から多くの政府関係者・団体・市民・労働組合が参加し、核兵器の非人道性を確認するとともに被爆の実相を学び、「ヒバクシャ国際署名」のとりくみを力に世論を広げ、すべての核兵器の禁止・廃絶を実現することを確認しました。

オーストリア外務省からマルティン・クリューガー氏(軍縮軍備管理不拡散局次長)が政府を代表してあいさつ。オーストリアは1999年に、国会で全政党が賛成をして核兵器を禁止し非核兵器国であり続けることを決め、2014年に「非人道性に関する国際会議」をウィーンで開いたことを紹介しました。

また、核兵器禁止条約が調印される9月20日から26日の「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」の期間に世界中の政府に条約参加をもとめる「平和の波」行動が提起されました。

▲オーストリア外務省 マルティンさん
第40回 自治体労働者平和のつどい

自治労連が独自に企画した「自治体労働者平和のつどい」には80人が参加。田上富久長崎市長から寄せられたメッセージにもある「自分のできる一歩」を自治体労働者としてより深く突き詰めるため、各地の運動を学び合いました。

山口の「反核平和マラソン」、原発事故から6年が経つ福島のとりくみの報告を受けて、参加者は「ヒバクシャ国際署名」推進など平和のとりくみをすすめていくことを確認しました。

原水爆禁止2017年世界大会日程

国際会議 in 広島 8月3日~5日
 海外から核兵器禁止実現に尽力する政府代表、団体市民が会し議論し「国際会議宣言」を採択。
世界大会-広島 8月5日~6日
 5日 市民と海外代表の交流集会
 6日 ヒロシマデー集会
世界大会-長崎 8月7日~9日
 7日 開会総会
 8日 分科会、自治労連独自企画「自治体労働者平和のつどい」
 9日 閉会総会

平和の願いを未来へつなぐ ~被爆者終焉の地・似島(にのしま)~

広島から発信

平岡健太郎さんは、広島市内の公民館から、3年前に似島臨海少年自然の家へ配属され、平和学習など行っています。宇品(うじな)から船で約20分間かけて通勤。似島には、広島市内の小中学校を中心に、県外からも訪れる生徒たちも多いそうです。

平和学習で遺跡をめぐる前に、広島に軍港や武器庫があった歴史と原爆投下直後のことを、子どもたちに写真も見てもらいながら解説します。

痛ましい写真を見せることはつらいけれど「昔あった事実を知ってほしい」と率直に子どもたちに伝えているそうです。

「広島にとって8月6日は特別な日です。でも、似島の歴史や役割を知る人は少ないです」と、似島について語ります。

▲広島市ひと・まち労組 平岡健太郎さん
広島の歴史を見てきた似島

似島は、日清戦争時に陸軍の検疫所がつくられ、第1次世界大戦時には、ドイツ人捕虜収容所もつくられました。

原爆が投下された直後、約1万人の負傷者が、臨時野戦病院となった検疫所に収容され、懸命の治療が行われましたが、ほとんどの方が亡くなりました。いま、この検疫所の跡地に、少年自然の家が建っています。

戦争の悲惨さを引き継いで

平岡さんは、「いろんな方に出会えて楽しい」と労働組合の魅力を語ります。労働組合も生涯学習の場だそうです。組合でも「ヒバクシャ国際署名」をとりくみ、2015年に広島で行われた「青年平和のつどい」でも、仲間へ参加をよびかけました。

平岡さんの平和への原動力は、亡き祖父への思いです。「当時、小学生だった祖父は、あの日、きのこ雲を見て、2日後に広島市内へ入りました。『地獄だった』と語っていました」「祖父は、被爆者手帳を取ろうとしましたが、証明が困難で取得できませんでした。でも、核兵器禁止条約ができてよかった」と語ってくれました。

最後に「ぜひ多くの方に似島に来てほしい」と島の魅力をよびかけてくれました。

▲「似島陸運検疫所跡」の碑を紹介する平岡さん


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